小話19 女王様の説教
人によってはどっちが真でしょう?
「・・・で言い分を聞こうか」
ローアン国境からかなり離れた避難民の受け入れ所となっている街の領主館客室でシオンが俺を睨んでいた。
現在ラード新女王が視察で来ており領主館の貴賓室に泊まっているため巨竜退治が終わった俺はシオンとここで合流した。
新女王の警護は双子メイドに任せていたが治世がまだ安定していない今護衛は多い方がいい。
もっとも新女王の口利きでここなら領主館の上等な客室がただで使えるのが大きかったのだが。
それはさておき。
「仕方ないだろ。あんな大怪獣に通用しそうな攻撃方法はあれ以外になかったんだから」
「だからといって核を使うなんてやり過ぎだ。それに巨竜がこちらに都合よく口を開くかどうかさえ分からなかったのだから飲み込ませるなんて賭け以外の何物でもない。核融合なんて原爆の何十倍も威力があるのだろう。巨竜の外で爆発していたら確実にユウキは死んでいた。クラーケンに使った攻撃魔法じゃいけなかったのか?」
「クラーケンは体組織が脆かった上に機動力がなきに等しかったからな。巨竜の外皮は龍鱗で守られ口内から内臓まで推定十万℃の怪光線を生み出す不思議器官だ。一万℃にも達していない海水のプラズマじゃあ話しにもならない。それに巨竜も十分賢しかったから二度目はない。初手で出せる最大火力をぶち込むしかなかったんだよ」
「だがあんな桁外れの攻撃をするなら事前に相談ぐらいしろ。そしたらもっといい考えも浮かぶかもしれない」
「時間が惜しい。それにシオンもこっちの人間だ。説明しても理解出来るとは限らない。過去の勇者から核兵器の知識は得ていたようだが魔法を使って再現なんて出来ないだろ。さすがに核分裂は取り扱うだけで被曝するし爆発後も毒性が高く被曝による被害も大きい放射性物質がばら撒かれるから再現してもらっても困るが」
「・・・つまり選択の余地もなく仕方なかったから反省もしないと?」
「そういうことだな」
「そうか・・・、口で言って分からなければ身体に教えるしかないようだな」
シオンが懐からロープを取り出した。
「何をするつもりだ?」
「縛り上げて根性を叩き直す」
「フッ、巨竜すら倒した俺に今更実力行使が出来る訳ないだろ」
「増上慢も甚だしい。その高くなった鼻っ柱も一緒に叩き折ってやろう」
「そうかい、そうかい、俺も双子メイドに妙なことを吹き込むシオンを一回しめとく必要があると思っていたところだ」
シオンがロープに魔力を纏わせて繰り出してきた。
俺も極細ワイヤーで迎撃する。
いやしようとしたがロープは吸い寄せるように極細ワイヤーを絡め取りあっさりと俺を拘束した。
「この手の魔力操作は魔力の量じゃなく細かい制御に極意があるって教えただろう。この未熟者」
「抜かせ!変な縛り方しやがって!こんなもの魔力で焼き切るのは造作もないぞ」
「フフッ、そうかな」
シオンは自らの魔導師の服をバサッと剥ぎ取った。
「な、なんだと・・・」
その中から現れたのは見事なプロポーションをボンテージファッションで包み手にはムチを持ちすらりと伸びた脚にハイヒールを履いた女王様ルックのシオンの姿があった。
「クッ、身体に力が入らない。おかしい、魔力も霧散していくようだ」
「フフフッ、お前は知らなかったようだが男はその縛り方をされこのファッションを見ると抵抗出来なくなるのだ」
「嘘吐け!何しやがった!」
「ハハハッ、騙せなかったか。実は魔力の同調訓練の時に少しずつ暗示を掛けておいた。私のこのファッションを見たら身体から力が抜けて魔力も使えなくなるようにな。これもお前の未熟さ故の油断が招いたことだ」
「何言ってやがる。いくらなんでも汚ねぇーぞ」
「フフフッ、なんとでも言ってもらおうか。それではお仕置きターイム♪」
「ワワッ、止めろ。参った。参りました。俺が悪かった。だから止めてくれ!」
「ダーメ♪」
かくして夜は更けていき俺は新展開ではなく危うく新境地に連れて行かれるところだった。
偶々ラード真女王が部屋に尋ねて来なければ本当にピンチだった。
今度からシオンには喧嘩を売らないようにしようと俺は固く誓った。
因みにシオンのこの手の知識は全て過去の勇者から得ています。
メイドフェチの勇気も含めてまともな人はいなかったようです。




