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 良く言えば自由気まま、悪く言えば横暴。だが、名君であった王がいた。彼の王に関する記録はいくつも残っていて数え切れない。


 さて、その数え切れない記録の中に王をよく御した宰相の話がある。

 

幼い頃から王に付き従ってきた宰相の名はクラウド。彼は胃痛持ちで若い頃は王に振り回されて苦労していたという記述が多く残っている。

 

だが、その記述はあるときを境になくなる。

 なんでも、名薬を手に入れたというのだ。

 それはちょうど彼が結婚した時期であったため、人々は単なる惚気かと笑って読みとばす。

 

だが、人々は知らない。彼の結婚を機に王都で胃痛によく効く薬が並ぶようになり、病に悩む多くの者を助ける薬の処方箋が出回るようになったことを。

 

知っているのは、宰相夫婦はいつまでも仲睦まじく、隣国への訪問も必ず二人で出掛けるということ。

 

真実を知る者は少ない、でも伝わるものが全て嘘なわけではない。間違いなく、宰相夫婦は仲睦まじかった。

 

ただ、一つだけ真実を伝えるとするなら、隣国王家の代々の肖像画が少しだけ変化していたという。


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