帰ってきた酔っ払い
大阪にあるダンジョン。
珍しく都市部にでき発生した場所からこう呼ばれていた。
大阪城ダンジョン
大阪城公園内に発生し、交通や宿泊等の利便性から日本で最も多くの探索者が活動するダンジョンだ。
そのダンジョンが今まで観測されたことのない状態になったのである。
通常、ダンジョン内の魔物は倒せば10分から1時間程で消え、一定時間後、だいたい1日で再出現する。
その再出現までの時間が従来の10倍以上の時間、十日以上かかるのだ。
しかも消滅までの時間も1分ぐらいになり、素材を取りはぐれる探索者が続出した。
この報を受けダンジョン協会大阪支部はダンジョンの一時閉鎖を決定し、詳細な検証を行うために高ランクの探索者、甲種から丙種までの探索者を調査に向かわせた。
何人かの探索者達が朝早く大阪ダンジョンのゲートに到着した時、ダンジョンからゆらりと一人の男がダンジョンからあらわれる。
男の姿を見た協会職員や探索者達は驚きのあまり、その場に立ち尽くした。
事前に伝えられたゲートの入出記録ではダンジョン内に探索者が残っているはずは無かったからである。
しかもこの男、酔っていた、それもかなり。
手には豪華な酒瓶と思われる物、華麗な装飾を施されたワインボトルの様な物を持っていた。
赤ら顔で千鳥歩き、度を超した飲酒で前後不覚になっている状態だ。
男を見た探索者の多くが ”酔っ払いが誤ってダンジョンに入った?” と考えたが、すぐさま打ち消す。
ダンジョンへ通じるゲートはトンネル状であり途中に幾つも曲がり角がある構造となっている。
不正入場があった場合、警報が鳴り各所に設置されたシャッターが自動的に閉まり入場を阻止。
また、至る所に監視カメラがあり追跡や検証が可能、不正入場は不可能と言われていた。
そして、この男の服装は探索者としてもかなりグレードの高い装備であり、そのほとんどがダンジョンでの拾得物のように見えた。
装備だけで判断すると高ランク探索者である。
その男が千鳥足のままゲートを通過しようとする。
通過には探索者カードを認証機に提示する必要があるのだが、男は提示しなかった。
その為、即座にゲートが閉じ警報が鳴り音声が流れた。
<探索者カードを提示してください。ダンジョン退出にはカードの提示が必要です。繰り返します、探索者カードを……>
ゲート周辺に音声が音声が流れる中、酔っ払った男の声が響く。
「カードだぁ?んなもん……おう、これか?ほらよ……。」
男が懐から古ぼけたカードを取り出しゲートの認証装置に翳す。
<……マイナンバーカードを確認……有効期限切れ……旧カード情報を検索……該当者一名……探索者登録無し。>
スピーカーからあり得ない音声が流れる。
音声を聞いた探索者、協会職員は驚きの表情を浮かべ、あり得ない事態に騒然となっていた。




