40 戦場Ⅶ
今回はここまで・・・。
クーイアン帝国軍の猛攻は続いていた。
セラス軍は城塞都市での篭城戦を選択し押し寄せる帝国軍を辛うじて防いでいた。
クーイアン帝国軍の強兵十万とセラス軍の国内から掻き集めた三万では野戦を選べば勝負にならないことは分かっていた。
それ故の篭城戦ではあるが帝国軍は大量の攻城塔を用意しその上に多数の魔導士を配し城壁上のセラス軍の守備兵や魔導士に火弾で攻撃を加えていた。
セラス軍の魔導士も城壁上の防護用鉄板の隙間から応射しているが三倍以上の敵魔導士の猛撃の前に隙間から攻撃する事すら難しくなっていた。
セラス軍の魔導士の動きを抑えつつ帝国軍は一般兵を乗せた攻城塔を城壁に向け進ませてくる。
攻城塔が城壁にぶつかり帝国兵が城壁上に次々に飛び込んでいく。
セラス軍の守備兵は狭い城壁上で帝国兵が足場を固める前に殺到して斬り倒していくがどんどん送り込まれてくる帝国兵に終わりは見えなかった。
セラス軍の守備兵もその数の前に徐々に損耗していき城内側から守備兵を補充して凌いでいた。
城壁上の一角でも押さえられれば数で勝る帝国軍に連鎖的に城壁上は制圧されていき城壁を奪われたセラス軍は防備がなくなりあっという間に殲滅される事になるであろう。
セラス軍としてはなんとしても死守しなければならなかった。
「どうだ。持ちそうか?」
セラス新王が総指揮官の将軍に聞いた。
「思わしくありません。このままでは城壁上が落ちるのは時間の問題。打って出て攻城部隊を叩くのも相手の思う壺。城門を出たところで敵騎馬隊に袋叩きに合うだけです。今城塞都市内に防護柵を作らせていますが城壁が破られたら足止め程度にしか役に立ちますまい」
鎮痛な面持ちで将軍が答えた。
寄せ集めの兵士で強兵を謳われた帝国軍相手にここまで善戦出来たのが不思議なぐらいであった。
「女勇者殿はどうなっている?」
期待してはいけないと思いつつもつい聞いてしまう。
「物見の報告では異様な風体の協力者と共に帝国守備隊二千を突破した後敵輜重隊を襲い軍馬を確保してこちらに向かっているとの事ですが加勢を望むのは些か・・・」
「身勝手過ぎるか」
こちらの都合で勝手に召喚して隷属の首輪を嵌め仲間同士で殺し合わせた挙句暗殺者として使ったのだ。
敵勇者を押さえてくれただけでも僥倖と言えるだろう。
「大変です!」
ドタドタと伝令が入ってきた。
「何事か!」
「敵後方に巨大ゴーレムが出現。こちらに向かってきております!」
「なんだと!敵の新兵器か!」
「それが帝国軍側にも動揺が見られ敵攻城部隊も撤退を始めています」
「陛下」
「ウム」
二人して物見の塔に登っていった。
城壁の向こうで地を覆うように帝国軍の大軍が展開している。
その後方に巨大な人型の土で出来ていると思われるクレイゴーレムが太鼓を打ち鳴らすような地響きを立ててこちらに向かっていた。
伝令の言った通り巨大ゴーレムの周辺の帝国軍は糸が解けるように割れていっており時折り火弾が炸裂しているのも見えた。
城壁上の敵兵も撤退を始めている。
確かに帝国軍の新兵器ではなさそうだ。
「あれはもしや・・・」
「分かるのか?」
セラス新王が将軍に尋ねる。
「彼の呪われた大陸にいるという勇者が巨大なスノーゴーレムを作って巨大モンスターと戦ったという噂があります」
「ではあれは女勇者殿の加勢か!」
「恐らく・・・」
二人は一縷の希望の光りを見た気がした。
勇者達の出番は次回です。




