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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第14章 本命?編
90/119

55 激闘

取り敢えずこれでこの章は終了です。

黒の軍装に身を固めたクーイアン帝国軍十万の騎馬軍団の勇姿。

アルナス方面の抑えとして国境近くの駐屯地に配備され突如行われた宣戦布告によって出陣してきた精兵達。

それが今は惨めな敗残兵が如く僅かな生き残りが戦場を逃げ惑っていた。

アルナス軍とぶつかり合い熾烈な激戦の末に敵中央を押し切る寸前、敵後方から大気を震わす咆哮とともに異常に巨大な火弾(ファイヤーボール)が帝国軍中央に撃ち込まれ戦さの流れが変わった。

というより人の戦さそのものが流れていき人の手の届かない戦いが始まった。

アルナス軍後方に現れた十体を越える大型の赤い大トカゲ型の魔物達。

勇者らしき者達が宙からその魔物達に挑んだと思った次の瞬間には天から巨大な何かが落下してきて全てを吹き飛ばしていった。

亡骸となった軍馬や騎士達の残骸が無数に散らばる地獄の中それでも比較的無事だった者達は落下地点に現れた新たな異形を目撃した。

先の魔物より遥かに巨大な三体の異形。

全長二十mの黒い金属質の球体とそれを支える三本の脚。

先の赤い魔物達は新たな異形の怪物に挑みあっさり消滅した。

そして異形達は帝国の生き残りに向けてゆっくりと近付いてきた。

その足元に転がる軍馬や騎士達の亡骸や動けなくなった重傷者達を踏み潰しながら。

異形にとって自分らは地を這う蟻が如き存在である事を生き残り達は思い知らされていた。

生き残っていた魔導士の一人が恐慌に駆られて火弾(ファイヤーボール)を放った。

当然それは弾かれ異形の眼球が地べたに向けられ闇色の光線が放たれた。

最初に火弾(ファイヤーボール)を放った魔導士が消滅し次に動けない重傷者達がそれに続いていった。

動ける者達や運良く走れる馬を保持していた者達は少しでもその場を離れようと逃げるがどんどん闇色の光線に呑み込まれ消滅していく。

そのままでは生き残り全てが駆逐されるのに大して時間は掛からなかったろう。

抗う事の敵わぬ絶対的な恐怖と絶望が生き残り達の身体より心を先に殺し掛けた時それは現れた。



土の巨人はトライポッド達に向けて進んでいた。

トライポッド達は周囲の生き残りの人間への攻撃を止め巨人に向き直った。

巨人の歩みは遅いが一歩毎にその身体は膨れ上がっていく。

既にトライポッドの大きさを超え更に前進を続ける。

その一歩毎に大地が揺れ威圧感が増す。

トライポッド達は巨人を脅威認定しディスインテグレードを放ち始める。

命中した箇所は大きく抉られ消滅していくが膨れ上がる土の巨人の身体全てを瞬時に消滅させる事も出来ずむしろ膨張速度の方が上回り欠損部位を埋めつつ身体全体は膨れ上がっていく。

腕が届く距離まで近づいた時巨人はトライポッドの大きさの二倍を優に超えていた。

繰り出されたトライポッド並の大きさの右の剛腕がトライポッドの一体の上部の黒い球体に叩きつけられた。

トライポッドは踏み止まり逆に巨人の右腕が砕け散る。

巨人は更に左腕を叩きつけてくる。

ドゴーンと轟音がして左腕は同じく砕け散ったが今度はトライポッドも弾き飛ばされ転がっていった。

左腕の飛び散った破片は地面を抉り派手に土煙を上げていた。

左腕は右腕と違い高密度に圧縮されており砕け散ったとはいえその打撃力は数百倍はあったのだ。

巨人は両腕をすぐに盛り上げて再生していき次のトライポッドに向き直る。

次の標的にされたトライポッドは後退し距離を取りながら巨人の胴体部にディスインテグレードを集中する。

胴体部の消滅と再生の速度が拮抗しもう一体のトライポッドが巨人の背後に回り同様に胴体部にディスインテグレードを放ち始めた。

次の瞬間これまでの抵抗が嘘のように巨人の胴体部分に大穴が開いた。

というよりも最後の再生が表面のみで次のディスインテグレードでほとんど抵抗なく消滅したのだ。

結果二体のトライポッドは減殺されなかった互いのディスインテグレードを浴びせ合い頭部球体が消滅した。

ドウッとトライポッドの残った脚部分が倒れていく。

先程弾き飛ばされ転がっていった最後の一体のトライポッドが体勢を立て直し立ち上がっていたが二体の同士討ちを確認し動きを止めた。

そして頭頂部の三対の目が脈打ち始め一気に数倍の大きさに膨れ上がった。

その目からディスインテグレードがこれまでの倍する連射速度と威力で一気に放たれ巨人は膨張再生が全く追いつかず寸断され消滅していった。

「勇気!」

かなり距離をとって観戦していた紗耶香が叫んだ。

土の巨人の何処に身を潜めていたのかは分からないがあれでは助からない。

紗耶香は飛び出しそうになったが頭の上に降りて来たシオンの使い魔に制止された。

『落ち着け。あの程度で殺られる奴じゃない』

紗耶香は辛うじて踏み止まった。

どの道今の紗耶香には敵に立ち向かう力がなかった。

感情のまま飛び出しても無駄死ににするだけだ。

土の巨人は元の土の塊に戻っていた。

トライポッドは前進し平地と化した巨人跡の地面を探るように見渡す。

とその足元が割れ巨大な土の咢が生まれトライポッドを一呑みにした。

土の咢は獲物を引き摺り込む鮫のように地面下に潜りトライポッドの作動音とそれとは別のギューンという機械音に似た音が相争うように地から響いてくる。

やがて音が止み大地を割りトライポッドが再び地中から這い出してきた。

しかしそれより早く土の巨人がしかもそれまでより遥かに巨大に形成されその右足を踏み下ろしてきた。

ドーン!!と大地が揺いだ。

既に全長百mを越えた巨人の足がゆっくりと持ち上がる。

その下には地面に押し付けられ埋もれたトライポッドの姿があった。

ギリギリとまだ身体を動かそうとしていた。

巨人の右足にはいつの間にか先に相討ちになった二体のトライポッドの脚が組み込まれており下面強度を確保、そして巨人の全体重を掛けた一撃が再び踏み下ろされた。

それが何度も何度も繰り返される。

その度に大地に激震が走り轟音が響き渡った。

トライポッドのボデーが完全にひしゃげ動きがなくなるまで地獄のプレス攻撃はいつまでも続いた。



「勇気!大丈夫か!」

土の巨人から分離した勇気がトライポッドの眼球部分の破片を見分しているところに紗耶香が飛行ユニットで飛んできた。

辺りには人影はなくアルナス軍はほぼ全滅、帝国軍の僅かな生き残りは全てこの周辺から撤退したようだ。

「よう、そっちも巻き添えがなくて何より」

勇気は呑気に返した。

「よくもお前はあんな戦いの後で平然としていられるな」

「いや、実際死ぬかとも思ったがな。どうやら奴ら魔力感知は出来ないようだ。土の巨人のハリボテばかりに気を取られて地中に潜んでいた俺には気付かなかったし。場所がバレていたらピンポイント攻撃で殺られていたのは俺だったろうな。こっちの攻撃も基本通じないようだが同士討ち狙いに引っ掛かってくれるマヌケで助かった。でなければこっちの魔力が尽きれば万事休すだったな」

「しかし勇気が無事でよかった。私ではあんな化け物どうにも出来なかった」

「別に紗耶香に戦いを強制するつもりはない。俺らがこの世界の人間のために命を賭ける義理はないからな。しかし勇者召喚魔法で呼び込まれた以上戦って勝つ以外生き延びられないんじゃないかと思う。特に紗耶香は加奈と一蓮托生だろ。加奈を死なせたくなければ紗耶香は何が相手であろうと戦って勝つしかないんじゃないか」

「それは・・・」

「まあ努力する事さ。こいつらが敵の本命の一部なら状況は更に悪化していくだろうからどれだけ時間が残っているか分からないがな」

勇気は見分が済んだのか引き上げ始めた。

「帝国側の調査が入るまで留まらないのか?」

「ここにいると両軍を壊滅したのが俺になりかねないんでね。俺はこれまでも色々やらかしているからな。レティシアには一応事の成り行きを報告して皇帝に話しを通してもらうつもりだが公式には今回はいなかったという事にしておく」

「それで済むのか?」

「さあ?国として後始末をするのはその国の責任者の仕事だからな。もっとも今回の責任を俺に擦り付けるほど皇帝がアルナスの首脳陣並に無能なら後悔してもらうだけさ。俺らが戦場を飛び回っていたのは目撃されているだろうからどんな噂が飛び交う事になるのかまでは知れたものではないが」

勇気はトライポッドの残骸跡から飛び立っていった。

紗耶香もその後に続いて飛び立った。

後には物言わぬ土の巨人とトライポッドの残骸が残るのみであった。


後日、帝国からの公式発表にはなかったが巷の噂で勇者が巨大化して帝国軍を襲った異形の怪物を打ち倒したという噂が流れる事になるがそれがどこから端を発したものなのかは誰にも分からなかった。

今回のトライポッドを倒した直後無数の敵増援が降下してきて俺達の戦いはこれからだラストというのも考えたのですが、まだ暫くはのほほーんと続けるつもりです。

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