21/26
笑って
泉がものを映しだすのを止め、
風で水面に波が立っても、
女の子は黙ったままでした。
リスもじっと待っていました。
泡がいくつはじけた頃でしょうか。
「あの女のひとも、
ひとなんだ」
ぽつりと、呟きました。
「そうだね☆
最初っから狂った人では
なかったんだよ」
「きつねが言ったことが、
わかった。でもね…」
許せる訳ではありません。
女の子にはまだ確かに、
憎しみが残っています。
「どうするかは君次第☆
さあ、もう思い出してるみたいだけど、
一応渡すね☆ はいクルミ☆」
いつもの感情のように、
溶けてはいきません。
中身を割って、食べました。
「おいしい!」
と、女の子は叫びます。
リスは目を丸くしました。
クルミを食べたことに、
驚いたわけではありません。
女の子は笑っていました。
「さて☆ それでは行くかい?」
「うん。ありがとう」
お礼は、リスだけでなく、
それまでに不思議な世界で出会った、
生き物たちにも向けて言いました。
すぅっと、明るい世界が、
薄れていきます。




