小話30 病い
今回も短いです。
クーイアン帝国情報部第三課、通称三課は追い詰められていた。
先日のシュナ王城への強行潜入の失敗が彼らを追い詰めたのだ。
本国からは失敗に対する叱責と何でもいいから秘密のベールに包まれたシュナ王城から情報を奪取せよとの至上命令が下っている。
今回の任務に失敗すれば叱責だけでは済まない。
交替要員が本国から派遣され彼らは処分されることになる。
機密保持のため自害も辞さず死をも恐れない彼らであったが任務失敗による処分は堪えがたき屈辱であった。
そんな彼らに一つの朗報が入ってきた。
「それは本当なのか!」
三課の長が確認の声を上げた。
ここはシュナ王都内に密かに設けられた拠点の一つである。
「はい、事実です。現在αチームを総動員して接触に当たっています」
「ウーム、しかし信じられない。シュナ王国の諜報員から内通者が出るなどとは」
シュナ王国の諜報員の祖国への忠誠心は彼ら三課に劣らない。
そんな者の中からこのタイミングで内通者が出るとは都合が良過ぎる。
「罠ではないのか?」
「その可能性も考慮してβチームにシュナ国内の対諜報組織の動きを監視させていますが動きはまったくないそうです」
「内通者は情報の対価に何を求めている?」
「それが何も、強いていえばこの情報を至急帝国本国に送ってほしいとのことです」
「情報の内容は?」
「それが勇者が個人的にシュナ王と交わした小国の国家予算に匹敵する金額が動く契約に関する資料のようです」
「実際にはどんな形のものなんだ?」
「それが数点の特殊な侍女服を着た少女達の絵画のようです。しかもその特殊な侍女服はかの大魔導師シオンが作製したマジックアイテムとのこと。それとこれが一番重要なのですが件の謎の兵器と関係のある素材もしくは方法によってこの特殊な侍女服の次世代モデルを現在大魔導師シオンが作製中とのことです」
「ウム、ならばこれが例え罠であっても手に入れぬ訳にはいかんな」
かくして勇気の意図しないところで確実に病いは広がっていくのであった。
現在シオンが作製中のドラゴンスケイルメイド服が件の謎の兵器に関係すると探り出したシュナ王国の諜報機関は優秀です。
ミイラ取りがミイラになっているようですが(笑)




