小話21 トレンジャーハンターの悲劇
これもお約束ネタですかね?
「・・・その話し本当なんだろうな?」
「間違いない。かの大魔導師が隠したってお宝だ。俺の家に代々伝わっていてな。場所が場所だけに今まで手が出せなかったんだ」
男は古い羊皮紙の巻物を大事そうに開いた。
「成程、ここか」
「な、今ならなんとかなりそうだろ。有り金叩いて装備を整えているんだが足りなくてな」
「分かった。俺も有り金を叩くぜ。だからお宝は山分けだ!」
「分かってっることよ。行くぜ、相棒!一攫千金、億万長者だ!」
「応!やってやるぜ!」
それから男達は金に糸目をつけず装備を整え一週間掛けて財宝の在り処の近くまで辿りついた。
「おい!ないぞ!どうなっているんだ!」
「そんなばかな!あんなものが消えてなくなるはずがない!」
男達は財宝の在り処の最大の目印となるものを探していた。
財宝もそこにあるのだ。
「一体どこに行っちまったんだ魔竜山は!」
男達はかつて魔竜山と呼ばれた厖大な岩石の小山の周辺でいつまでも必死で財宝を探し続けた。
午睡。
激しい戦いとその後のドタバタ騒ぎで疲れ切った俺はラード新女王を王城まで護衛した後貴賓室のソファの上で横になってだらけていた。
双子メイドがお茶を用意したり茶菓子を持ってきたりと甲斐甲斐しく給仕をしてくれている。
シオンは何やら真面目な顔をして読書中だ。
表紙は何やら小難しい文字が記載されているが中身が何か知れたものではない。
秘蔵御宝百連発でも俺は驚かない。
「あッ!」
突然シオンが声を上げた。
「・・・どうした。シオン」
俺はビクリと反応するが努めて冷静に聞いた。
先日の実力行使がトラウマになっている。
傲岸不遜唯我独尊の俺様キャラを作っている俺としてはとんだ失態である。
いずれ巻き返しを図らなければなるまい。
「いや、大したことじゃないんだが」
「?」
「ずっと前、ローアン王国建国以前の魔竜山に踏み込んだことがあってな」
「お前も無茶するなぁ。その頃でも翼竜は一万頭ぐらいいたんだろう」
「その頃の翼竜は割と大人しかったからな。ちょっと撫でてやったら手を出して来なくなった・・・」
何をしたシオン。
俺は聞くのも怖くて心の中で突っ込んでおく。
「・・・当時は戦乱の時代でね。その時の勇者がひょんな事から手に入れた亡国の財宝に使い道がなくて将来先々の勇者が必要になった時使えるように隠しておこうということになったんだ」
「それで」
「偶々魔竜山の近くだったこともあってその中腹辺りを隠し場所に選んだ」
「今頃瓦礫の下だな。その財宝は潰れても大丈夫な金銀とかなのか?」
「多少はあったが、どっちかと言うと魔力の大きな魔導石を埋め込んだ大量の魔道具が主だったな」
「じゃあ仕方ないな。全部潰れているだろ」
「それもそうだな」
シオンは読書に戻った。
俺もそのまま午睡を続けた。
取り敢えず世は全て事もなしだ。
世界救済に使う予定の財宝を横取りしようとしたトレンジャーハンター達が悪いんでしょうけど。
大概の財宝は遥か未来までは見据えていないだろうけど当時の人々の大事な目的のために隠されたものなのでトレンジャーハンターって商売も業が深いですよね。




