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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第12章 死亡遊戯編
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小話34 密室盗難事件

投降の時間が徐々に遅くなっております。

その夜ラード王城から黒騎士の鎧が消えた。


ラード王城の朝は早い。

前王の時代から勤めている侍従長は朝の各所の点検のため王城内を廻っていた。

現女王は質素倹約を旨として夜間の無駄な光熱費削減のため早寝早起きを奨励しているので侍従や召使いを含めて日の出と同時に仕事を始める。

食事なども地産地消で王都周辺の農家のものを庶民と同じように物価調査も兼ねて市場で買い求めコックは腕を振るっているが基本民と同じものを食べている。

勇者御一行が滞在している時は食材や嗜好品については一流のものを取り寄せていたが彼らも他の事には無頓着で女王の方針に従っていた。

公共事業を殆ど無料で請負い民の賦役を軽減してくれていた事を思えば安い支出といえよう。

前王の時代は民から戦争のために重税を搾り取り重い賦役を課しそれでいて王や貴族達は豪奢な生活をしていた。

それでも生活どころか生きていく事さえ出来なくなる程徹底的に搾り取るシュルト支配の時代の地獄よりはマシだったが。

女王と黒騎士による貴族の粛清についても民は怖れるよりむしろ胸がスッとしたというのが本音だろう。

主人達の横暴に耐えていた侍従長にとってもそれは同じであった。

謁見の間に入った。

異常がないか点検していく。

そして違和感に気付いた。

じっくりと部屋全体を見渡す

「な!?黒騎士様の鎧がない!」

現ラード王朝を再興した英雄であり王国の守護神でもある黒騎士の鎧が見当たらなかった。

侍従長は大声で衛兵を呼んだ。

前日まで謁見の間の玉座の横に鎮座していた黒騎士の鎧が翌朝には消えていた。

王城の入口は二十四時間衛兵が詰めておりそこから持ち出された形跡はなかった。

王城内も隈なく捜索されたが隠されているという事もなかった。

王城内を夜間警備している勇者直属の二十二人のメイド達も怪しい(・・・)人物は誰も見なかったと証言していた。

他国の侵入してきた間者や暗殺者を悉く捕えてきた彼女達の目を逃れる事は不可能であった。

ただ普通の召使いの何人かが夜間中庭の方に一人で歩いていく黒騎士の姿を、そして中庭から何かが飛びったのを目撃した者がいただけであった。

「謎は全て解けました」

それらの証言を受けてラード新女王は断言したそうである。

「黒騎士殿は自分で歩いて中庭に行きそこから飛び立ったのです」

新女王は事実を述べた。

しかしそれを信じる者は二十二人のメイド達以外いなかったのであった。

合掌。

本編の書き出しがまとまらなければ小話が続くかもしれません。

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