ダンジョン法成立
ダンジョン法
災害対策基本法の改正により、ダンジョン関係の法律が追加された。その部分さしてダンジョン法と呼称される。
同時に土地収用法も改正され、ダンジョン汚染の可能性のある土地は強制収用できるように改正、
これによりダンジョンが存在する土地の周辺1kmが政府により強制収用された。
与党が土地収用法改正に踏み切ったのは理由もある。
災害対策基本法や警察官職務執行法であっても、半永久的に駆除が必要であると考えられたダンジョンにおいて一時使用では不十分であった。
また、共産系、いわゆる左翼活動家と地権者が手を組み自衛隊がダンジョンでの魔物駆除を妨害すると言った事例も発生した。
その為、時の総理、高町晩成は土地収用法改正に踏み切ったのである。
当然、野党やマスコミは”政府与党の横暴”、”国民の財産を奪うのか!”と大反発。
しかし、総理の”土地を収用できずダンジョン汚染が起こった場合の責任はお前達が取るのか?”と一喝。
その言葉により野党やマスコミは沈黙せざるを得なかった。
かくして土地収用法は改正され、ダンジョンは国家財産として扱われることとなった。
しかし、ダンジョンは日本国内でも52箇所存在し、恒久的な魔物の駆除には一箇所当たり平均1000人は必要と推定された。
一箇所当たり1000人、52箇所で5万2千人という数は22万人の自衛官を有する自衛隊をもってしても人手が足りない状態(自衛官の仕事はダンジョン対策だけでは無い)であった。
その上、魔物の駆除は環境省や防衛省、魔物のドロップ品の換金は財務省、武器の管理は国家公安委員会、土地汚染は国土交通省……と、役所の縦割りのせいで、ダンジョン汚染が広がる緊急事態に対応でき無いことが考えられた。
その為、すべての権限を1つに集約し、「武器の管理」「ダンジョン探索の認可」「魔物の駆除」「素材の流通」を迅速に行うワンストップの国家機関が制定された。
それがダンジョン省でありダンジョン協会である。
ダンジョン探索の許可はライセンス、所謂免許制であり、更新は3年に一度。優秀な探索者は5年、運転免許の様な物だ。ただし運転免許とは違い準国家公務員の身分も与えられ、同時に義務も生じた。
ライセンスにはランクがあり、それによって移動できる階層が決められている。
ランクは上から、甲、乙、丙、丁となっている。(後のダンジョン法改訂で優、良、可を追加)
このランクはマイナンバーカードでも刻印されカードを見ただけでランクがわかる様になっている。ただし、ライセンス修得禁止である不可の表示はこの限りではない。
ランク外の階層に行く事も可能だが、発覚した場合、ライセンス取り上げと向こう3年間のライセンス更新禁止という罰則(実質免停)が課されていた。
またダンジョンで魔物を倒した場合に出ることのある戦利品の規定は、民法第239条第1項の無主物先占の規定に基づき探索者の物。
ダンジョン内の宝箱から出た物は埋蔵金と同じ処理、民法第241条および遺失物法の規定により半分が地権者である国、もう半分が発見者である探索者の物とされていた。ダンジョン協会に届出さえすれば6ヶ月の保管期間はなく、即日両者に所有権が発生する事となった。
しかし、ダンジョン内の宝箱からと魔物からの戦利品の区別を付けることは難しく、戦利品だと申告されればそれを否定することは出来なかった。
その為、執行から五年後に法改正が行われ、宝箱からの物品も戦利品とされた。
この改正で全ての戦利品に届出が義務づけられ、届けない場合は遺失物等横領罪が適用されることも明記された。
ダンジョン法制定前にダンジョンに入った者は立入禁止場所等侵入の罪(軽犯罪法1条32号)にもとづき、『厳重注意と科料1,000円、ダンジョンに限ってそれ以外の罪には問わない』と明記された。
だがしかし、入って行方不明になった者をどの様に取り扱うかは制定されていなかった。
それもそのはずである。
ダンジョンの魔物は浅い階層でさえ凶悪な魔物であり、どの魔物も人類、いや地球上のあらゆる生物に対して憎しみを持っているかの様な攻撃性を備えていた。
その為、長くダンジョン内で行方不明になった者、それもダンジョン法制定前に入った者が生き残る事はまず考えられなかった。
ダンジョン初期に入った行方不明者は死亡しているだろう。
そんな考えが大半だったが、それが覆されたのはダンジョン法制定から10年の歳月が過ぎた頃だった。




