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ローマの闘技場を思わせる建築物。
此処では戦いを司る神達が日々鍛錬に明け暮れる場所。
この闘技場は様々な場所や環境をシュミレートして再現する機能が備わっている。
この闘技場は建築の神とジルさんとの合作で、シミュレータの機能はジルさんが作製した。
「昔はもっと沢山居たんだがなあ。 アシャールの奴にベテラン勢は殆ど殺られて残ってるのは俺一人、後は若い奴等ばっかりだ。 俺もこんなに早く後身を育てる身になるとはな……」
どこか遠くを見詰めて感慨に浸りながら語る戦神アーダさん。
「おっと、イカン。 老けるにゃあまだ早いな! え~と……おう、居た居た! おーい! お前ら、こっち来い!」
砂地で対戦していた二人の大男をアーダさんは大声で読んで手招きした。
「親父殿、遅いで御座るよ!」
「一体何していたで候?」
「わりぃ! ちょっとコイツと話しをしてて遅れた!」
「「おお! 汝は我らが救世主にして勇者マサキ!」」
二人の大音量のステレオボイスに思わず耳を塞ぐ。
アンタ等、声デカイよ!
「コイツ等が俺の息子の武神ソーダに闘神コーダだ!」
「某は体術を司る武神ソーダで候!」
「拙者、武器術を司る闘神コーダでござる!」
「俺はマシンスミス――絡繰りを司る神……らしいです」
自分で言ってて何だが、未だに神様って自覚なし。 だって、それらしい事してないし。
「お前等、マサキの鍛錬の相手してやれ」
「手合わせで御座るか!」
「手合わせで候!」
「「邪神アーダを倒した者が相手ならば是非も無い!」」
「ちょ、ちょっと待って! アーダさん! 先ずはウエントリヒの使い方の練習をするんじゃあ――」
「そんなもん戦ってる内に使えるようになるわ!」
「無理に決まってるでしょうがっ!! そもそも俺は生産系で戦闘系じゃ無いですから!!」
「ん? それなら大丈夫だと思うぞ。 お前の中には邪神アシャールが取り込んだ様々な戦闘系の神の能力が備わっている筈だ。 多分いけるって!」
此のおっさん、やっぱ脳筋だ! あんた、あんまり深く考えずに言ってるだろ!
「いやいや! 無理無理! 俺、今まで生きて喧嘩で勝てた事なんて一度も無いですから!」
「「マサキ殿、そう言わずに先ずは実践あるのみ!」」
「おう! お前等、良い事言った! マサキ、逝って来い!」
ちょっと待ておっさん! あんた、今、逝って来いって言ったか?
「助けてシナモン! 殺されるー!」
『奥様の為にもどうか生きてお戻り下さい』
あっさり見捨てやがった!
「裏切り者ー!!」
◆
マサキがソーダとコーダの手合わせで二柱からの攻撃を逃げまくって回避している頃、戦神アーダとシナモンはその光景を眺めながら会話する。
「で、どうだ? そっちの調子は」
『マサキ様の御陰で順調です。 近日中には事が成るかと』
「そうか……。 アイツも用意周到と言うか、運がいいと言うか。 マサキの奴が神晶を持って現れなければ、俺達は邪神アーダに滅ぼされていたやもしれん。 そうなったら結局アイツも……」
『そう言えば、邪神アシャールに捕まり虜にされた女神の方達はどうなるのですか?』
シナモンに其の質問をされた途端、苦虫を噛み潰した渋面になり答えるアーダ。
「……アシャールの力の影響を完全に消し去る為に全員転生させる.。 アシャールの奴に家族や恋人が取り込まれた身寄りの無い者は記憶を完全に消去する。 今、マキシの奴がユティーファと一緒に其の準備をしてる処だ」
邪神アシャールは如何なる女性をも虜にし快楽に溺れさせるスキル《性愛》と虜にした女性の数だけ力を増していくスキル《性隷》を持つ。
生きている限り此のスキルの影響下に在り続ける。 其れを消すには最早死ぬしか無い。 命を司るマキシなら殺さずに生きながら転生させて魂と精神を浄化する。 其の途中の段階に医療を司るユティーファが介入し、アシャールに関する記憶を一部、もしくは全ての記憶を消し去る。
アシャールに全てを奪われた女神達には酷であるが、そうする事で神々は仲間を失わずに済む。
主神オーグを始めとする神々の苦渋の決断であった。
「其れに虜になった女神達の支配権が邪神アシャールを倒したマサキに移った。 だからって、其奴等を何も知らんマサキに嫁として押し付ける訳にも行くまい? いや、押し付けて解決するなら其れでもいいが」
だからこそ主神オーグはマサキにしつこく嫁の斡旋をしていたのだが、マサキの予想以上のヘタレぶりに流石にそんな重たい事情を持つ女神達を受け入れる事はマサキには無理だと悟り諦めたと言う経緯をアーダはオーグより聞かされていた。
「占術と運命の女神の予言は此処までは成った。 だが、此れから俺達がどうなるかはマサキ次第……」
『きっと、大丈夫です』
「何故そう思う?」
『マサキ様はヘタレですが真面目な方です。 其れにかなりの強運の持ち主。 神晶を手に入れた事、邪神アーダを倒した事、其れに取り殺されずに生き残った事、更には女神様を娶った事。 此れ等がその証左』
「クククッ! ちげえねぇ!」
一柱の神と一体のロボットは新しく誕生した神の行末を見守ろうと心を決めるのであった。




