37 戦場Ⅳ
やっと戦闘シーンです。
帝国軍に動きあり。
国境付近に展開していたセラスの物見からの報告が城塞都市に届いたのは前回の侵攻から三日後だった。
この短期間で私への対抗手段を用意したというなら帝国の勇者を呼び寄せたと見るべきだ。
私はその一報を受けすぐさま出撃した。
帝国軍の侵攻に合わせて奴もそこにいるはずだ。
果して国境を侵している帝国軍の上空に奴はいた。
声の届く位置で一旦止まる。
「勇気、やはり貴様が出てきたか」
「ああ、隷属の首輪が外れたのに自らを召喚した国に助力する愚か者の顔を見にな」
「帝国の犬の貴様がそれを言うか!」
私は激昂した。
「勘違いがあるようだから訂正しておくが俺は帝国が召喚した勇者じゃない。そいつは俺を襲ってきたから返り討ちにした」
「ばかな!それではお前は何者だというのだ!」
「俺は呪われた大陸から来た勇者さ。召喚を行った王や大臣や魔導師、俺を利用した軍の上級騎士や貴族達も皆殺しにした。中枢を失ったその国が他国に侵略されるのも静観した」
「・・・では何故貴様は帝国に従っているのだ」
「別に従っている訳じゃないさ。帝国のバカ勇者が襲ってきた件で喧嘩を売りにきたら俺を取り込もうした皇帝から帝国観光に誘われたので敵情視察も兼ねて乗ってみた。飛行船の時は飛んで来た火の子を払っただけだしここに来たのもお前が帝国軍を阻んだため助力を懇願されたからだ。今の帝国には飛行ユニットを装備した勇者に有効に対抗出来る戦力がないからな」
「・・・」
「さてお互いの立場が明確になったところで取引を提案したい」
「取引?どんな?」
「簡単な話しさ。お前が今回の戦で飛行ユニットを使わない。地上戦に参加するのは可。その代わり俺はセラスに手を出さない。それだけだ」
「・・・断ると言ったら?」
「その時は実力行使だな」
「なら断る。貴様の言ってることは信用出来ない」
「なら俺と戦うって事か」
「その通りだ」
「好戦的だなぁ。前回あっさり負けたくせに」
「抜かせ!」
カッとなった私は飛行ユニットを全力で駆り間合いを詰めた。
勇気は同じ速度で後退する。
「逃げるな!」
「接近戦が得意な相手に付き合ってやる義理などない」
勇気はそのままの距離を保ちながら前回と同じように鎌鼬を連射してくる。
私は抜刀して刀に魔力を纏わせ鎌鼬を切り裂いていく。
「前回と同じ手が通用すると思うな!」
「なるほど、それならこれはどうだい?」
火裂弾
巨大な火球が生み出されこちらに放たれた。
「こんなもの!」
横に躱す。
爆裂
火球が弾け無数の火弾を周囲にばら撒く。
「クッ!」
回避は無理と判断し刀で迎撃するが切り裂いた火弾の火の子をモロに被る。
水弾
それと同時に火弾に気を取られていた隙を突かれ水弾が直撃した。
水弾が火弾を相殺するがびしょ濡れになってしまった。
「貴様!敢えて助けるとか舐めているのか!」
「こっちにも都合があるんだよ。それに今のでフィニッシュだ」
その声と同時に飛行ユニットの推力が落ちていく。
魔力を幾ら流し込んでもどんどん手応えが無くなっていく。
「これはなんだ!」
「前回拘束した時飛行ユニットに細工をさせてもらった。と言ってもパワー制御部分の防水被膜を剥いだだけなんだけどね」
私はバランスを崩して落下していく。
「運があったら又会おう」
「この卑怯者~!!」
私は絶叫しながら落下していった。
次回やっとあの人が登場。




