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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第7章 ラード王国編
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小話9 建国

どんどん主人公が卑劣になっていきます(笑)

メイド公国。

他国と直接の国交を持たず所在地すら不明なその公国はしかし厳然と存在し各国に大きな影響力を持っていた。

その影響力の根源になっているのは各国に人材派遣されている公国の名を冠するメイド達でありその美しさ可憐さ完璧な礼儀作法に料理や掃除スキル、SP顔負けの高い戦闘力による警護能力など各国の要人や王侯貴族にとって垂涎の的であった。

彼女達の主人になるには只金を積めばいいという訳ではなく高い徳と能力を兼ね備え更に彼女達が仕えたいと思う人物でなくてはならず、その高いハードルから彼女達の主人になれた者は王であれば持たぬ王より一段高く見られ跡目を争う王族であればそれだけで世継ぎと認められるほどの高い社会的ステータスが得られるのであった。

しかし彼女達の影響力の本質はそこではなく各国要人の側近くに仕え重要度の高い情報をいち早く掴み主人から守秘を命じられた情報以外はメイド公国を経由してメイド間で共有し主人の相談に応じ助言を与え要人間の橋渡しや人材の紹介まで行う多種多様なサポート能力にあり主人達がメイドを持たぬ者に対して絶対的優位に立てるというところにあった。

更に守秘義務を乱用したり堕落して徳を失ったり増長して横暴に振舞うようになった主人に対してはこれを見放し里帰りすることによって権威を失墜させることも可能であり国家や組織の健全性を保つ重要な安全装置ともなっており他国への侵略や謀略を企む人物を権力構造から排除する役割も担っていた。

これにより大陸は争いもなく民も幸せで安らかに暮らせる千年の平和を享受することになったのであった。



「・・・という訳で世界平和のためメイド公国建国資金としてラード王国の財宝を使わせてほしいんだ」

「お断わりします」

ラード新女王は即決で断った。

「しかし財政危機は各地方領主が遺した私財を搾り取って好転したろう。だったら余った財宝を流用しても問題ないじゃないか」

「黒騎士、いえ勇者様、分かって言っておられるのでしょうが各地方領主が遺した私財もやがて尽きます。シュルトの暴政によって国内は荒廃し直ぐに多くの税収を得られる見込みがない以上資金はいくらあっても足りないのです。それをそんな夢物語に注ぎ込むなど正気の沙汰ではありません」

「金がなければシュルトから賠償金名目で分捕ってくるからさぁ」

「やめてください。又新たな騒乱の原因になるでしょう」

「どっち道、あっちは国境沿いに戦力を集めて再侵攻する気満々なんだから一緒だろう」

「それでもです。資金があるのに騒乱の種を増やす必要はありません」

「でもなぁ」

「第一、世界平和云々はついででメイドを世に知らしめ定着させるのが目的でしょう」

「お、少しはメイドについて知ってくれたか」

「シオン様から伺いました。侍女を特化させた存在でそちらの世界ではメイドの聖地まであるとか。しかしこちらにはそんなもの必要ありません」

「どうしてもか?」

「どうしてもです」

「それならこちらにも考えがあるぞ」

「暴力には屈しません。元よりこの身はこの国に捧げています。何をされようとこの国のためにならないことは認められません」

「暴力なんて使わないさ。人を屈服させる手ならいくらでもある」

そう言い俺は一枚の紙を取り出し新女王に渡した。

新女王は不審そうに紙を受け取った。

そしてそれを見た途端顔を真っ赤にして両手で胸に押さえつけるように隠した。

「な、な、な、なんですか、これは」

「大魔導士シオンの秘匿魔法の一つに見たものを念写出来るってものがあってな。俺が地方に出張っている間シオンを護衛で四六時中張り付かせていただろう。その時に見たお前さんの入浴時の姿を自分のお楽しみのために紙に念写して隠し持っていたので没収してきた」

「な、なんという破廉恥な。しかしこんなもので脅されても私は屈しません」

「まだこれだけあるんだが」

俺は何十枚もの念写写真をテーブルの上にばら撒いた。

「キャー!!」

新女王は慌てて掻き集め身体で隠す。

「・・・それでも私は・・・屈しません」

涙目で俺を睨んでいる。

「大丈夫、それで脅したりはしないよ」

「えッ、本当ですか!」

「ああ、実は俺もシオンの特訓のお蔭で魔力制御が向上してな。例の極細ワイヤーを使った暗黒傀儡掌(ダークマリオネット)だけじゃなくこの念写魔法も使えるようになったんだ。その中の何枚かは俺の念写によるものだ。シオンのものと区別はつかないだろ」

「つまり既にこれらに目を通されたと」

「ああ、舐めるようにな」

「忘れてください!お願いします!」

「ハハハッ、それは出来ない相談だ。何せガンガン焼き増しして市井や他国で売りさばく予定なんだから。この美貌とスタイルで女王というステータスがあれば一枚金貨十枚は固い。あっという間にラードの財宝を凌ぐ額を稼げるし順調にお前とラード王家の名も貶めることも出来て契約的にも万々歳だ」

「酷い、酷過ぎます」

「後世には裸の女王と伝わり何百年経っても忘れ去られることもないだろう」

「・・・分かりました。ラード王国の財宝の一時貸出を認めます。但しこれは貸出です。メイド公国が軌道に乗ったら分割払いでもいいですから返済してください。それとレインディアとトーアに融資のお願いを貴方の名前で通しておいてください。担保は将来メイド公国からの返済金ということでお願いします」

「ハハハッ、逞しくなったな。この状況で条件をつけるとは。いいだろう、その条件で手を打とう」

かくして俺は野望達成への大きな一歩を踏み出したのだった。

因みにシオンがメイドの聖地とかの話しを知っていたのは世界間で時間にズレがあるためです。

決してご都合主義ではありません。

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