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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第12章 死亡遊戯編
78/119

44 困惑

今回は少し状況整理です。

「いやー、殺られた、殺られた。まったく大したタマだ」

闇の中で小さく呟く。

「暫くは紗耶香に頑張ってもらうかね」

そして沈黙。



「そのセレンという女人は本当に神聖法国アルナスの勇者と名乗ったのですか」

「ああ」

セラス新王の問いに紗耶香が簡潔に答えた。

新王はがっくりと肩を落とす。

大陸三番目の大国であるクーイアン帝国の侵攻を辛うじて凌いだところで今度は大陸二番目の大国からの介入である。

気を落とさずにはいられないのだろう。

ここは城塞都市の城の中の執務室である。

この場には紗耶香と黒騎士とセラス新王の三人しかいない。

セレンの襲撃後黒騎士が魔力切れで暫く休むと言ったきり動かなくなったため城塞都市内に運び込んで介抱していた。

といっても鎧の脱がし方がどうしても分からず寝かして付き添っていただけだが。

そこにセラス新王からセレン襲撃の事情が聞きたいとの要請が入ってきたが紗耶香は放っておいて黒騎士に付き添っていた。

半日もしない内に黒騎士は目を覚まし気の進まない紗耶香を引っ張って新王の元に訪れたのだった。

魔力切れの後遺症なのか最初はひどくふらふらしていたが今はしっかりしている。

黒騎士が説明前に人払いを求め黒騎士の異様な風体に渋る近衛騎士達にだったら引き上げると紗耶香が帰ろうとしたため新王が慌てて近衛騎士達を退出させていた。

早速黒騎士が説明してセラス新王は事態を把握したのであった。

「今のところ直接アルナスがセラスにちょっかいを掛ける事もなかろう。今回の襲撃はあくまで勇者である紗耶香殿を狙ったもの。今後事態がどう動くか分からないがアルナスがこの国を狙ってくるならその前に何らかの動きがあろう」

「・・・失礼ですが黒騎士殿、その兜の下の顔を見せていただき名前を教えてはいただけませんでしょうか」

新王としては黒騎士の判断を信じたいところだが素性の知れぬ者を信じきれないのだった。

「我が言を鵜呑みにする必要はない。王とは様々な意見を聞き自分で判断し決断を下すものだろう。それに我が顔を晒し真名を明かすことは貴国に重大な危難を呼び込むことになるかも知れないがよろしいか?」

「・・・分かりました」

新王は兜の下が益々見たくなったが藪をつついて蛇を出す訳にもいかず胸に秘めることにした。

ただでさえ敵が多いのに折角味方してくれている武勇に優れた人物を敵に回すかも知れない愚行は慎むべきであった。

「それと帝国側の勇者ユウキについてはどうなりましたか?」

「分からない。私を墜とした時に言っていた通りこちらに手出しはしなかったようだな」

「それについては妙な話しが・・・。帝国軍が国境に後退してからまだ一日も経っていないのに帝国から講和の使者が来ています。なんでも勇者ユウキとの約定によって講和に来たとのこと。どうやら帝国の皇帝と勇者ユウキが紗耶香殿の飛行能力を封じる代わりに今回の侵攻に失敗した場合今後暫くは我が国に手を出さないよう約定を結んでいたようです。一体何のためかはわかりませんが」

「・・・帝国に従っている訳ではないからだろう。彼の者は今回の世界の危機で最初に召喚された勇者だ。彼の者を召喚したラードという国の王は勇者召喚の危険性も理解せず自国の戦争を有利に進めるための使い捨ての戦奴として召喚を行った。結果王は家臣共々も勇者に討たれた。勇者は中枢を失ったその国が侵略されるのも放置した。侵略されたラードの民は徹底的に搾取され地獄の苦しみを味わうことになった。勇者は自分の命を狙ってきたラード王家唯一の生き残りの姫が仲間に騙され致命傷を負ったおり怒りを呑み込み命を救った。やがて決起しラード王国を再興したその姫と勇者は友誼を結び呪われた大陸全土の安定に尽力した。彼の勇者は本当は民が苦しむ戦争を嫌っているのだろう。ラード王国崩壊後勇者は幾つもの国の危難を救っているのだから」

「貴方はまさかラードの黒騎士」

黒騎士の話しを聞いていたセラス新王がハッとした顔で言った。

「ラードの黒騎士?」

紗耶香が聞き返した。

「ラード王国再興の立役者です。決起した解放軍を率い立ち塞がる大軍を全て撃破し解放戦の最後の戦いに勝利した後その戦いでの負傷が元で亡くなったと聞いておりましたが」

「フフッ、玉座の横で飾られているのが退屈で彷徨い出たとでもしてくれ。とにかく勇者は義侠心で此度の紛争を仲裁したのだろう」

「それでは私は・・・」

「ウム、勇者ユウキの提案に乗っていれば敵中突破をしないで済んだということだな。もっともその場合我と知り合うこともなかったろうが」

「そんな・・・」

紗耶香は困惑していた。

その時執務室のドアが慌ただしくノックされた。

「重要なお話し中申し訳ありません。しかし大至急お知らせしたい事が、帝国の勇者についてです」

「何!入ってくれ」

新王の了承に近衛騎士が入ってきた。

「で帝国の勇者がどうしたと?」

「それが・・・ここからアルナス方向に少し離れたところで勇者の死体らしきものが発見されました」

「なんだと!そんなバカな!」

紗耶香は思わす叫んでいた。

その顔は真っ青になっており目には絶望の色が浮かんでいた。

次回は首なし死体が運び込まれる予定です。

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