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工芸の女神リンドさんは森の近くにある小高い丘に建てられたウッドハウスに住んでいた。
リンドさんは少し目尻が下がったおっとりした感じの茶髪でスタイル抜群の美女だった。
『お久しぶりです、 リンド様』
「あ~ら、あらあら。 貴方はマサキ様! 其れにシナモンちゃんまで。 何か御用?」
『ジル様が以前リンド様にお頼みして作って頂いたグローブのサイズをマサキ様の手の大きさに合わせて頂きたいのです』
「ま~あ、まあまあ! 分かりました! では家の中にお入り下さいな」
俺とシナモンはリンドさんに家の中に通され、早速、この家にある工房でウエントリヒのサイズ直しの作業が俺達の目の前で開始された。
グローブが瞬く間に回路の核が取り外され、グローブ部分が分解された。
「で~は、ではでは。 マサキ様の手を私に見せて下さいな。 手の大きさを確認したら生地を継ぎ足します」
俺は言われるがまま、リンドさんに両手を差し出す。
「ふ~む、ふむふむ。 分かりました。 で~は、ではでは。 ぱぱっと終わらせちゃいましょう」
リンドさんは引き出しからウエントリヒと同じ素材で出来た生地を取り出し、作業台の前にある椅子に座る。
これから作業が開始されると思った矢先。
「は~い、はいはい! 出来ました~!」
ノンビリとして口調で作業の終了が告げられた。
「え?」
いやいや! まだで出来てないですよ!と、リンドさんに突っ込みをいれようとしたら、リンドさんの手には先程分解されたウエントリヒが何時の間にか元の形に戻ってた。
「ど~ぞ~。 嵌めて見て~」
リンドさんに渡されたウエントリヒを呆然と見つめる。
『マサキ様、御確認を』
呆気に取られていた俺にシナモンが声を掛けてウエントリヒの出来栄えの確認を促す。
「あ、ああ。 分かった……」
シナモンに促されるままに俺はウエントリヒを嵌めて見た。
サイズがぴったり合っている……。
ホントにサイズ直しがなされていた。
え? どゆ事? 一体何が起こったの?
『リンド様はこの神域で一番の器用さと正確さ、作業速度を誇る女神様です。 ジル様などはその正確さと速さにとても羨ましがってられましたね。 私でも残像を捉えるのが精一杯です』
「いやいや! 速いってもんじゃないから! てか、シナモン見えたの!?」
『飽くまで残像です。 見えた内には入りません』
「其れでもすげえよ!?」
「ま~あ、まあまあ! せっかく来て頂いたんですから、御茶でも飲んで行って下さいな」
リンドさんは農業と園芸の神様から貰ったと言うハーブティーと焼きリンゴを頂いた。
ハブティーの味は馴染みがないので良く分からなかったが、焼きリンゴは焼かれた事で果肉が柔らかくなりジューシーな甘い果汁が噛む程に溢れてきてとても美味しかった。
◆
「よう! マサキ、こんなトコで何してんだ?」
リンドさん宅から帰りの途中、髭面で筋肉モリモリの大男、戦神アーダさんに偶然出会った。
戦神アーダさんは主神オーグ様の弟である。 爺むさい喋り方だがナイスミドルのオーグ様と野性味溢れるアーダさんは全然似てない。
可哀想にアーダさんの遺伝子はちゃんと仕事をしなかったようだ。
「おめえ、何かすんごい失礼な事考えなかったか?」
「いえいえ! そんな事ないですよ!」
危な~。 流石脳筋野獣、感がいい。
「だからおめえ……まあいい。 それでマサキ、どうしたんだ?」
「リンドさんに先代のジルさんが作ったグローブのサイズを手直しして貰った帰りです」
俺はアーダさんにウエントリヒを見せた。
「ほう! 其れはウエントリヒじゃねえか! おめえ、其れ、使うのか?」
「はい。 護身用に武器の一つも持っておこうかと思って」
「ふむ……。 だったら其れを使った鍛錬が必要だな。 ちなみに、ジルの奴は其れを使い熟せんかったがな」
「そうなのか、シナモン?」
『はい、なかなか使い勝手が良い武器なのですが、ジル様との相性はあまり良くなかったようで、結局、倉庫の肥やしとなりました』
それで倉庫に仕舞われてたのか。
それにしても相性か……。 確かに重要だ。 一度使ってみる必要があるな。 それにアーダさんの言う通り鍛錬も必要だ。
「なんだったら、これから一緒に鍛錬しに行くか? 丁度、倅共に稽古をつけに行く途中なんだよ」
戦神のアーダさんが一緒なら色々アドバイスが貰えそうだな。
「其れじゃあ、御言葉に甘えさせて貰います。 宜しくお願いします」
「おう! 任せろ!」
こうして俺は戦神アーダさんに稽古をつけて貰うことになった。




