RPG FINAL STORY EXTRA3
【フェーズ YOKO & YUKINO】
「ねえユキノ。遙、いいところあるわよねぇ。友達のためにアバター譲るなんて」
「え、そうなの? 今回、なんかうまく動かせなくて、全体を掴めてないんだけど、遙がプレイしたんじゃないの?」
「違うわよ。遙は見てただけ」
「まったく、あの子は自分で何かするってことがないんだから」
「でも、遙は周りのことをちゃんと見て行動してるよ。だから見ることも大切なことだと思うよ」
「そう? ヨウコがそう言うなら、大丈夫かな」
「でも、遙、実は最初にやらかしてたんだよね」
「何を?」
「今回、なんかシリアスな展開が多かったでしょ?」
「うん。前回は結構、笑えるシーンもあったけど、今回はなかった」
「今回は基本設定を遙にやらせたから、私が気づかなかったのが悪いんだけど、お話の基本モードを『サスペンス』にしちゃってたのよ」
「え、そうなの?」
「だから、どんどん、そっち方向に流れちゃった」
「遙のやつ……」
「まぁ、終わってみれば問題なかったことなんだから、そんなに言わないの」
「そうね。ちゃんと崇、帰ってきたもんね」
「もう、ユキノったら、そればっかり」
「だってぇ、嬉しかったんだもん」
「ハイハイ。ところで、ユキノ。今回、恵理でプレイしたんじゃなかったっけ?」
「うん。だから最初は崇の中にある『彩乃』を消すことを必死でやったの。でも、恵理ってなんか思ってたイメージと違ったのよ。で、やっぱり彩乃の方がやりやすいと思って、途中で彩乃が恵理を操ってる感じに変えたのよ。そしたらなんか動きがゆっくりになって、うまく反応してくれなくなった」
「え、それってシステムに負荷がかかりすぎたってことじゃない。って私も今回はみゆきになって彩乃の記憶塗り替えようとしてフリーズさせたから人のこと言えないけど」
「え、記憶を塗り替えようとしたの?」
「あ、忘れて。どっちにせよ、私は何もできなかったことになってるんだから」
「あ、そうなの? よくわからないけど、恵理の操作が途中から急にスムーズになったのよね。それまでは大変だった。いくら戦略立てても、その通りに動かなかったから。花火のスケッチと崇の『シ』って打ち込むのが精一杯。あと、最後、少し動くようになってから『キミは魔法使い』は『魔女』をヒントにしたって入れたけど、あれだけでよく恵理のところに戻ってきてくれたって感じ。まぁ、帰ってきてくれたから最後に正体は彩乃でしたって言えて良かったけど」
「ちゃんとバージョンアップしたんだよね?」
「バージョンアップって何? なんか崇も似たようなこと言ってたけど……」
「え、わかってないの? ちょっとスマホ見せて。……ちゃんとアップデートできてるわね」
「あ、そう。なんでだろう?」
と、そこへ崇が通りかかった。
「二人でスマホ見ながら、何をそんな深刻そうな話、してんの?」
「あ、崇さん。いえ何も」
「あ、ユキノのスマホ、この前、なんか動きが悪いって言ってただろ?」
「うん」
「で、見たらスマホ本体のバージョンが古くなってたんで、アップデートしといたよ。ついでにゲームとかのアプデもあったんでやっといた」
「えー、崇さんが……」
ヨウコは開いた口が塞がらなかった。
「何? なんか悪かった?」
「ううん、崇、ありがとう。崇が私を助けてくれたんだね」
「そんな、スマホのアプデくらいで大袈裟だよ」
「そうね。でも、本当にありがとう」
「おう。ま、それくらいならいつでも言ってくれ」
崇は自分の部屋へ入っていった。
ヨウコはしばらくスマホを見つめた。
「……まさか、現実の崇さんが崇を救うとはね」
「え?」
「なんか妬けるなぁ」
「どうして?」
「だって崇を必死に攻略しようとしてる奥さんをさりげなく助けてるんだもん」
「……そっか。私、愛されてるんだ。」
「あ〜あ、ごちそうさま。もうやってられないわ。帰る」
ヨウコはそう言って安岡家を出た。
ユキノはひとり、ウキウキしながらヨウコを見送った。
「今夜は崇の好きなもの、作ろ!」
FIN




