19
俺が冥界から帰ってきて数日がたった。
今現在、俺はオーグ様の頼みで俺以外の生産系の神々の下をシナモンに道案内して貰いながら廻っていた。
オーグ様曰く、邪神アシャールが破壊や殺戮行為によって絶えようとしている素材を複製して他の生産系の神々の助力をしてやって欲しいと頼まれたのだ。
どうやら俺の戦術の師匠であるアーダさんがオーグ様に俺の能力の事を報告したようだ。
其の事を知ったオーグ様は大層喜んだそうな。
其れも其のはず。
素材の中には神酒や仙桃、黄金の林檎、知恵の実といった神々にとってとても貴重な食材も含まれていたのだから。
ただ、俺にも旨みはある。 報酬として神々が保有する貴重な素材の情報が得られるのだ。 これで更に俺の物作りの幅が広がる。
「ふう、やっと終わったな」
ガッチャン、ガッチャン……
金属質の音を響かせ歩を進ませる俺。
『お疲れ様です、マサキ様。 ……にしても、その姿はいかがなものかと思うのですが』
「ん? 何か問題があるの?」
俺は今、強化外骨格に身を包み、其れを操って歩行していた。
全長2m、首無しの胴体と塗装は赤を貴重とした派手な色が特徴の其れは。 手足の動作のパワーアシストと外の映像を内側の装甲全体に投射するディスプレイ機能等を僅かな電力――CR2032リチウム電池――通称ボタン電池を一個取り付けるだきえで事足りるとても省電力な代物だ。 連続稼働時間は最大出力で8760時間。 地球時間で365日ぶっ通しで使用可能だ。
思わずドン引きするほどの省電力化。 スゲェぜ俺の神器!
歩行速度は最大時速で約40km。 出力は最大で大体1tのものを持てる軽作業が目的の世間一般ではパワードスーツと呼ばれている代物である。
『皆様方、其れを見てとても不信に思われていましたよ』
「でも移動が楽なんだよー」
目的の生産系神々の住居はそれぞれ場所が散らばっている上に距離が遠い。 徒歩で移動していたらとてもじゃないがやってらんない。 ならばと、俺は神器で移動とちょっとした作業可能なこの強化外骨格を創り出した。
『はぁ…。 そんな事では堕落してしまいますよ』
溜息混じりに俺に忠告を促すシナンモン。
「今の俺は神様だからいいんだよ。 好きな物――ロボットや宇宙戦艦なんか創って、偶に他の神様の頼み事を聞いて好きに暮らす。 ――最高じゃないか!」
どうせ元の世界に帰れないんだ。 帰れた所で理力の関係で死んじゃうし、そうでなくてもても辛い現実が待っているだけ。 なら、開き直って現状を楽しむしかないじゃないか!
『物を御創りになるのは宜しいのです。 ですが、くれぐれも他所様の迷惑にならないよう心掛けて下さいませ』
「分かってるよ!」
シナモン口煩い! まるで家のオカンみたいだ!
そうこうしている内に家の前までたどり着く。 すると――
「ん? 何だ此れ?」
足元の地面から突如青白い光が発生する。
『!? 此れは召喚門!! マサキ様!! 直ぐに其処から離れて下さい!!』
「はぇ? え? え?」
一体何が起こっているのか? 動揺する俺は慌てるシナモンに言われるがままその場を離れようとし――間に合わなかった。
地面に発生した青白く発光する魔法陣?のようなものは俺を逃がすまいと俺の身に纏っている強化外骨格の足を引きずり込んでいた。
「何此れ!? 足が抜けない!!」
ならばと手を使って魔法陣の外に這い出ようとする。 が、透明な何か――壁のようなモノに阻まれ外に出られない。
『其れは召喚門と言って召喚師と呼ばれる者が使う術です! 其の召喚門は本来ならば契約したモノを呼び出す為のモノ! 御心当たりは御座いませんか!』
「んなもんある訳無いだろ! 何とかしてくれシナモン!」
シナモンは俺を救助しようと懸命だが見えない壁に阻まれ俺に近づけないでいる。
そうこうしている間にも魔法陣は底なし沼の如く身に纏っている強化外骨格ごと俺を引きずり込んでゆく。
こうなれば仕方が無い!
「シナモン! 俺の部屋に今俺が身に着けている外骨格の通信機が置いてあるからそれで連絡する! だから後で迎えに着てくれ!」
『分かりました! 必ず御迎えに上がります!』
「頼んだぞシナモン!」
そうして俺は神域から何処かに転移した。




