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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第12章 死亡遊戯編
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46 出迎え

予約投稿をする前に寝落ちしてしまいました。

時は少し巻き戻る。

城外の広場にクーイアン帝国の皇族専用飛行船の巨体が空を埋めるように降下してくる。

セラス新王はその様子を苦々しく見ていた。

講和が結ばれたとはいえクーイアン帝国軍による侵攻から一週間も経たない内に帝国の皇女が平然と乗り込んでくる。

しかも今回の紛争の発端となったこちらが不意打ちで攻撃した飛行船によってである。

今回の紛争を引き起こした責任が本当はどちらにあるか見せつけられているかのようであった。

とはいえ亡くなった勇者の縁故の者を連れてきたというのであれば無下に断る訳にもいかなかった。

帝国で召喚された勇者ではなく呪われた大陸から来たユウキという名の勇者が戦を収める約定を帝国の皇帝と結んでいてくれたお蔭で早期講和が成った。

いわばセラス王国にとって恩人であった。

その縁故の者を粗略に扱う事は出来なかったのである。

「セラス新王よ。大きな飛行船だな」

いつの間にか傍らに黒騎士の姿があった。

「そうですな」

セラス王国の国力では持つ事も出来ない軍艦並みの防御能力を持った巨大飛行船。

国力の差を如実に物語っている。

「サヤカ殿は来られそうですかな?」

気を逸らすため勇者ユウキの遺体を確認して以来部屋に籠りっきりになっている女勇者について尋ねた。

「ユウキ殿の縁故の者が来ると伝えたら来る気になったようだ。今身支度をしている」

「早く立ち直ってもらいたいですな」

口では幾ら殺す殺すと言っても同世界人である。

死なれてみて相手の存在の大きさに気付いたのだろう。

自分が父を失った時のように。

しかし今セラス王国は国際的に微妙な立ち位置である。

帝国と講和を結んだとはいえそれは亡き勇者の置き土産であり自国の努力によるものではない。

こちらが隙を見せれば再侵攻を招く事など容易に想像出来る。

その抑えとなっているのが紗耶香の存在なのである。

自由に動かせる存在でなくともこの国に留まってくれるだけでその役目は十分果たしているといえる。

ただアルナスの蠢動にも警戒せねばならず何時情勢が悪化するか分からないため十全な状態である事が望ましく一刻も早く立ち直ってもらいたいのだ

だが現在一番紗耶香に近しい黒騎士すら拒絶している状態では打つ手がない。

新王としては紗耶香が自力で立ち直ってもらうのを待つしかなかったのであった。

そうこうする内に飛行船のゴンドラから四人の女性が降りてきた。

三人が喪服を着て一人は魔導師姿だ。

先頭に立っているのがレティシア皇女であろう。

魔導師姿の美しい女性が大魔導師シオンで残りの二人は勇気の侍女と見た。

「ようこそいらっしゃいました。レティシア皇女殿下」

「お忙しいところ申し訳ありません。セラス王」

互いに挨拶を交わす。

丁寧な言葉使いではあるが尊称の呼び方に格の違いが出ている。

長々とした外交辞令の後本題に入る。

「・・・してその後ろの方々が勇者殿の縁故の者ですか」

「はい、大魔導師シオン様とユウキ様の侍女達です。それでユウキ様のご遺体は?」

「城の霊安室に安置してあります。しかし頭部がなく女性にお見せするのには・・・」

「構わないよ。後で確認させておくれ」

シオンが発言した。

「分かりました。では後ほど」

「でそちらの方が黒騎士殿なのですか?」

「いかにも」

レティシア皇女の問いに黒騎士が答える。

「・・・呪われた大陸のラードという王国の亡くなられた英雄にそのような方がおられたようですが」

「ハハハッ、案外自分はその英雄の亡霊かもな」

レティシア皇女の物言いをはぐらかす。

「・・・それでユウキ様を殺害したのは何者でしょう」

「恐らくはアルナスのセレンという女だ。過去の勇者の末裔らしい」

「黒騎士殿!」

セラス新王が驚いて声を上げる。

情報の価値は高い。

それ故にこの情報を伝える時黒騎士は態々人払いをしたはずなのにこんなにあっさり話すとは何を考えているのか。

「・・・この情報の見返りは?」

「勇者ユウキの埋葬はこちらで行う。装備も紗耶香に譲ってもらう。後大魔導師シオンと二人の侍女もこちらに引き取らせてもらう」

「分かりました。そういえばユウキ様が連れていた侍女の一人が行方不明なのですが捜索していただけませんでしょうか?」

「その侍女ならこちらで保護した。問題ない」

「そうですか。それではよしなに・・・」

その時護衛の近衛騎士の間から紗耶香が現れた。

その見た目はげっそりと憔悴していた。

セラス新王が少し驚いた顔をしたがレティシア皇女に紗耶香を紹介した。

「こちらが勇者サヤカ殿です。サヤカ殿、こちらが帝国の皇女殿下です」

「始めまして、レティシアと申します。以後お見知りおきを」

「勇気の縁故の者というのは誰?」

紗耶香は挨拶を返しもせずに後ろの三人を見た。

何故か侍女の一人がシオンに口を塞がれモガモガ何か言っている。

「こちらの三人がそうです。勇者の水先案内人である大魔導師のシオン様、そしてユウキ様の侍女達です」

紗耶香の無礼を無視して平然とレティシア皇女が紹介する。

紗耶香はガックリと肩を落として背を向け去っていった。

「大分堪えられている御様子ですね」

「大丈夫、直ぐに復活する」

レティシア皇女の事情を察したような意見に何故か黒騎士が自信を持って答えた。

次章は思案中です。

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