RPG FINAL STORY 第十四話
【フェーズ TAKASHI &MIYUKI?】
「……カシ、崇、ねぇ崇……」
「……ん? ここは」
「あ、気づいた? 良かったぁ。急に叫んで暴れるからびっくりしちゃった」
「ん、み……ゆき?」
見るとみゆきは裸だった。
そして俺も。
俺は記憶をたどった。
と、みゆきが、
「ふふ、昨夜は先に寝ちゃうから、してくれないのかと思った」
「え?」
「でも、あんな時間に……へへ……。なんか笑っちゃうな」
みゆきは照れたように、でも愛しそうにそう言った。
「昨夜……」
「そう、崇と私のはじめての夜」
みゆきはそう言って、素肌のまま俺に抱きついてきた。
昨夜ーー
深夜二時過ぎに俺は目を覚ました。
「ん? 崇、起きたの?」
「あ、ごめん。起こすつもりなかった。まだ夜中だし、ゆっくり寝てていいよ」
「うん、ゆっくり寝る……」
みゆきは目をつむったまま、うやむやに答えながら俺にすり寄ってきた。
(え?)
俺はドキドキした。
みゆきの匂い
みゆきの温もり
みゆきの寝息
今、この腕の中にある。
はじめて会った日から、こうなることをずっと望んでいた。
高校に入学して間もない頃。
「タカシ、おはよう!」
みゆきがそう叫んで追いかけてきた時から。
その彼女が今、この腕の中に……。
俺はみゆきを抱きしめた。
(このまま寝よう。それでいい。みゆきと一緒に寝れるんだから幸せじゃないか)
しかし、みゆきは、目をつむったまま、右腕を俺の首の後ろに回して、さらに抱きついてきた。
(え、寝ぼけてんのか?)
と思う間もなく、みゆきの唇が俺の唇に重なった。
みゆきの唇の感触が全身に伝わって、俺はみゆきの唇から自分の唇を離せなくなった。
そのまま二人はキスを続けたが、やがて俺が動いて、みゆきの上になる形になり、唇を離した。
みゆきはそっと目を開け、小さく頷いた。
そしてみゆきと俺は、はじめて一つになった。
ーー
生々しい記憶が頭の中を駆け巡った。
みゆきの匂いが俺の全身に染み付いていた。
そして、たぶん俺の匂いはみゆきに……。
みゆきは俺の腕の中から顔を近づけてきた。
二人は目をつむったまま唇を重ねた。
みゆきも俺もお互いを激しく求めーー
(……おかしい。何か違う)
重ねている唇も、抱きしめてる体の感触も、そして匂いも……。
記憶にある、みゆきのものではなかった。
(ん、みゆきのもの? 俺が抱いたのは本当にみゆきだったのか?)
ふと、違う女の顔が浮かんだ。
(誰だ?……でも懐かしい気がする)
考えるうちに、目の前にいるみゆきがみゆきに思えなくなった。
俺は唇を離した。
「……どうしたの?」
「……お前は、誰だ?」
「え、みゆきよ。ほら、この通り、み・ゆ・き」
「いや、みゆきじゃない。俺はみゆきを抱いたことなんかない」
「何言うのよ。昨夜、あんなに激しく愛し合ったのに」
みゆきは目に涙を浮かべた。
しかし、俺にはその涙さえ本物には見えなかった。
と、俺は急に動けなくなった。
まるで脳内が止まったように思考出来なくなった。
固まる俺を見て、みゆきが慌てた声を出した。
「……崇? 崇、大丈夫? ん、フリーズした? ……あーやっぱり無理だったか。ふむ……再起動するしかないか」
(再起動?)
消えかかる意識の中で、その言葉だけが俺の脳裏に響いた。




