第63話 再会、そして……
「起きなさい……まだ、眠るには早いですよ」
暗闇の中で聞いたことのある声が頭の中を巡り続けていた。
「ほら、仲間が待っていますよ……」
その言葉と共に真っ暗だった目の前が徐々に明るくなっていく。
「さぁ、起きなさい……オルハ」
そして辺りは眩い光に包まれて行った。
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「あ、ずっと寝ていた人が目を覚ました!」
ゆっくりと光は無くなって、目の前に映し出されたのは大きな目と口……
それに頭に耳が生え……どう見ても人間ではなかった。
すぐに刀を抜こうとするが、ビリビリと身体中に電撃かと思える痛みが走り、言葉にならない声を発してしまう。
「こらこら、そんなに大きな声を出したらダメって言ってるでしょ」
その奥から姿を見せたのは1人の女性。
こちらは人間のようだが……。
「ようやく目を覚ましたみたいね、具合はどんな感じ?」
女性は私の目の前にやってくると、腰を落として私と同じ視線に合わせていた。
腰まで伸びた黒髪の女性だけれども、どことなく誰かに雰囲気が似てるような……。
「……ここは?」
ゆっくりと周囲を見渡すと木造の住宅なのだろうか、家の所々に枝が見えており、そこから小さなが葉が生えていた。
たしか下北沢ダンジョンで黒いドラゴンと戦っていたはずだけど……。
「獣人族の集落だよ、ビックリしたんだよ、上の方から崩れるような音がしたと思って様子を見に行ったらあなた達が倒れていたんだから!」
女性はオーバーと思えるぐらいの身振りで説明していた。
「……2人は!」
シオンとエンジュさんの姿がないことに気づき、咄嗟に体を動かしてしまい、再び体に電撃が走り、自分でも聞いたことのない声をあげてしまう。
「こらこら、無理しないの。 10日近く寝てたんだからすぐに体を動かすなんて無理に決まってるでしょ」
女性は私の体をゆっくりと倒していく。
「……10日も寝ていたんですか?」
「うん、てっきり死んじゃったのかと思ったぐらいぐっすり寝てたよ、極限まで体力を消耗したの?」
ノワールドラゴンとの戦ってる時は体力の限界に達しようとしていた。
けれども似たようなことは何度もありはしたが、かかっても2日で体力は戻っていた。
もしかしたら、最近はシオンやエンジュさんに頼ってばかりだったので体力が落ちてしまったのかもしれない。
「それよりもシオン……私と一緒にいた仲間は!」
「安心して、2人の仲間も平気よ、2日ぐらいで目を覚まして普通に動けてるから、今は買い物にいって——」
「——戻ったよー!」
女性の話を遮るように遠くからシオンの元気な声が聞こえてきた。
「アヤ姉! 商店街のオークさんからよくわからない果物をもらったんだけど——」
シオンとエンジュさんはこちらに姿を見せると、私を見て大きく目を開けていた。
「お、オルハさん!!」
持っていた果物らしきものを持ったまま私の体に抱きつくと、大きな声をあげて泣き出していた。
「よかったあああああ! 全然目を覚さないから、ものすごく心配したんですよおおお!!!」
心配してくれたのは嬉しいけれども……。
抱きつかれたことで、体中に走った痛みでそのまま私の視界は真っ黒になろうとしていた
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「ごめんなさい!!」
「……う、うん大丈夫、心配してくれてありがとう」
女性がシオンに叱責したことで何とか気絶を免れた。
勢いもあったのか、まだ体の一部は痛みが残っているが。
「まったく、突発的なことは相変わらずなのね……」
女性はため息をつきながらシオンの頭を撫でていた。
「もう、頭撫でないでよ! 私はもう子供じゃないんだから!」
「私からしたらシオンはずっと小さな子供みたいなものよ」
笑顔でシオンの頭を撫でていく女性だが、シオンは彼女の腕を掴むと自分から離していく。
そんな2人のやり取りを見ていると微笑ましく思えてしまう。
「ってそうだ、オルハさんにも紹介しておかないと! 以前話したと思うんですが、探していた私の姉です」
そう言ってシオンは女性を手で示していた。
紹介をされた女性は私の方へゆっくりとお辞儀をしていく。
「いつも妹がお世話になっております、シオンの姉の桐生彩愛と申します」
「……えっと、私は」
「シオンから聞いていますよ、桜坂織葉さんで桜坂弦一郎隊長の娘さんですよね?」
シオンの姉、彩愛さんはじっと私のことを見ていた。
もしかしたら、父のことがわかるかもしれないと思うと、心臓が跳ね上がる感覚がして行った。
抱きつかれた時の痛みと一緒に……




