14-1:離脱理由ランキング
2025年の冬から2026年の春にかけての期間は「第2回Ruhuna小説大賞」と「第8回アイリス異世界ファンタジー大賞」の応募作品を読んでいました。
もちろん全ての作品を読むのは無理なので、読みたい条件で絞り込んでいます。
読み始めたとしても、最後まで読める作品ばかりではありません。
今回は156作品中88作品、読むのを途中でやめました。
なぜ読むのをやめたのか。
その理由が明らかになれば、作者さまの役に立つ情報になるかもしれない。
そう思った私は、読むのをやめた理由をデータとして集めてみることにしました。
というわけで、私が作品を途中で読むのをやめた理由(離脱理由)をランキング形式で紹介しますね。
けっこう厳しいことを書いています。
繊細な作者さまは読まないことをおすすめします。
あくまでも私の離脱理由なので、他の人から見ると「なにそれ?」みたいな理由もあるかもしれません。
心の準備はできましたか?
それでは、どうぞ!
1位:「キャラにリアリティがない」
2位:「物語の目的・主人公の目的がよくわからない」「テンポが悪い。不要なエピソードが多すぎる」
3位:「文章の基本ルールが守れていない」
4位:「参考文献を使っていない。知識が乏しい」
5位:「描写力の不足。文字数の多いあらすじ。説明文ばかり」
6位:「不快なほどのご都合主義。読み応えがない」
7位:「メリハリがない。キャラの関係性に変化がない」
8位:「説明不足。情報提示のタイミングがおかしい」
9位:「不要な視点変更。時系列の乱れ」
10位:「恋愛要素が少なすぎる。メインが明らかに恋愛以外」
11位:「推敲不足。辞書を引いていない。文章が稚拙」
12位:「主人公が受け身で、自分から動かない」
13位:「一人称・三人称を使いこなせていない」
14位:「主人公が恋愛しそうにない。可愛げがない」「不快なシーンが多い。その不快さを上回る魅力がない」
15位:「主人公に嫌悪感を覚える」
16位:「セリフのセンスがなく、棒演技にしか見えない」
17位:「目的を達成するために動いていない。目的を阻む壁がない」
18位:「主人公の目的に賛同できない」
19位:「敵キャラ・脇役キャラが安っぽい駒」
20位:「女性向けとは思えない不快な表現がある」
21位:「描写が丁寧すぎて退屈」
ここからは、ちょっと詳しく書いていきますね。
1位:「キャラにリアリティがない」
離脱した88作品中75作品が該当。
具体的には「言動の矛盾がある」「完璧すぎる」「作者さまの操り人形にしか見えない」「主人公がヒーローに好かれる理由が謎」「無個性」などですね。要するに、このキャラには共感・納得できないなあ、と思っちゃったらアウト。
ちゃんとキャラに命を吹き込んでください。血が通った人間にしてください。
2位:「物語の目的・主人公の目的がよくわからない」「テンポが悪い。不要なエピソードが多すぎる」
離脱した88作品中63作品が該当。
プロットを練らずに、勢いだけで書き始めたらこうなりがち。序盤でしっかりと物語の方向性を明示して、必要ないエピソードは削りましょう。主人公の目的は第3話までに出すのがおすすめ。遅くても第8話までには明らかにしておきましょう。
3位:「文章の基本ルールが守れていない」
離脱した88作品中59作品が該当。
基本ルールを守れない作者さまって、そもそも読書量や作品研究が不足しているんですよね。だから、文章が読みにくい。良質な書籍をたくさん読んで、書き方を研究することをおすすめします。文章の基本ルールって何? と思った方は、このエッセイの「7-1:アイリスIF5大賞を分析&考察してみた!」という部分に書いているので、参考にしてくださいね。
4位:「参考文献を使っていない。知識が乏しい」
離脱した88作品中54作品が該当。
ものすごく博識な人ならまだしも、普通の人が何も調べずに物語を書くと、薄っぺらいお話になりがちです。その知識は間違ってるよ? と言いたくなるものすらあります。ネット検索でもいいので、しっかり調べてから書きましょう。
5位:「描写力の不足。文字数の多いあらすじ。説明文ばかり」
離脱した88作品中53作品が該当。
これは、プロットや設定を読まされている気分になりますね。マンガでたとえると、背景がほとんどなくて、棒立ちのキャラがセリフだけしゃべっている感じ。今どんな場所にいるのか。キャラはどんな表情やしぐさをしているのか。丁寧に描写しないと、読者にはまったく伝わりません。
6位:「不快なほどのご都合主義。読み応えがない」
離脱した88作品中48作品が該当。
ご都合主義が悪いわけではないのですが、度を過ぎると見ていられなくなります。チート要素を安易に入れると、こうなりがち。ゆるふわ設定と書いてある作品も、読み応えがないことが多いです。だから、ゆるふわ設定とあらすじに書いてある作品は、正直あまり読む気になりません。
7位:「メリハリがない。キャラの関係性に変化がない」
離脱した88作品中47作品が該当。
序盤の段階で、ある程度ストーリーに起伏が感じられないと、読者は退屈してしまいます。作者さまが大きな変化をつけたつもりでも、読者にとっては大した変化に感じられないことも。これでもかと大げさに演出するくらいでちょうどいいです。
8位:「説明不足。情報提示のタイミングがおかしい」
離脱した88作品中46作品が該当。
独特すぎる世界観を持つお話やシリーズものの続編は、大体ここに引っかかります。読者は作者さまの頭の中を覗くことはできません。説明されなければ、何もわからないのです。主人公(語り手)が知っている情報をわざとらしく隠すのもやめましょう。主人公に共感できなくなります。
9位:「不要な視点変更。時系列の乱れ」
離脱した88作品中45作品が該当。
主人公視点で始まったのに、なぜか突然ヒーロー視点が入る。しかも、そのヒーロー視点のお話は主人公視点で既に見たエピソード。こういうのが本当に多いです。同じエピソードを別人視点で語られても退屈なだけ。さっさとお話を進めてください。それから、視点が固定されていないお話はすごく読みにくいです。神視点は今の主流ではないので、やめた方がいいです。
10位:「恋愛要素が少なすぎる。メインが明らかに恋愛以外」
離脱した88作品中35作品が該当。
異世界恋愛ジャンルに設定しているのなら、きちんと恋愛メインのお話にしてください。復讐とかどうでもいいです。そういうのはハイファンタジーかヒューマンドラマでやってください。異世界恋愛ジャンルにジャンル違いのお話が多すぎて、泣きそう。
11位:「推敲不足。辞書を引いていない。文章が稚拙」
離脱した88作品中29作品が該当。
誤字脱字はもちろん、言葉の誤用が多い作品や文末表現のバリエーションが少ない作品などは読む気が失せます。これは100pt未満の作品に特に多いかな。基本が全くできていないので、中学3年レベルの国語の問題集をやることをおすすめします。せめて常用漢字くらいは正しく使いこなせる力をつけてください。
12位:「主人公が受け身で、自分から動かない」
離脱した88作品中28作品が該当。
溺愛系は大体これ。継母に虐められて辛い……と言いつつ、現状を変える努力をしない。なぜかイケメンヒーローが助けてくれて、あとはいちゃいちゃしてるだけ。こういうお話は退屈です。物語というものは、基本的に『主人公が』何かをしようとする姿を見て楽しむものです。何もできない主人公には魅力を感じません。
13位:「一人称・三人称を使いこなせていない」
離脱した88作品中25作品が該当。
一人称で「ヒーローが『主人公ちゃん、可愛い……』とつぶやいたけど、わたしには聞こえなかった」とか書いてあると叫びたくなります。「異議あり! 聞こえてないなら、語れるわけがない! 語り手は噓をついています!」と。それと、一人称で書き始めたのなら、最後まで一人称で統一してほしいです。視点を変えるときに三人称を混ぜる作者さまが多いんですけど、これはすごくもやもやします。
14位:「主人公が恋愛しそうにない。可愛げがない」「不快なシーンが多い。その不快さを上回る魅力がない」
離脱した88作品中23作品が該当。
勇ましすぎて女性らしさを全く感じない女性主人公。しかも全然恋愛しそうにない。なぜ恋愛ジャンルに来たんだ、と問い詰めたくなります。不快なシーンが多いのは、復讐ものとか離縁ものですね。不快なシーンを上回る魅力があればいいんですけど、それが全く感じられないお話が多すぎます。そういうのは読めば読むほど不快になるので、さっさと読むのをやめます。
15位:「主人公に嫌悪感を覚える」
離脱した88作品中22作品が該当。
チートや復讐、離縁系のお話に多いです。なんで何も努力してない人間が、いい思いをしてるんだろう。なんで自分の悪いところを顧みることなく、悪いのは相手だと決めつけているんだろう。自己中心的な主人公は無理です。「自称サバサバ系」「ぐうたら系」など、現実にいたら嫌だ、こうはなりたくないと思う主人公も無理。この主人公とは友達になりたくないと思ったら、その時点でアウトです。
16位:「セリフのセンスがなく、棒演技にしか見えない」
離脱した88作品中21作品が該当。
センスがないと、味気ない翻訳文みたいな会話が繰り広げられます。「これは婚約指輪ですか?」「はい、婚約指輪です。結婚しましょう」みたいな。いいシーンのはずなのに、全然盛り上がりません。もっとキャラの個性や性格を踏まえたセリフに変えてください。
17位:「目的を達成するために動いていない。目的を阻む壁がない」
離脱した88作品中17作品が該当。
これは2位の「物語の目的・主人公の目的がよくわからない」をクリアした先にある問題なので、順位が低くなりました。たとえば「素敵な人と結婚する!」という目標があるのに、婚活もせずにスローライフを始めたらおかしいですよね。早く婚活してくださいと言いたくなります。目的を阻む壁も作りましょう。婚活中に幼馴染が邪魔してくるとか、そういう壁(障害)がある方が続きを読みたくなります。
18位:「主人公の目的に賛同できない」
離脱した88作品中10作品が該当。
離縁系に多いです。「旦那が嫌な奴なので離婚してやりますわ!」とか言ってるのを見ると、「ああ、そうですか。勝手にしてください」と言いたくなります。目的を達成するまでの過程にワクワクできる気がしません。もっと前向きな目的を持った主人公を応援したいです。
19位:「敵キャラ・脇役キャラが安っぽい駒」
離脱した88作品中7作品が該当。
敵キャラや脇役キャラにもそれぞれの人生があって、みんな自分の人生の主役なんです。面白い作品の敵キャラには、ファンがついたりもしますよね。そんなキャラをポンコツにしないといけないのは、主人公に魅力がないからです。つまり、キャラ作りが全くできていないということ。全キャラの履歴書でも作って、それぞれの人生を書き出してみるといいと思います。
20位:「女性向けとは思えない不快な表現がある」
離脱した88作品中5作品が該当。
タイトルとあらすじで女性向けかな? と悩みながら読んだ作品で出会うパターン。これは女性向けじゃなかったな、と思って離脱します。というか、女性向けのコンテストに応募されている作品だけを読んでいるはずなのに、なんで出会ってしまうのかが不思議。
21位:「描写が丁寧すぎて退屈」
離脱した88作品中0作品が該当。
今回読んだ作品の中には当てはまるものがなかったです。それくらい希少な離脱理由。これは、アイリスIF7大賞のときに該当するものがありました。書籍化作家さんの作品だったと思います。描写がくどくて全然話が進まないので、続きを読むのを諦めました。文章自体はすごく読みやすかったんですけどね。
それぞれの項目については、以上です。
9位(88作品中45作品が該当)までは、多くの作品が引っかかるところみたいですね。
あとは、作品と文章の雰囲気が合っていない作品も読みにくかったなあ。
ほんわかな雰囲気のお話のはずなのに、地の文で『宿痾は断ち切れないが、恋情は募るばかりだ』とか言い出したら驚きますよね。
作品の雰囲気に合わせた文章にできるかどうかって、意外と大事なのです。
他にもいろいろ思うところはあったんですけど、項目を増やすのが大変だったのでやめました……。
こうして離脱理由を並べると、あまりに多すぎて頭を抱えてしまいますよね。
でも大丈夫。
該当するのが5つまでなら普通に読みます。読めます。
6つ以上だとさすがに辛いので、読むのを諦める確率が高くなりますけど。
それでも、その欠点を上回る魅力があれば読みます。
思わず推したくなるキャラがいるとか、ワクワクする展開があるとか。
だから、離脱理由を気にするよりも、まずは自分の作品の魅力を最大限に見せる方がいいかも。
序盤20000字までは、本当に大事な部分です。
納得いくまで推敲・改稿をして、読者に続きを読みたいと思ってもらえる作品にしましょう!
あ、でも、考えすぎて何も書けなくなるくらいなら、離脱理由のことも、作品の魅力のことも、推敲・改稿のことも、すべて忘れてもらってかまいません。
とりあえず、何でもいいから書く。
書いていれば、そのうち上手くなります。
何かひとつでも、参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。
第2回Ruhuna小説大賞の結果発表は2026年6月予定。
もうすぐですね。
どんな結果が出るのか、楽しみです!




