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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第14章 本命?編
89/119

54 ○○人襲来

怪獣大決戦です。

神聖法国アルナス上級法衣貴族の下。

それがゲイルの実家の家格だった。

アルナスの国政に参画している家柄といえば聞こえはいいが実際には最上級法衣貴族の下僕のような立場であった。

その家の次男であるゲイルの立場は更に劣り跡継ぎである長男とその正妻との間に男児が生まれた時点で予備としての価値もなくなった。

飼い殺しにされるか外に仕事を得て家を出て行くかの二択しかなくなり彼は後者を選んだ。

少しは意地もあったのだろう。

表の公職で中級法衣貴族の跡取り達と一緒に仕事をする気になれなかったゲイルは国家を裏で支える組織に入る事にした。

その組織の運営はゲイルのような上級法衣貴族の次男三男が占めており国政の表との接点の役割も果していた。

しかしここでも上級法衣貴族内の序列で立場が決まりゲイルは上層部扱いではあっても機密を扱う部門の雑用係として使われていた。

雑用係とはいえ機密部門で運営の一端に関わっていれば細かい情報にも通じていき組織自体の概要や運営方法も掴んでいった。

時にゲイルは組織の上層部が皆死に自分が組織を動かしこのアルナス自体も裏から操るという夢を見る事があった。

そんなある日セレンから接触を受けた。

ゲイルがこの組織を動かさないかと。

ゲイルも報告書で彼女がアルナス勇者再誕計画で厖大な魔力を得て生き残った五人の内の一人で異世界から召喚された勇者を除けばこの世界で最強の存在になっている事も知っていた。

ゲイルはその誘いに飛びついた。

夢を現実にする機会が転がり込んで来たのだ。

逃す手はなかった。

まずは同様に低い立場の同僚に声を掛け同士を集めた。

さすがにたった一人で組織を動かす事が現実的でない事に気付いていたからだ。

そうして組織内クーデターの準備が進み決行された。

事はほんの数時間程度であっけなく終わった。

暗殺の実行部隊であるセレン達の手際は異常によく組織の上層部と表の政治との接点部分の関係者数百名全てが一晩の内に消えていた。

ゲイルは仲間達と共に組織の引継ぎを済ませ表の政治を司る最上級法衣貴族の何人かに新たに接点を作った。

最上級法衣貴族達も薄々何が起こったか察しているようだったがセレン達の力を恐れ又必要性にも迫られて黙認しゲイル達のクーデターは成功した。

そしてセレン達のアルナスどころか世界全てを手にするという望みを果たすべく情報収集を行っていった。

その情報からアルナス南西の火山地帯に生息している火竜(サラマンダー)に目を付けた。

セレン達に捕獲を依頼し運良く十一体の火竜(サラマンダー)を手に入る事に成功した。

ゲイルは外科的にその中枢部に隷属の首輪と同様の機能を持った魔道具を埋め込み魔導士十一人に隷属の首輪を着けて火竜(サラマンダー)一体ずつに使い魔契約を行わせた。

本来使い魔契約は魔力の大きい方が主人となるため火竜(サラマンダー)のような強大な魔力を持った存在に使う事はなかった。

そんな事をすれば人間の方が下僕に成り下がってしまうからである。

しかし感覚リンクによる意識の共有現象を利用して人間を翻訳機として繋げればどうなるか?

かくして制御可能な生物兵器としての火竜(サラマンダー)が完成したのであった。

それから暫くして彼らにとって邪魔な召喚された勇者の動向を察知し始末に向かったセレン達が返り討ちにあってしまった。

慌てたゲイルは自らの力を誇示するために火竜(サラマンダー)を使ったクーイアン帝国侵攻計画と勇者抹殺計画を表側の政治首脳部に提案したのであった。


そしてゲイルは火竜(サラマンダー)の翻訳ユニットを乗せた馬車と僅かな護衛と共に自軍の輜重隊からかなり離れた小高い丘の上から戦場を双眼鏡で見下ろし火竜(サラマンダー)に命令を下していた。

最初の一撃後出て来た勇者に火竜(サラマンダー)の白熱光を放った妙な魔力球で受けられ氷槍(アイスランス)の射程まで接近されてしまい連係で仕留められてしまった。

ならばと思い伏せさせていた残り十体の火竜(サラマンダー)にも攻撃させたがこれもあっさり防がれてしまった。

それなら数体の白熱光で足止めを掛け残りを突っ込ませて叩き潰してやる。

ゲイルはそう命令しようとしたが双眼鏡から見える男勇者と目があったように感じた。

そして次の瞬間全ては白熱光に包まれた。




「どうした勇気?」

いきなり遠方の小高い丘の上に吸収した白熱光を収束して放った勇気に声を掛けた。

「シオンの使い魔にこいつらの指揮者らしい奴を探させていたんだがあそこにそれらしいアルナス軍の馬車がいたんで潰してみた。・・・ビンゴのようだ」

こちらを集中攻撃していた火竜(サラマンダー)の白熱光の吐息(ブレス)が止まり苦悶の声を上げながら転がり回り始めた。

そしてそこから立ち直ると周囲の輜重隊やアルナス軍本隊に無差別に攻撃を始めた。

巨大な火弾(ファイヤーボール)や白熱光が周囲に降り注ぎただでさえ巻き添えで損害を受けていたアルナス軍は完全に瓦解して逃げ惑う騎馬の群に堕していた。

「隷属の魔道具なら主人が死ねば待機状態になるはずだが魔物だとそこまで強制力が働かないのか?反応も感覚共用している使い魔を殺された主人のようだったし」

中央部のダメージから混乱覚めやらぬ帝国軍側も何とか統制を立て直して後退を始めていた。

後は火竜(サラマンダー)を処理すれば状況終了と思われた時それは起きた。

上空から巨大な何かが落下して来たのだ。

火竜(サラマンダー)達が展開している中心点、丁度勇気達に向けて落ちてくる。

勇気と紗耶香は最大出力で離脱を掛けた。

落下の瞬間勇気は紗耶香を庇うように背にして振り返り魔力力場を展開した。

衝撃波と爆風が襲い掛かり全てを薙倒していった。

勇気の魔力力場の陰でそれを凌いだ二人は落下地点を見た。

そこには全長二十mぐらいの黒いメタリックな球体とそれを支える三本の脚を持つ異形が三体屹立していた。

アルナス軍はほぼ壊滅状態、帝国軍も生き残りはいるが似たようなものだった。

「黒いトライポッド!?やっと“本命”のお出ましかな?」

「あれを知っているのか?」

紗耶香が聞いてきた。

「映画の宇宙戦争とか見なかったか?テレビで放映された事もあったはずだ」

「私の家にはテレビが無かったんだ。祖父の主義で」

「・・・ま、まあそれはともかく宇宙からの来訪者、つーか侵略者の伝統的なイメージと思ってくれればいい。あれがそうかは分からないが」

勇気達が様子見していると吹き飛ばされて転がっていた火竜(サラマンダー)達が立ち上がり黒いトライポッドに向き直りつつあった。

勇気が文字通りフリーズさせた個体も落下の衝撃で逆に再起動し復活していた。

火竜(サラマンダー)達はトライポッドを敵として認識したらしい。

タイミングを計ったように一斉に白熱光の吐息(ブレス)が放たれた。

が三体のトライポッドの黒い球体部分も三本脚も微動だにせずあっさりそれを弾いていた。

そしてイチジクが爆ぜるように頭頂部が開き三対の巨大な生物的な目が現れた。

白熱光はそれにも命中するがこれも弾かれる。

三体×三対の計九個の目がそれぞれ火竜(サラマンダー)達を捉えた。

そしてそこから闇色の光線が伸び九体の火竜(サラマンダー)は一瞬にして消滅した。

「エッ!?」

「ディスインテグレード?やばいな」

「・・・敢えてもう一度聞くけど知っているのか?」

「古典SFなんかでよくある分解消去光線とか言うやつだな。原理は物質をもっとも根源的な最小単位の結びつきから破壊するとかそんな感じ。文明とか種族的特性とかがそのレベルにまで到達している証明でもあるんだろうな」

「・・・勇気がSFオタクなのは分かった」

「失礼な。博学なのを素直に関心しておけ」

二人が与太話を続けている間に残り二体の火竜(サラマンダー)も消滅した。

トライポッド達は生き残りの多い帝国軍の方に三本脚を器用に動かし移動を始めた。

帝国軍の生き残りの魔導士が恐慌に駆られて火弾(ファイヤーボール)を放った。

「あッ!バカな事を」

当然それは弾かれトライポッドはディスインテグレードを周辺の人間や軍馬に放っていく。

次々に消えていくアルナス軍と帝国軍の生き残り達。

「勇気!」

「仕方ないか。どちらにせよ倒さなければならないようだし」

勇気は地面に降り立ち大地に手を当てた。

ゴゴゴッと大地が隆起し巨大な人型を形成していく。

「紗耶香は距離を取って見ていてくれ。射程が分からないからあの目に見られるなよ」

そして勇気は土の巨人の中に吸い込まれるように消えていった。

次回で取り敢えず決着です。

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