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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第8章 ローアン亡国編
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小話17 とある王の憂慮(ネタの都合で・・・)

この手の話しも王道でしょうか。

最近息子のアルバートの様子がおかしい。

これまでは王太子としての務めを立派に果たしていたのだが時々上の空になっている事があるのだ。

体調不良かと聞いてみてもにこやかに否定しそんな陰も見えない。

親の欲目かもしれないが為政者として優秀であると思っていたのだがこれが酷くなるようなら王国の将来が心配になってくる。

困ったものだ。

「王太子よ、ついてまいれ」

「はい、陛下」

ということで侍従を遠ざけ二人で王城中庭の庭園を散策することにした。

因みに公務の時は王太子陛下で私事であれば息子よ父上と呼び合っている。

「・・・近頃公務中に集中を欠いている事があるようだがどういう事か聞かせてほしい」

「申し訳ございません。私事で政を疎かにしてしまいました。つい気になることがありまして」

「よい、お前もまだ若い。思う事もあろう。本来私事であろうと務めを怠らない限り口を挟む必要もない。しかし王として王太子が政を疎かにしている理由を確認する必要がある。話してみよ」

「はい、陛下。実は勇者殿に頼みがあり手紙を送りまして返答を心待ちにしてついつい集中を欠いてしまいました」

「あれに私事で手紙だと?面識もなかろう?」

あんな王を王とも思わずしかも一軍を超える武勇を持つ危険人物に大事な跡取りを合わせる訳にはいかなかった。

既に面識があり勇者と判る前から懐に飛び込ませているライザなら先日の一件でも分かるように守りこそすれいきなり斬られることもないだろうが。

父としては憤懣やるかたないところだが王としては多少なりとも御せる人間をあれの側に置くのは止むを得ない判断であった。

「実は勇者殿に所有権がある物を譲って頂きたく手紙を書いた次第でございます」

「そのような物がそちの目に止まるような事があるのか?」

「先日勇者殿からライザに預けられたレインディアの侍女達を偶々見掛けまして」

「ほう、気にいった者でもいたのか?」

「個人ではございません。いえ個々も素晴らしいのですがその存在そのものが私の心を震わせまして」

「ほう、それはどのようなものなのだ?」

「『メイド』でございます」

「『メイド』とな?」

「はい、勇者殿が異世界より持ち込みました概念でございます」

「そのようなものが・・・。さすが異世界人、武勇一辺倒ではないな。やはり侮れぬ。しかし所詮侍女の類なのだろう?側に侍らせればよいではないか」

「それがライザに『メイド』は勇者殿から責任をもって預かっているため手出し無用と断られました」

「むッ、ライザも言うようになったな。王族として信義を通すのは正しい。特にあれのように国家を揺るがすような存在にはな。父としては以前の無邪気な娘が失われるのは寂しいものもあるが」

「まことに・・・」

「・・・それであれに頼んだのだか?しかしあれは意外に女子供に甘い。しかも戦奴上がりであるため奴隷や人身売買のような事には特に忌避感があるようだ。ちと危険ではないか」

「いえ、ライザのあの剣幕ではそのような事は出来そうもなく。形だけでもと『メイド服』だけでも譲ってもらい私付きの侍女に着させようと頼んだのですがそれすらも勇者殿の許可がいるとのことで」

「それで手紙を書き返事を待ちわびてかくのような仕儀に相成ったということか」

「申し訳ありません」

「まあよい。お前もまだ若い。これより精進してくれればな。しかし儂もその『メイド』とやらを見たくなった。呼んで見せてもらうぐらいは構わないであろう」

手を叩き侍従の者を呼び王命としてこの場に連れてくるように命ずる。

暫くするとアンナを連れたライザがやって来た。

「陛下、私が勇者様よりお預かりしている『メイド』達に何用でございましょう」

口調は節度を保っているもののその目は王に対しても引くつもりはない気構えが見える。

少し前までは公私の区別もつかず儂に無邪気に甘えるだけの娘であったが外に出して見識が広がったのかあれに感化されたのか。

「儂は王命で『メイド』達を呼んだのだがな」

「だからでございます。あの者達を守るのも私の責任であります故」

「そう気構えるな。それでは敵を作るぞ。例え譲れぬことがあってもそれを悟らせぬように事を為すのも上に立つ者の資質だ。それに儂が『メイド』達を呼んだのは王太子が気を取られて政に支障が出ているのでな。それほどのものか確認したいだけじゃ。他意はない」

「・・・分かりました。皆の者、出ていらっしゃい」

ライザの呼び声とともにメイド達が静々と庭園の死角から出てきた。

メイド達は皆見目のよい可憐な少女達で一様に同じ服装でショートスカートにフリルのついた黒いドレスに純白のエプロンが鮮やかに掛けられており頭には同じくフリルのついたホワイトプリムをしていた。

「こ、これは・・・」

かくしてトーア王も王太子と同じ道を辿ることになったのであった。

血は争えないというべきか。

因みにこの話しが庶民にも伝わりミイラ取りがミイラになるような事を『トアる』と呼ぶようになったとかならなかったとか。

因みに「もう何もこわくない」と言って惨殺されるのを『マミる』と言います。

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