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重たい結婚話に心身共に疲れ果てた俺は、両親に激励を受けて奮起したユティーファに案内されて先代のマシンスミスの家に来ていた。
正直、家というよりも屋敷と言った方がいいデカさだ。
中に入ると何処ぞの携帯会社が開発したロボット――ペッ○ーを女性型にして足が生えた様な人型ロボットが俺達を出迎えてくれた。
此の○ッパー、体型が妙に艶めかしい。
『ユティーファ様、マサキ様お待ちしておりました。 ワタクシは此の家の管理を任されております”シナモン”と申します。 御話はオーグ様より承っております。 どうぞ中にお入り下さい』
俺達は客間に通され、人型ロボット――シナモンから話を聞いた。
『ジル様からの言伝でもし自分と同じマシンスミスが生まれたら此の家をワタクシ共々譲ると言い残しておりました。 ジル様があの様な最後を迎えられたのはワタクシにとっては非常に悲しい出来事でしたが、ジル様の命である以上、此の家とワタクシはマサキ様の所有物となり貴方様に仕えたく存じます』
「じゃあ、これから宜しくシナモン。 マシンスミスについて色々教えてくれ」
『承知いたしました』
その後、俺達はシナモンに家の中を案内して貰った。
「それでは私、今日は一旦、家に帰って荷物を纏めて来ます。 不束者ですが、明日から宜しくお願いします!」
ユティーファは俺と此の家に一緒に住む為、自分の荷物を取りに行った。
「独身貴族も今日限りか……」
俺は自分が選んだ部屋に戻った。
普通なら先代の部屋を使うんだろうが、俺は遠慮させてもらった。
だって、先代のジルさんて女性だったんだもん。
部屋のタンスにには洗濯しているとはいえ使用済みの服や下着があって落ち着かない。
「さて、今のうちに此れの機能でも調べるかな」
俺はジーパンのポケットに仕舞っていたカードサイズになった”元”タブレットPCを取り出した。
「こう、持てばいいのか? うおっ!?」
握りの所にある親指を置く凹みに親指が触れると俺の目の前の空間に3Dホログラムディスプレイモニターが現れた。
「スゲエ……」
試しにタブレットPCを様々な角度や高さ、位置をずらしてみたがディスプレイモニターは俺の見やすい位置で固定されている。 凄い技術だ。
ディスプレイモニターには起動時のOSのタイトルが映し出されているが、頭文字が”W”から始まる名前でなく”HES”に変わっていた。
OSのタイトルに続いて画面にアイコン群が表示された。 此のアイコン郡には全く見覚えの無いものが多々あった
OSのユーザーインターフェイス(UI)のデザインは俺のハマっているネトゲにそっくりだ。
初めは操作方法が分からなかった。 考え込んでいるとヘルプ機能が勝手に立ち上がり、俺の疑問に中性的な合成音声で答えてくれた。
その音声ガイダンスによれば俺の思考を読み取り、其れに合わせて可能な限り自動で全て処理してくれる。
そう、キー入力やマウス操作だけでなく、2D、3Dグラフィック描画や作曲、果てはアプリケーションソフトのプログラムまで俺のイメージに合わせて全自動で作成してくれる夢の様なPCなのだ!
あ、ちなみにカードの凹みに親指を当ててる間は電源が入り、離せば切れる。 勿論、電源が切れてもその間にしていた作業は失われない。
電源は周囲の理力と俺の神様パワー――神力とやらを融合して賄っているらしい。
神力について気になったのでタブレットPCで検索してみたら、神力とは神特有の力で、基本的に理力を爆発的に増幅させ、その増幅した理力を無理なく無駄なく取り出して使用する力の事らしい。
しかし、世界に満ち溢れ、無尽蔵に存在する理力にも扱える量が決まっており、幾ら神様でもその量を超えて扱うことは出来ない。
但し、位階が上がればその分、扱える理力の量も増量する。
理力がなければ神力が代わりになるらしいが神力を消費し過ぎると魂が削れてしまいヘタすると存在そのものが消滅してしまうそうな。
此れは大事な事なので覚えておこう。 俺もまだ死にたくはないし。
最後に神器の名前だが”ヘス”に決めた。 此れはOSのタイトルになっているし、UIのデザインがそれっぽく変化していたから。
決して考えるのが面倒臭かった訳じゃないぞ。
名前を決めた途端、神器から『登録完了。 所持登録者 本郷 正輝』と合成音声でメッセージが流れた。




