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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第8章 ローアン亡国編
30/119

16 竜は集うⅢ

今回は短めです。

「何?ラード(・・・)より使者だと?」

シュルト王国のローアン(・・・)懲罰軍一万の指揮官である将軍が不審そうに言った。

ローアン王国からの巨額の上納金が期日までに届かなかったため急遽編成された軍であった。

国力低下に伴い周辺の属国に富を搾り取る無理難題を吹っ掛け従えばよし逆らえば懲罰軍を送り占領して国土を併合し嘗てのラードのように過酷な搾取を行う。

シュルト王国も衰退する自国の延命のため既になりふり構っていられない状況まで追い込まれていた。

ローアン王国へ送った降伏勧告の使者も戻らずローアン側からの人の往来も途絶えた。

そしていざ侵攻という時になってラード王国からの使者が来たのだ。

「はい、“救世の勇者”からの言伝とのことです」

「内容は?」

「現在のローアン王国の異常は数千頭以上の黒い翼竜(ワイバーン)が国土を蹂躙しているためのもの。上空からの攻撃には通常の軍事力では対応出来ないため応戦せず国境線近くの村々の住民を至急避難させろとのことです」

「何をばかなことを。我らが偽勇者の“殺戮の戦鬼”の言葉に従う謂れはない。しかもラード王城の虐殺を行った“殺戮の戦鬼”が今更ラードに組みするなどありえん。黒い魔物の脅威などトーアとシュナの戯言よ。魔竜山の翼竜(ワイバーン)は確かに脅威なれど有史以来群れをなして人の領域に出てきたことなどない。それにそんなものが暴れ回っていれば今頃国境に難民が押し寄せている。そうか分かったぞ。ローアンめ、我が国が少し不利になったと見てラードの賊軍と手を組んだか。翼竜(ワイバーン)の襲撃などと戯言を手を組んだラードを通じて黒き魔物を何度も倒したという“殺戮の戦鬼”からと戯言に偽りの信憑性を乗せて我が国を謀る気か!」

勇者がラード王城に滞在しているとの間諜からの情報も知らされず黒い魔物がトーアとシュナの戯言というシュルトの公式見解を信じ込み難民が出ていないのは翼を持つ翼竜(ワイバーン)から逃れられた者がいなかったからだと気付きもしない将軍はローアン王国の計略と決めつけた。

「進軍開始!目標はローアン王都!我を謀ろうとしたことを後悔させてやる!」

こうして彼らは死への行進を開始した。

思い込みって恐いですねぇ。

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