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結局、俺は戦神アーダさんの息子、武神ソーダと闘神コーダと手合わせする事になった。 だが、攻撃を避けるのに一杯一杯で此方からは何も仕掛けられない。
そもそも、この間まで只の人間だった俺に戦闘のプロフェッショナルである武神と闘神の二柱を相手に勝負にすらならない。
オマケに神は神でも俺は生産系の神。 勝てる道理なんて無い。
しかし――
武神ソーダのガントレット型の神器《激震の拳》から繰り出される理力による衝撃波を逆に利用して、蚊の如く其の衝撃に乗って攻撃を躱し、闘神コーダのどんな武器にも成る宝玉型の神器《可変の式》による武技の攻撃を柳が風の如くギリギリの所で躱して見せたぜ!
でも怖かったよ! 死ぬかと思ったよ! アイツ等、全力で向かって来やがって! 少しは遠慮と言うか手加減しろよ!
俺の服は所々切り裂かれ、身体は切り傷が多少出来てちょっと痛い。
「ゼェ! ゼェ! 全然攻撃が当たらぬで候!」
「ハァ! ハァ! 何たる俊足! 何たる逃げ足で御座るか!」
「フッ、フハハハッ! やった! やったぞ! 俺は生き延びる事が出来たどー!」
俺は死の試練を乗り越え生還した。 自分の中にある生を感じ取り、其の喜びを噛みしめる。
ゴン!
「あたっ!」
そんな俺の後頭部にアーダさんの拳骨が俺の後頭部に振り下ろされた。
「アホか! 逃げてるばかりでどうする! 攻撃せんかっ!」
「其れが出来んから逃げてたんでしょうが! どうやってアイツ等攻撃すればいいんですか!」
「其の為のウエントリヒだろうが!」
あ、すっかり忘れてた。 ウエントリヒが在ったんだ。 しかし、二人であんな間断なく攻撃されたら使う暇も無いんだけど。
「もうういい! 俺がやる! ソーダとコーダは後で特訓だ!」
「の、望む所で候!」
「フッ! 地獄の鬼神と戯れるのもまた一興で御座る!」
そう言う二人の全身は傍にいる俺からでもガクブル震えているのがよく分かる。 虚勢を張ってる様だが、アーダさんの特訓は相当キツイのだろうな。
俺の対面に立つ戦神アーダさん。
「そう言えば俺の神器をまだ紹介してなかったな。 コイツが俺の神器だ」
そう言うとアーダさんが突き出した右腕の上に光り輝く金色の鷹が乗った状態で現れた。
全身が金属製でまるで生きている様に甲高い鳴き声を上げながら羽を羽ばたかせている。
「コイツは”生きている”神器でな。 他にもこんな事が出来る」
腕に乗っていた鷹がアーダさんの意思に応える様に目が開けていられない位に強く輝く。 その輝きが徐々に収まるといつの間にかアーダさんの大きな体躯には黄金の翼の生えた鎧兜を纏い、其の右手には剣を、左手には盾をそれぞれ持っていた。
「お、親父殿が本気を出して候!」
「拙い! 此れではマサキ殿が危ないで御座る!」
『だっ、大丈夫です! 例え死んでもマキシ様の御力で蘇れます!』
外野のソーダ、コーダ兄弟、オマケにシナモンまで異様に焦っている。
え? 此れってそんなに拙いの?
二柱と一体につられて俺もオロロと焦って仕舞う。
「狼狽えんなマサキ! 単に俺の神器の紹介と次いでにお前の力を測るのに《リヒトアドラー》の能力を出しただけだ!」
アーダさんはそう言うと俺に対して盾を構え、防御の姿勢を取る。
「マサキ、ウエントリを使え。 んでもって俺の盾に向かってお前の渾身の一撃を叩き込め。 それで今のお前の大体の力量が分かる。 ――それとも何か? マサキ、お前はそんな事も出来んのか?」
ヤレヤレといった感じで頭を振りながらアーダさんは言葉を続ける。
「流石は自分の恋人を守れず、其の恋人を恋敵に売っただけの事はあるぜ……」
「何故其れを!?」
其の話はオーグ様にしかしていないのに! ああっ! そう言えば俺、オーグ様に他に喋らない様に口止めとか頼んでなかったわ!
「兄者から事情を聞いた」
やっぱり情報元はオーグ様か……。
「で? お前さんは其れでいいのか? せめてこれから出来るだろう大事なもん守れる位は強くなろうって気概は無いのか?」
ムカッ! 言いたい放題言ってるけど、 其れと此れとは関係ないだろうが! 安い挑発だと分かっちゃいるが、人の人生最大のトラウマほじくり返したんだ! 幾ら神様でも此れは許せない! いいよ! その挑発、乗ってやるよ!
俺は自分の怒りを顕す武器をイメージしてウエントリヒ渡す。 其れは男の力の象徴”パイルバンカー”と”ドリル”。 更には俺の怒りを表現する飛んでく爆弾”ミサイル”。
其れが利き手、右腕に装着された手甲の直ぐ側で形成されるよう意識を集中する。 この時、俺は無意識に神力を使って理力を増幅、制御してウエントリヒにイメージと共に渡していた。 此れが切っ掛けとなり以降、神力が使えるようになっていった。
完成したドリルパイルバンカーミサイルが俺の右手の動きに合わせて付いて来る。
其れを確認した俺は、前方に居るアーダさんに向かってノリと勢いに任せて武器名を叫びながら右腕を正拳突きの要領で思い切り突き出す。 この行為は新たな俺の黒歴史が誕生した瞬間だった。
武器名を大声で叫ぶなんて、今思い返すだけでも恥ずかしっ!
「ドリルパイルバンカア――あああぁぁぁっ!?」
武器名を言い切る前にドリル機能の物凄い回転力に巻き込まれ、身体が高速回転しながら後方に吹き飛ぶ。 そのまま闘技場の分厚い壁に激突して俺は気絶して意識を失う。
気を失った後、此処から語るのはシナモンから後で聞いた話だ。
ドリルパイルバンカーミサイルは高速回転し噴煙を後方に出す。 アーダさんの盾はドリルパイルバンカーミサイルの高速の回転力と突貫力で突き破るが、盾の防御力が途轍もなく高い為にドリルパイルバンカーミサイルの先端が盾の向かう側に飛び出た所で止められてしまう。 が、此れはミサイルでもある。 止まった瞬間、ドリルパイルバンカーミサイルは弾けた。
「くっ! 拙い!」
ドリルパイルバンカーミサイルが弾ける寸前、戦神アーダは本能的に危険察知、盾を素早く手離してその場を離れた。
直後に起こる耳に轟く爆裂音に視界を覆い尽くす閃光と凄まじい爆風。
「うおおおぉぉぉーーーーーーっ!!!!」
顔前で両手をクロスして爆風に耐える。
「さ、流石にアレはまともに受けたら俺でもヤバかったな……」
爆心地には砕かれた盾と直径5m、深さ1mのクレータが生まれていた。
「盾はまた再生する。 ……しかし、俺の神器の盾を突き破って爆砕するとは。 コイツはおもしれえ!!」
しかし、と、顎に手を当てて考えるアーダ。
「まだ理力と神力を使い慣れてない所為で力に引きずられているな……。 よし! 今日からお前もソーダとコーダと一緒に俺がみっちり鍛えてやるぜ!」
「嫌です」
プイ! とアーダさんから顔を逸らして間髪入れずに拒否する。
「何だと!」
「ハッ! 人の嫌がる事言う神様の言う事なんて聞けませんね!」
「だって、俺の目的は飽くまで自衛の為の手段を手に入れる事であって強くなる事じゃないしー。 それに俺、専門は戦闘系じゃないしー。 生産系だしー」
俺の小馬鹿にした様な態度に額に青筋浮かび上がらせて俺の襟首を素早く引っ掴むアーダさん。
「ちょっ!?」
「ハッハッハッ! お前も特訓だ! ソーダとコーダ付いてこい! 三人纏めて特訓だ!」
アーダさんが言い終わると同時に闘技場の中央に一枚の扉が現れた。 そう、文字通り一枚。 扉を開けても闘技場の向こう側の景色が広がっているだけの筈の扉。
しかし、俺の予想は大きく裏切られた。 アーダさんが扉を開けると暗くジメジメとした何だか魂を吸われそうなとっても嫌な雰囲気が漂う洞窟が大きな口を開けて待ち構えていたのだ。
「○こでも○アかよ!」
俺は思わず国民的アニメに出てくるアイテムを想像し、つい突っ込んでしまった。 関西人じゃないけれど、それに近い気風の土地柄で育った俺。 赤子の魂百まで。 体に染み付いた慣習は最早消せないのだ。
「「おお!! 同志が増えた!!」」
ソーダとコーダは仲間と言う犠牲者が増えて喜ぶ。
「嫌だ~!!」
抵抗虚しくアーダさんに無理やり引きずられ、扉の奥に消えて行くのであった……。




