最終章 愛をこめて対話を
これで一応完結です。
「ミコ。」
あたしの呼びかけにミコは首をかしげた。
「…どうしたの?決まったの?」
……。
「ミコ。ミコはどうして怒ってる?」
「…プミラが、また僕から逃げたから。」
「神殿から去ったことじゃなくて…ミコから逃げたから怒ったんだな?」
「………うん。」
「…だったら、まず…ミコの感情を無視して神殿をでたことは…ごめん。」
「……僕は別に…謝ってほしいわけじゃない。ただ…一緒にいてほしいだけ。」
「…じゃあ、ミコ。」
……もしかしたら。
「…ミコは…神殿は好きか?」
「…どちらでもない。」
「神は?」
「……好きだよ。」
「神殿で働いてたい?」
「…働いてもいいけど、べつに神殿じゃなくてもいい。でも、僕が僕であるために神様に関わる仕事をしていたいとは思う。」
「貧乏暮らしは嫌か?」
「僕は…プミラがいるところだったら…どんな生活でもどんなところでも好きだよ。」
「……そっか。」
……最初から、こうしていればよかったのかもしれない。
「ミコ、あたしたちと一緒に子供たちに勉強を教えないか。」
「…え?」
「そうすれば、あたしと一緒にいられるし、子供たちに宗教について教えればそれって神に関わる仕事っていえるんじゃないかな。それに、あたしも夢を叶えられるし、ミコがいればきっとこの旅も色んな意味でめちゃくちゃ楽になる。…どうだろう?一石百鳥って感じじゃない?」
お互いがハッピーになれる…winwinというやつだ。
「えっと…」
「それとも、やっぱり神殿で過ごしたいか?」
「う、ううん。」
動揺しているのか、ミコの瞬きの回数が異常な回数になっている。
「今あたしはミコを選ぶことはできない。でも、しばらくは誰も選ぶつもりはない。だから、これからもっと頑張ってあたしをメロメロにするんだ。そうしたらミコを選ぶ日もくるかもしれない」
「…えっと、あの人…は?」
そういってミコはウィンクルのほうを見つめる。…そうだった、ミコの前でひと芝居うったんだった。
「…ごめん、ミコに諦めさせるための嘘。」
「……そう、だったんだ……。
ミコは安心したように胸元で両手を絡ませた。
「…あたしはもうミコから絶対に逃げないし離れない。だから、頼むから火を消してくれ。」
しばらくじぃーっと眼下の燃える街並みを見つめた後、やがてミコはゆっくり頷いた。そして、手を上にゆっくりあげた。
「……神よ、炎の神と水の神よ…どうかこの炎を消したまえ…。」
すると、ウィンクルが精霊の力を借りていくら雨を降らせても消えきることのなかった炎があっという間に消えた。
「き、消えたー!!!消えたぞー!!!!」
「いっとくけど、ウィンクルのおかげじゃないからね!!!」
「なんだとー!!!?でもなぁ!!俺も頑張ったんだよぉ!!!」
「はいはい。…そういえば、メンバーが一人増えたよ。」
「え?」
ウィンクルの視線があたしの斜め後ろへ動く。そして、その目は眼球があふれんばかりに見開かれた。
「……ええええええええええ!!!?無の神子じゃないかあああああああ!!!!!」
「うん。」
絶叫しているウィンクルを横目に、挨拶をしろとミコを小突く。
「…よろしく。」
「え、ああ、えっと…よろしく?」
【チョット待ッテ、僕チョットヨクワカンナイ】
「まぁ、とりあえず、さっきの高台に戻ろう!!話はそれからだ!!…ミコ、これからについてもっと詳しく決めるから、覚悟するんだよ!!」
まずは、ユリに連絡をとって…いや、ヒメユリに連絡をとるべきか…?それにしても、神子をさらった(わけじゃないけど、きっとそう思われるであろう)罪は重そうだ…終身刑?いや、死刑か…。
残念だけど、きっとユリには二度と戻れないな…。ミコの手を引いてルナの上にのせながら、ミコ…というより神殿やユリへの対応を考える。
「……これからも、よろしくね。ミコ。」
「…うん。…ねぇ、プミラ。」
「なに?」
「…ずっと一緒にいてくれる?僕がプミラを守っていい?」
「ああ。お互い守りあおう。お互い支えあおう。」
「……ありがとう。」
そういってミコはあたしの手をぎゅっと両手で握りしめた。
あたしはミコのぬくもりを手に感じながら、あたしたちの未来…辛いことや悲しいこと、きっとそんなことにあふれていて…でも、きっと楽しくて幸せであろう未来に思いを馳せた。
この四人でいればどんな困難も乗り越えられる。あたしはそう信じている。
…だから、あたしたちの未来は明るいのだ。
正直最初はバットエンドの予定でした。でも、努力し他者を理解し救済しようとするプミラが不幸になるのはなんだか違うような気がして結局このENDとなりました。
近いうちに、IFの世界として別ENDを投稿する予定です。




