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鉄と血の王国 ~理想と現実の王殺し~  作者: レモンティー


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13/21

第十三話:黒影融合

黒い光が空を埋め尽くす。

王血兵。

処刑騎士団。

倒れた兵すら。

全ての身体から黒い粒子が抜け出し、一つの場所へ集まっていく。

黒影。

「……何だ、あれ。」

レヴァルが笑みを消した。

セラは剣を握る。

「あれを完成させたら駄目。」

アレンは白銀剣ルミナスを構えたまま答える。

「融合だ。」

「王血兵全員の力を、一体に集約している。」

黒影は静かに告げる。

「第二演算。」

「戦場統合。」

「開始。」

ドォォォォン!!

黒い柱が天を貫く。

大地が揺れた。


■融合体

光が消える。

そこに立っていたのは、

さっきまでの黒影ではなかった。

全身を覆う漆黒の鎧。

肩から伸びる黒い外殻。

背中には六本の刃のような翼。

その姿は、人とも騎士とも呼べない。

「……化け物。」

セラが思わず呟く。

レヴァルだけが笑う。

「いいじゃねぇか。」

「最初からそれで来いよ。」

融合黒影は静かに剣を構えた。

「戦闘能力。」

「更新完了。」


■瞬殺

姿が消える。

「速――」

レヴァルが言い終わる前だった。

ドゴォォン!!

地面へ叩きつけられる。

鎧が砕ける。

土煙が舞う。

「レヴァル!」

セラが叫ぶ。

返事はない。

融合黒影は止まらない。

次の瞬間にはセラの目前。

「っ!」

剣を合わせる。

ガキィィィン!!

受け止めた。

だが。

衝撃だけで吹き飛ばされる。

森を貫き、

巨木を何本もへし折りながら止まる。

アレンの額に汗が流れる。

「……ここまで。」

「強化されるのか。」


■白銀剣

アレンは静かに息を吐く。

「父上。」

「ここから先は。」

「あなたの力ではなく。」

「俺の覚悟です。」

白銀剣が眩く輝く。

その光は先ほどよりも強い。

戦場全体を白く染めた。

融合黒影が初めて反応する。

「高出力確認。」

「危険度上昇。」


■一騎討ち

アレンが踏み込む。

白銀。

黒。

二本の剣が激突する。

ガガガガガッ!!

火花ではない。

白と黒の光が爆発する。

一撃。

二撃。

十撃。

二十撃。

互角。

兵士たちは目で追えない。

「見えない……。」

「速すぎる……!」

融合黒影が静かに言う。

「解析。」

「完了。」

アレンの剣筋を完全に再現する。

しかし。

アレンは笑った。

「それでいい。」

融合黒影が止まる。

「?」


■策

レヴァルが瓦礫の中から立ち上がる。

顔中血だらけ。

それでも笑っていた。

「よう。」

「時間稼ぎ、ご苦労。」

アレンが答える。

「十分だ。」

黒影は二人を見る。

その瞬間。

セラが背後へ回っていた。

「そこ!」

一閃。

黒い翼の一本が斬り落とされる。

融合黒影が初めて大きく体勢を崩した。

「損傷確認。」

「修復――」

「させるか!!」

レヴァルが飛び込む。

黒狼式・戦域圧縮。

空間が軋む。

融合黒影の動きが鈍る。

アレンが叫ぶ。

「今だ!!」

三人が同時に飛び込む。

白銀剣。

黒狼の大剣。

剣姫の黒剣。

三方向から放たれる渾身の一撃。

ドォォォォォン!!

爆発。

黒い鎧に大きな亀裂が走る。

戦場が静まり返る。

煙の向こうで、

融合黒影が初めて片膝をついた。

レヴァルが息を吐く。

「……効いた。」

セラも笑う。

「やっと。」

だが。

アレンだけは剣を下ろさない。

「違う。」

「まだ終わってない。」

亀裂の奥から、

赤黒い光が漏れ始める。

融合黒影がゆっくり立ち上がる。

「第三演算。」

「解放条件達成。」

「――王命権限、実行。」

その言葉と同時に、

戦場全体に禍々しい鼓動が響いた。

アレンの顔色が変わる。

「まずい……。」

「本体と繋がる気だ。」

遠く離れた王都の空に、

巨大な黒い魔法陣が静かに浮かび上がった。


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