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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第10章 クーイアン帝国編
61/119

27 帝国Ⅱ

この話しは長くなりそうです。

シュナ王国とクーイアン帝国の和平交渉自体はすんなり済んだ。

帝国は今回の侵攻に対して公式に謝罪し講和条約が結ばれた。

貿易なども通常の状態が続けられ報復関税なども掛けないことで決着した。

俺達はそれらの交渉が全て終わり使節団の御用船が出航していくのを桟橋から見届けていた。

「それで帝国観光は何で移動するのかな?あの馬車か?」

俺は同行していたレティシア皇女が乗ってきた皇族専用馬車を見た。

帝国側から案内役としてレティシア皇女がつけらていた。

彼女がいれば帝国内でおよそ入れないところはなく法的制約も及ばないとのことである。

元の世界の外交官のように治外法権を認められる訳だ。

人選は意図的ではあるが大いに利用させてもらおう。

「いえ、途中で馬車に乗り換えることもありますが移動は主にあれを使います」

相変わらず黒衣を纏いベールをつけたままのレティシア皇女が空を指差した。

港湾の高い建物の上に大きな物体が現れた。

それは徐々にこちらに近づいてきた。

「飛行船か」

「はい、広大な帝国を回るのに他の方法を使っていたら数年は掛かってしまいますから皇族専用の飛行船を使います」

飛行船は優雅に舞降り俺達がいる桟橋に接舷した。

巨大な胴体の下のゴンドラも家屋並に大きく快適な居住空間を約束しているようだった。

レティシア皇女に案内されゴンドラに乗り込む。

内装は磨き上げられた漆塗りの木板の壁に包まれリクライニング可能な木の座席が左右の窓際に三席ずつの計六席、柔らかいクッションが敷かれており長時間座っていても身体に負担を掛けないようになっている。

客室の中心には寝室があり大きなダブルベッドが縦に二つ並べられており中央のカーテンで田型に区切ることができ四人までの個室として使用出来るようになっていた。

前部には操舵室と船員用の寝台室があり後部は飛行船を風魔法で動かす魔導師達の念動力室と寝室があった。

俺達は左右に分かれて着席し飛行船はゆっくりと離陸していく。

俺はこの世界に来てから初めての他力飛行でゆったりと周りの景色を楽しみシオンと双子メイド達は興味津々に眺めていた。

飛行船はまず帝都上空を遊覧飛行した。

地上を馬車で移動していた時には分からなかったが帝都は今まで見てきた何処の国の王都よりも広大であった。

王城を囲むように高い城壁がありその周辺が貴族街になっており大きな屋敷ほど中央寄りにあり外周部に向かって小さい屋敷が増えている。

その貴族街の外にも高い城壁が巡らされ市民街が広がり最後の外壁で囲まれていた。

王城に向かう貴族や官吏の馬車、市民街での荷馬車の活発な動きが帝都の繁栄ぶりを示していた。

飛行船は何周か帝都の上空を廻りその間にレティシア皇女が名所や歴史の紹介をしてくれた。

周遊が終わり帝都をゆっくりと離れ始めた。

舗装された大きな道幅の街道の東に向かう一本に沿って進んでいく。

東周りで帝国を一周し名所名跡を廻る予定とのことだ。

「それは喪服か?」

一息ついたところで俺はレティシア皇女に尋ねた。

「フフッ、いつ聞いて来るのかと思っていましたが待たせますのね。そうです、これはあの方に対する喪服です」

「やはり俺の前にあのバカにあてがわれたか」

「いえ、正確には婚約だけで父は別の身分の低い女性を何人もあてがって私には指一本触れさせませんでした。戦果を上げるまでは待てと。思えば父はこうなる公算が高いと踏んでいたのでしょう」

「喪服を着ているところを見ると少しはあのバカに気があったのか?」

「まさか。あれはあれで見ている分には面白い方でしたが夫として添い遂げるには思慮が足りな過ぎます。あれではいくら力があっても皇帝の後継レースでは勝ち抜けません。私も皇族の一人として伴侶は後継レースで勝ち抜ける可能性の高い者を持ちたいのです。これはそんな人を一時的にとはいえ婚約者に据えた父への当てつけです」

「ま、そんなところだろうな」

「貴方様なら後継レースでは勝ち抜けられそうですが」

「買いかぶり過ぎだ。俺は故郷に生きて帰りたいだけの凡人だ。そんなデスレースに参加したくもない」

「フフッ、凡人であればこれまで生き抜いてこられなかったと思いますけど。広大な帝国を眺めながらゆっくりと考えてください。旅は始まったばかりですから」

レティシア皇女は柔らかく微笑んだ。


ふと前方に黒い点が見えた。

それは見る見る内に飛行船に近づきそして火弾(ファイヤーボール)が放たれる。

飛行船が大きく揺れた。

「これは帝国の罠かな?」

俺は持ち込んでいた飛行ユニットを素早く装着しながらレティシア皇女に聞いた。

「そんなはずはありません。父は私を捨て駒にすることはあってもこの船を沈められては帝国の威信が揺らぐのでこんなところでは手を出さないでしょう。その場合はこの船から降りたところを狙うでしょう。この船の耐火能力は海軍の軍艦並みです。火弾(ファイヤーボール)の一撃ぐらいで仕留められるとは思えませんし第一我が帝国ではあんな攻撃が可能な者は現在おりません」

「だろうな。シオン!双子メイドとレティシア皇女を頼む。なんとかなるか?」

「大丈夫だ。気にせずやって来い」

「頼む」

俺は飛行船から出撃した。

本日はここまでです。

次回更新は8/29の予定です。

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