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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第16章 終焉編
96/119

61 激戦

続きます。

天空から降下してきたトライポッドが大地に激突して次々に爆炎と土砂煙を吹き上げる。

その中から黒いメタリックな球体とそれを支える三本の脚を持つ全長二十mの異形の姿が現われる。

その数は千体を越え更に降下は続いていく。

トライポッドは頭頂部の三対の巨大な眼球を展開、更に脈打ち始め一気に数倍の大きさに膨れ上がった。

そして緩やかな窪地の中心に佇む疑似火竜(サラマンダーゴーレム)土の巨人(マッドゴーレム)に目掛けて最初から最大出力(バーストモード)分解消去光線(ディスインテグレード)を放ってきた。

全長五mの疑似火竜(サラマンダーゴーレム)は瞬時に吹き飛んでいき土の巨人(マッドゴーレム)も百mを超える巨体とはいえ前回の百倍以上の最大出力(バーストモード)で放たれた分解消去光線(ディスインテグレード)の攻撃に各部位がドンドン抉られていく。

百体の疑似火竜(サラマンダーゴーレム)はあっという間に消え去りトライポッド達は土の巨人(マッドゴーレム)に攻撃を集中した。

千体以上のトライポッドから黒い暴風のように分解消去光線(ディスインテグレード)が放たれ叩きつけられる。

闇色のカーテンに包み込まれ土の巨人(マッドゴーレム)もあっさり消滅した。

数の暴力で土の巨人(マッドゴーレム)を圧倒したトライポッド達はなおも土の巨人(マッドゴーレム)が立っていた位置に向けてズシンズシンと三本脚で大地を踏締め進んでいく。

突如大地にゴゴゴッツと激震が走った。

土の巨人(マッドゴーレム)が立っていた位置を中心に脈打ち液状化したかの如く波紋が広がっていく。

トライポッド達は歩行バランスが取れなくなり脚を止めた。

大地の波紋は止まずなおも大きく広がって渦巻き始めた。

トライポッド達は大地が危険と判断し飛び退こうとするが時既に遅く文字通り液状化した地面がスライムのように伸び上がりその脚を絡め取り地の下に引き摺り込み始めた。

脚を激しく動かし暴れるトライポッド達を土の触手は柔軟に伸び縮みし粘着的に包み込んで拘束力を維持強化して呑み込んでいく。

渦巻く大地が流砂の如くトライポッド達をその中心部に向け押し流していく。

足元の地面に分解消去光線(ディスインテグレード)を放つ個体もあったが只でさえ安定を欠いた状態で放つそれは自らの身体を消滅させ自壊していくだけで土の触手の方は脚の消滅させられた反対側の残った部分から更に触手を広げて拘束を維持するため意味がなかった。

脚を丸ごと消滅させた個体もあったが残った頭部に土の触手が絡め付き引き摺り込んでいく。

中心に至ったトライポッドはどんどん地面の下に呑み込まれ消えていった。

全てのトライポッドが引き摺り込まれ消えた後地の底から激しい軋み音が響き続けた。

それは徐々に高く重くなっていき最後の方では高周波のようになっていた。

ドドドドドゴーン!!!!!

大地が大きく盛り上がり全てを圧する轟音が地の底から響き渡りそして大地が赤熱化して融けていった。

窪地全体がマグマの海と化し中心部では溶岩蒸気と思しきものが吹き上がり空気と反応して激しく燃え上り厖大な量の噴煙が広がっていく。

その火炎地獄の爆煙の中から二体の全長二十mの人型の物体が浮かび上がってきた。

トライポッド達とは明らかに違うフォルムで人型を黒い龍鱗の装甲で覆い頭部は竜の咢を模し両腕両脚の外側に円筒状の筒が装着されておりそこから魔力光が放出されその巨体を中空に滞空させていた。

一体は人型として見るとやや華奢な体躯でその全長と同じ長さの大筒を両腕で持ち背中にも一本の太刀を斜めに背負っている。

大筒からは厖大な熱量が今も余熱として放出されておりたった今強力な一撃を放った事が伺いしれた。

もう一体は手ぶらであったが背中に太刀を背負っているのは同じだった。

『こちら竜の鎧(ドラグーン・アーマー)01。討ち漏らしが十体下方より接近中だ。紗耶香が対処してくれ。竜砲(ドラグーン・バスター)はこちらで預かる』

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02。了解、迎撃に入る』

内蔵された通信用魔道具を介して勇気と紗耶香は連絡を取り合った。

竜砲(ドラグーン・バスター)と呼ばれた大筒が勇気の乗る竜の鎧(ドラグーン・アーマー)01に紗耶香が乗る02から手渡される。

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)

其々の搭乗者の血肉をゴルシェ元伯爵の遺した生命魔術の研究資料を元に魔力で万能細胞化し増殖させシオンが帝国の錬金術師を指導して巨竜の龍鱗より編み上げた人型の鎧の内側に合わせて人体に近似させた構造でその生体組織を拡大融合化させた有機パワードスーツである。

機体の自律制御は頭部に定着させた自らの脳のコピーが行い操縦者は使い魔契約魔法でそれと感覚同調して自らの身体のように操っているのだ。

龍鱗の皮膚の内側と生体組織の間には大トカゲ人(リザードマン)用の保温魔道具を改良した厖大な魔力を注ぎ込むことによって超高温極低温までの温度調整を可能とした温度調整用魔道具を配置し編み上げた鎧の僅かな隙間から侵入してくる現在の超高温環境に対処していた。

又生体組織が龍鱗と細胞レベルで結合することによってその魔力の遮断効果をすり抜ける事に成功し竜の鎧(ドラグーン・アーマー)が完全密閉された状態で外部と魔力のやり取りを自在に出来るようにした。

勇気は今回疑似火竜(サラマンダーゴーレム)土の巨人(マッドゴーレム)を囮にして予め地中に忍ばせておいた竜の鎧(ドラグーン・アーマー)に乗り込み地中にトライポッド達を引き摺り込んで一ケ所に集め紗耶香の竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02に持たせた巨竜の吐息(ブレス)発生器官を組み込んで作った竜砲(ドラグーン・バスター)に全魔力を注ぎ込ませて発射させ同時に勇気の最大限の魔力で圧縮するという方法で攻撃を行った。

一見単独で大気圏突入をこなし高温や衝撃に対して物理無効に近い耐性を持っているように見えるトライポッドの装甲だが分解消去光線(ディスインテグレード)で消滅もするし装甲同士で連続的に超過重を掛け続ければいずれ破壊出来るのも分かっていた。

要は掛ける力の大きさと量の問題であった。

深い地中で厖大な超々高温の熱線を受け超々高圧で断熱圧縮されたトライポッド達は強度限界に達し融解して圧潰したのであった。

しかし紗耶香の魔力量では強度限界のギリギリだったのだろう。

僅かに生き残ったトライポッド達が浮上してきたのだ。

因みに紗耶香は気付いていなかったが国境線付近まで逃げ延びていたアルナス軍の更に一割強の騎士達が地表を襲った激震といきなり地上に生じた火山爆発で死に至りかなりの魔力が補充増強されていた。

『紗耶香、気をつけろよ。物理無効の龍鱗と言っても関節部や接合部の僅かな隙間に分解消去光線(ディスインテグレード)を喰らえば只では済まない。中身の生体組織を自力で培養増殖させた俺のようにそっちは内部の損傷を治癒魔法で急速再生させる事は出来ないんだからな』

『分かっている。百体もいる訳じゃないんだ。この数なら何とでもなる。任せろ』

下方のマグマの海から十本の溶岩の柱が立ち上りトライポッド達が飛び出してくる。

身体各部にやや融けている部分が見えるがそれでも何とか稼働可能なのがこの十体なのだろう。

三対の脚が揃えられその足下から青白い燐光が放たれされ猛スピードでこちらに突っ込んでくる。

最大出力(バーストモード)分解消去光線(ディスインテグレード)が放たれるが機動力無視で即製され鈍い動きしか出来なかった土の巨人(マッドゴーレム)と違い竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02は魔力推進器(ルーン・スラスター)から魔力光を煌めかせるように噴出させ紫電の如き回避性能を見せ敵に迫った。

そしてトライポッドの一体の間合いに入ると背中の太刀が引き抜かれ空間に斜めに閃光が走った。

ザン!

太刀がトライポッドを両断していた。

片刃の刃先に走る魔力光はそれが巨大な魔法剣である事を示していた。

竜牙の太刀ドラゴンファング・ソード

シオンが勇気達と共に巨竜の二本しかない犬歯より削り出し作り上げた究極の切断力を持つ全長二十mの巨大な太刀であった。

込める魔力の大きさによって切断力を増していくが現在はさして魔力を込めてもいなかった。

四方に散った他のトライポッドから分解消去光線(ディスインテグレード)が放たれるがそれらもあっさり躱し一体ずつ切り裂き仕留めていく。

やがて最後の一体が横薙ぎにされ斃された。

『勇気!次は?』

『今のところ反応なし』

勇気が全周囲にごく弱い魔力をレーダーのように放ち眼下の沸き立つマグマの海と噴煙で悪くなっている全周囲を索敵していた。

地中で最後の圧縮を掛けた時の手応えからいってもここでの残敵はなさそうである。

『終わったのか?』

『さあ、どうだかな。シオン!どうなっている?』

勇気は竜の鎧(ドラグーン・アーマー)01でマグマの海の上空に厚く立ち込める雷雲を見上げながら問い掛けた。

『こちらシオン00。残念ながら最悪の事態だ』

返答が入った。

『現在世界各所で上空監視にあたっている使い魔達が巨大な物体が降下を開始したのを確認した。大きさは比較対象物がないから正確ではないが横に全長約15kmで胴体部が何箇所か膨れている巨大な莢豌豆型。落下予想地点は進入方向から判断するに恐らくそこだ』

『チッ、確かに最悪だな』

『勇気、そんなものが落ちたらどうなるんだ?』

紗耶香が不安気に聞いてくる。

紗耶香や関係者には事前に説明はしていたが予測ばかりで具体的な事が分かっていなかったので已む得ないところだ。

『あれがこの惑星(ほし)の周回軌道上にいると予想していたトライポッドの母船なら同程度の強度と耐熱性を持つ装甲に包まれていると考えられ質量欠損なしで地表に激突する事になる。あの大きさの物体がそのまま落ちれば地球の恐竜全滅クラスの災厄となる。下手をすれば地殻が崩壊し地表全体が溶岩津波に襲われてその場合この世界の全生物の死滅は免れない』

『そんな!どうにかならないのか?』

『・・・どうにか出来る保証はないが奥の手を使う』

『どうするんだ?』

『あいつらを使う』

勇気が国境付近で巻き添えによる多大な損害を出しながらもなおも後退を続けるアルナス軍目掛けて竜砲(ドラグーン・バスター)の一撃を放った。

『な!何を!』

国境付近にきのこ雲が立ち上りアルナス軍の生き残り八十万弱は一瞬の内に消し飛んだ。

『これで俺の魔力は更に大きく高まった。この全魔力を込めて竜砲(ドラグーン・バスター)を最大出力で放てばなんとかなるかもしれない』

『しかし、これはあまりにも・・・』

『酷過ぎるか?だが魔力が足りずに迎撃に失敗すればこの惑星(ほし)は終わりだ。迎撃に成功したとしても破片の一つも取り零さないという訳にはいかない。それを少しでも減らし地上の被害を抑えるためには可能なかぎり大きな力をぶつけるしかない。手段を選り好みしている余裕なんて元よりない』

勇気の竜の鎧(ドラグーン・アーマー)01がスラスターを吹かしながら上昇を始めた。

『勇気!』

『俺は上空で迎撃に当たる。加奈とシオンと双子メイド、・・・後レティシアとお付きの侍女ぐらいまでならそいつの内蔵カーゴスペースに収まるだろう。紗耶香は皆を収容してこの超大陸を離れろ。破片だけでもこの大陸が持たない可能性がある。とりあえずその中なら安全だろうが』

『しかし・・・』

『早くしろ!加奈を必ず元の世界に戻してやるんだろ。だったら余計な事に気を回したりせず今自分に出来る事をしろ!』

『・・・わかった』

紗耶香も竜の鎧(ドラグーン・アーマー)02をシオン達が待機している方角に向け全力加速を掛けた。

勇気の竜の鎧(ドラグーン・アーマー)01も加速し上空の雷雲に突っ込んでいった。




次回は第一部クライマックス(予定)です。

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