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第三十一章 怒りをこめて

「・・・・・やっと、ついた。」


 人の姿に戻ったルナとウィンクルとともに高台から汚らしい街並みを見下ろす。

 ここはあたしの母国、モチノキ。この国はとても小さな国でとても貧しい。この一番貧しく、一番絶望的な国からあたしはあたしによる世界の革命を始める。


「・・・相変わらず、汚いなぁ・・・・。」

「こんなところでプミラは育ったのか・・・・。」

「ああ。」


 政府もなにもない、まさに無法地帯。国家であるかすら怪しい、暴力と怒りと憎しみが蔓延る国・・・・それがモチノキだ。こんな国すぐに潰せるし、むしろいっそどこかの国に侵略されてしまえば今よりはまだマシになる気がする、が、あまりに貧しすぎるがゆえにどの国もこの国を欲しがらない。こんな国を手に入れたところでその国が崩壊に一歩近づくだけだ。それに、この国は砂漠に囲まれた国なのでそもそもこの国にくること自体が困難だ。


「・・・・さて、なにからはじめ、

「火だ。」

「え?」


 突然、鼻をひくつかせながらルナが呟いた。

 火?どういうことだ?それがどうしたんだ?


「大きな火の臭いがする。」

「どこで?」


 火事ということか?


「間違いなく、ここら辺。だけど、なんかおかしい。家庭からでる火とかじゃない。これは・・・・

「おい、逃げるぞ!!!」

「どうしたの!?」

「火がこっちにくる!」

「え!!!?」


 ここは・・・逃げるしかないだろう。でも、なぜ突然火なんか・・・・。


「ルナ、精霊体になれ!!!」


 ルナが慌てて兎のでっかい姿に戻る。そして、その背に二人で飛び乗る。


「とりあえず、飛んでくれ!ルナ!!」

【ウン!】


 ルナが飛び上がると、あたしたちのもともといた高台は一瞬にして火に包まれた。


「・・・・え・・・・。」


 モチノキの汚らしい街並みは、あたしが一瞬目を離したすきに一変していた。汚いものも、小綺麗なものも一瞬にして炎に包まれていた。ありとあらゆる場所から、たくさんの悲鳴が響きわたる。だが、逃げ道はない。この、モチノキという小さな国家は完全に炎に囲まれていた。


【オカシイ。コレハ絶対ニ・・・・

「僕がやったよ。」


 ウィンクルの精霊へ助けを求める声とザーザーと振る雨の音、ルナがなにやらブツブツ呟いている声・・・・そんな音があふれるなか、背後からとても聞き覚えのある、とても澄んだ声がやけにクリアに聞こえた。


「・・・・・ミコ。」


 ミコは空中にたっていた。浮いているのではない。 たっていた(・・・・・)。そして迷いのない足取りで、こちらに向かって歩いてくる。空中に地面があるかのようにしっかりと空中を踏みしめながら。


「僕、思ったんだ。全部の国をつぶしていけば、全部の国がなくなったとき・・・・また僕のところに戻ってくるんじゃないかって。帰るところも、行く当てもなくなって・・・僕のところに戻ってくるんじゃないかって。・・・・だから、手始めにこの国を燃やしておいたよ。だって、プミラがこの国に一番に行くってまえいってたから。」


 ・・・・狂ってる。


「ねぇ、お願い。僕の手をとって。僕のことを選んで。そうしたら、この炎も消してあげる。」

「・・・・・・・・。」


 ・・・・・・あたしは、脅されているのか。この国のすべての生命を人質にされて。あたしに、自分の未来とこの国の未来を天秤にかけろと?

 ・・・・・そんなの、決まってるじゃないか。


「・・・・・・ねぇ、


 あたしはどっちも選ぶ。あたしは絶対に妥協なんかしない。


 



次が最終話です。

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