小話32 戦え!パイレーツ
タイトル倒れです。
海竜の襲撃から三日経った。
御用船は岩礁の多い海域を航行していた。
遠くに中小の島が見えた。
船長によるとここまでくればクーイアン帝国まで後二日とのことだった。
この辺りは海賊が出没するそうだが俺がいれば大丈夫だと笑っていた。
まあ確かに海竜に較べたら海賊なんてミジンコ以下ではある。
それはそれとして襲撃以降船員達の俺に対する嫉妬の視線が無くなったがシオン達、特にシオンに対する欲望に満ちた目は日増しに強くなっていた。
きちんとメイド服を着用している双子メイドに較べ薄い生地のシャツとズボンというラフな格好をしているシオンは禁欲状態の船員にとって刺激が強過ぎるのだ。
本人はカラッとした性格の割には男達の羨望の視線を楽しんでいる節がある。
露出癖もあるのかもしれない。
この間も平然とボンテージファッションをラード新女王に見せそのまま自分の部屋に戻っていたし。
とはいえ一部を除き双子メイドにそういう視線を飛ばしてくる輩が減るので放置している。
どの道彼女らは自分の身は自分で守れる。
そんなこんなで相変わらず俺とシオンはプライベートスペースで双子メイドは帆柱の上の見張り台で船旅を楽しんでいた。
そしてお約束のイベントがやってくる。
『『帆船が南西方向から近付いてきます』』
双子メイドがその方向を指しながら警告の声を上げた。
船員達と俺達は一斉に南西方向を見た。
警告から少し遅れて三隻の帆船がこちらに近づいてくるのが見えた。
所属を示す旗は見えない。
ここら辺が海賊出没海域であることを知っている船員達に緊張が走った。
取り敢えず俺とシオンはのんびりと三隻の帆船が接近してくるのを待った。
相手の意図が明確でない以上いきなり海賊と決めつけて殲滅する訳にもいかない。
所属旗を上げていない以上海賊と断定して即殲滅しても文句を言われる筋合いではないがクーイアン帝国領海内に入っているので迂闊な行動は控えている。
敵意を見せたら容赦はしないが。
こちらよりやや小振りの三隻の帆船には見るからに荒くれ者といった感じの男達が乗っていた。
既にカットラスを抜き放っているところから意図は明白だが口上ぐらいは聞いてやることにする。
「おい!お前ら!船を停めろ!抵抗しなければ命だけは助けてやるぞ!」
声が届く位置まで近づいた一隻から予想通りの台詞が飛んできた。
傷だらけのごつい面の大男が声を張り上げている。
俺が親分だ!と主張しているかのようだ。
「お前達は海賊ということでいいんだな?」
俺は最終確認を行う。
「ギャハハハッ、他のなんに見えるって言うんだ。お前傭兵のようだがビビッてんのか。後ろの可愛い嬢ちゃんと少し年のいった女は俺達がたっぷり可愛がってやるからお前は大人しく奴隷にでもなってろ」
海賊は決してオバサンと言ったつもりはなかったと思う。
双子メイドと四、五歳離れていると言ったつもりでそれは実際から考えてもかなり若いということなのだが受け取った方は必ずしもそう取るとは限らない訳で・・・。
「ユウキ、少し替わってもらっていいか」
なんだろう。
南国の気温なのに背中が寒い。
俺は黙って後退った。
「あー、海賊諸君、可愛がってくれるっていう事だが具体的にはどうしてくれるのだ?」
「そりゃあ剥いて○○○に○○をぶち込んで反応がなくなるまで嬲ってやるってことだ。まあ姉ちゃんは年の分だけ経験があるだろうから少しは長持ちするかな」
海賊達は下品な笑いを上げた。
又不用意な発言をしている。
「・・・よく分かった。ユウキ、禁呪を使う。至急船員達を連れて船内に引っ込んでいてくれ。決して外は覗くなよ。命の保証は出来ないぞ」
シオンの周囲に起ち昇るオーラが氷魔法のように気温を低下させていた。
「総員船内に退避!退避後は決して外を見るな!死ぬぞ!」
そう怒鳴って俺は真っ先に船内に飛び込んだ。
海竜すら瞬殺した俺の必死の警告である。
船員達も慌てて船内に引っ込んでいった。
使節団の連中は所属旗が無かった時点で船内に退避している。
こういった事はこっちに丸投げでモブに徹するつもりだ。
そして船内に潜んで待つこと暫し。
「おーい!もういいぞ」
シオンの声に俺達は恐るおそる外に出た。
海賊船の海賊達はまだ生きていた。
何故か股を押さえてビクンビクンしている。
「・・・何をした」
「大した事はしていないよ。性感を百倍に高める匂いを風魔法で海賊船にばら撒き魔力糸を放った。魔力糸とはお前がクラーケンを倒した時に使った水槍を核に透明の魔力線を伸ばして制御したのと同じものだ。お前は厖大な魔力に任せて強引に自分に繋いでいたが私は少ない魔力で微細な核を作り更に細い魔力糸を作って繋ぎ距離は限られるが無数に放つことが出来るのさ。そして奴らの頭に接続して私の裸体のイメージを一瞬だけ強い魔力と一緒に流し込み脳に焼き付けた。後はこいつらが死ぬまでいき続けるだけだ。最後に私の裸体を拝めたのだ。悔いはないだろう」
つまりあのビクンビクンはそういうことだ。
後ろで聞いていた船員達も話しの大部分は分からなかったが海賊達が何をされたのかは大体分かってゾッとした表情で後退った。
シオンがいくらいい女でも命を賭けるかといわれれば躊躇するものである。
それに後二日もすれば陸である。
さわらぬ神に祟りなしだ。
かくして俺を恐怖に怯えた視線で見ていた船員達はシオンには視線すら合わせなくなった。
俺が双子メイドもヤバイぞと船員達に伝えたら同様の態度になり全員無事に帝国まで辿りつくことが出来たのである。
今回の教訓、女性に歳の話しをする時は十分注意しないと命に係わる。
戦闘にすらなりませんでした。




