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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第12章 死亡遊戯編
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48 地竜は潜むⅡ

時間が掛かりました。

「・・・という訳で勇者であるサヤカ様に御助力願いたいのです」

レティシア皇女がクーイアン帝国南部で調査兵団が壊滅的損害を受けた状況を説明し助力を求めた。

勇気の埋葬が終わり直ぐに引き上げるかと思われていたレティシア皇女は一時の不調から立ち直った紗耶香を帝国へ勧誘するためセラス王国の城塞都市に留まっていた。

ところが急遽帝国本国より南部地域の異変の報が伝わり助力を求めてきたのだ。

「無理!絶対無理!刀一本で地中に潜む都市一つを壊滅させるような怪物を倒すなんて私には出来ないから」

「まあ、ユウキならともかく今のサヤカには荷が重過ぎるだろうな」

シオンが思案顔で紗耶香の意見に同調した。

抗議しようとした加奈はシオンに猿ぐつわを噛まされた上に縛り上げられモゴモゴ言っている。

「我がついていれば大丈夫だろう。容易いとは言わないが何とかなる」

黒騎士が何でもないかの如く答えた。

双子メイドは無言で後ろに控えていた。

貴賓室のテーブルの上には彼女達が淹れたお茶が置かれていたが誰も手をつけていない。

「黒騎士殿!無茶を言わないでくれ!相手は正体も分からず地下に潜んでいるんだぞ」

「シオン、敵の正体に見当がつくか?」

「恐らく地竜(アースドラゴン)かな。しかし海竜(シーサーペント)と同じで非常に希少で森の深奥の地面にひっそりとすり鉢状の巣を作って獲物が落ちてくるのを待っているだけの比較的大人しい部類の魔物のはずなのだが。それに精々全長十mぐらいの大きさで巣も大きくても直径十mぐらい。都市を呑み込む大きさの個体は確認された事がない。巣の外で獲物を直接狩る事もなかったはずだ。口部の周りに無数の触手を持ちそれで獲物を絡めとる。口部は土でも石でも獲物ごと何でも呑み込み養分を吸い尽くし後部から砂状にして噴出して巣の周辺に撒き散らし獲物が落ちて来やすく這い上がりにくくする」

「物理攻撃や魔法攻撃は通用するのか?」

「地面の下から出てきてくれればな。ただし本体は非常に硬いから普通の剣では傷を負わすのが精一杯。火弾(ファイヤーボール)でも表面を焦がす程度。しかも予想される大きさだとその程度の手傷は殆ど意味がないだろう」

「無理だ。剣も魔法も殆ど効果が期待出来ない相手をどうやって倒せっていうんだ」

「紗耶香殿。無理だ、無理だと言っていては何も出来はしない。当たって砕けるつもりでやる事だ」

「当たって砕けたら死んでしまう」

「大丈夫、我も一緒に戦う。前回も何とかなっただろう」

「それはそうだが・・・」

「それに都市周辺には生き残りはいなさそうだが離れて広大に広がって点在している農村部にはまだ無事なところがあるはずだ。ヤツも人口密度の高いところを優先的に襲ったと見るべきだ。レティシア皇女、大体何万人ぐらい生き残っていると思う?」

「・・・その条件で考えますと帝国南部の穀倉地帯の人口はおよそ三百万人でその内都市部の人口が十都市で合計三十万人、周辺の農村部も既に犠牲になっていると見てもまだ二百万人程度は生き残っているはずです。十都市は帝国の中心側にありそこに地竜(アースドラゴン)が巣を張っているとすると穀倉地帯の農民は後方の山脈に挟まれて逃げ場がありません。それに帝国中心方向に侵攻を掛けられれば犠牲者の数は一千万人規模になるでしょう」。

「つまり紗耶香殿が今動かなければそれだけの犠牲者が出る可能性がある訳だ。紗耶香殿にこの世界の人間を助けなければならない義理はないだろうがその犠牲者の重みに耐えられるかな」

「・・・分かった。行こう」

こうして勇者紗耶香は人外魔境の戦場に向かう事になった。

次回は前哨戦の予定です。

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