技術ツリー完成後の日本⑤
誤字脱字があると思います。温かい目で見てください。AIを文章制作に使用しています。
先端医療機器研究所のクリーンルーム。顕微鏡を覗き込んでいたリョウタの傍らで、突然コンソールのホログラムディスプレイが起動し、スーツ姿の女性の立体映像が浮かび上がった。
「全く、国家OSも無茶なアラートを出してくれるわ。大企業から分業したばかりの工具メーカーの社長を、いきなり最先端の医療研究所の回線に強制接続させるなんて、何を考えているのかしら」
ホログラムの向こう側で、ユミはため息をつきながら白衣の襟を整えた。
顕微鏡から顔を上げたリョウタは、画面越しに現れた女性に戸惑いの目を向けた。
「……あなたが、国家OSの強制交配プロトコルで指定されたユミ社長ですか? なぜ、工具メーカーのデータが僕のカテーテル開発に必要なのか、正直さっぱりわからないんですが」
ユミは傍らのパイプ椅子を引き寄せ、手元の端末を自室のコンソールに接続した。
「さあね、私にもわからないわ。システムが勝手に『外部脅威を検知、防衛のために交配せよ』って赤い文字を出したのよ。とにかく、あなたのチームが今どんな壁にぶつかっているのか、見せてちょうだい」
リョウタは眉をひそめながらも、ディスプレイに脳血管用マイクロカテーテルのシミュレーション図を共有した。
「僕たちが作っているのは、直径一ミリに満たない極細の管です。中に金属メッシュを編み込んで柔軟性を持たせ、表面には滑りを良くするコーティングを施している。理想の完成案は、どんな複雑な脳血管のカーブでも、抵抗なくするりと患部まで到達できること。……だけど、どうしても滑らない。患者の体温のわずかなブレや、血管壁と擦れる時の『摩擦熱』のせいで、素材がミクロン単位で膨張して操作性が死んでしまうんです」
ユミは画面に並ぶ複雑な数式と、熱膨張のシミュレーションの赤く染まったグラフをじっと見つめ、小さく頷いた。
「なるほどね。AIの提示する『完璧な平熱』のデータ通りに作ると、現実の熱の変化に対応できなくなる。……確かに、私たちの問題と根っこは同じだわ」
リョウタはユミの言葉に首を傾げた。
「根っこが同じ? 工具と医療機器ですよ? 削るものと、血管を通すもの。どうして繋がるんですか?」
「リョウタくん、これを見て」
ユミが端末をタップすると、ディスプレイ上のカテーテルの設計図に、朝の工場で職人のゲンさんが修正した『新型工具の刃先コーティングと精密加工データ』が掛け合わされた。
「これはね、工具が超高速で硬い金属を削る時の、摩擦熱によるミリ単位の歪みを予測して、職人が先回りして『力加減と熱処理』を変えた生きたデータよ。AIの計算を、人間の直感で上書きしたの」
「職人の、直感……?」
リョウタは画面を見つめたが、まだピンと来ていないようだった。工具の硬い刃先のデータが、なぜカテーテルのしなやかな樹脂や金属メッシュに活きるのか、頭の中の計算式が繋がらない。
その時、ユミの端末のホログラムインジケータがさらに青く明滅し、中級管理者サトウの顔が新たな立体映像となって割り込んできた。
『リョウタくん、横から失礼。朝の現場でゲンさんの横にいたサトウだ。補足させてくれ。ゲンさんの野生の修正力はね、環境変数――つまり気温や摩擦で生まれる「熱のブレ」を、計算式じゃなく手の感覚でハッキングしてるんだ。君のカテーテルは、血管を通る時に摩擦熱で膨張するんだろう? ならば、その金属メッシュを編み込む段階で、熱が加わった瞬間に「あえて歪みを逃がす」ような不均一な編み方をすればいい。ゲンさんの工具データには、その『熱を逃がすための力の緊緩』の波形がそのまま記録されているんだよ』
サトウの言葉が、リョウタの脳裏に電撃のように走った。
「熱を、逃がすための、不均一な編み込み……!」
顕微鏡の横にある、AIが「エラー」として弾き出し続けていた数千通りの不規則な編みパターンのログ。リョウタはその一つを掴み、ゲンさんのデータの波形と重ね合わせた。完璧な直線だと思っていたマニュアルを捨て、あえて歪みを受け入れる設計。
「繋がる……。平熱を前提にするから駄目だったんだ。最初から『熱による変化の波』を素材に組み込んでおけば、血管内での摩擦抵抗を相殺できる……!」
リョウタの目の色が変わった。彼はユミの存在も忘れたかのように、猛烈な勢いでキーボードを叩き、カテーテルの新しい積層コーティングとメッシュの編み込みシミュレーションへデータを落とし込み始めた。
若き技術者の指先から、工具の魂を宿した、全く新しい医療用マイクロカテーテルの遺伝子がツリーへと登録されていく。
読んでくれて、ありがとうございます。8/16に文章を構成し直しています。技術ツリー完成後の日本と、主人公たちが考えた日本を救う案を織り交ぜて【エッセイ】として、随時投稿していきます。お楽しみに。




