RPG FINAL STORY 第九話
【フェーズ Here After】
目覚めると、自分の部屋だった。
(あれ、俺、いつの間に家に帰ったんだろう?)
と、昨夜のことを思い出した。
(恵理は大丈夫か?)
俺は携帯で電話をかけてみることにした。
が、なぜか恵理の名前がアドレスにない。メルアドも……ない。
(あれ?)
俺は飛び起き、そそくさと着替えて車に乗り、恵理の家に向かった。
車を運転しながら恵理のことを考えていた。
いないと思うと自分でも信じられないほど不安になった。
(俺、そんなに恵理に依存してたのか……)
思い当たることはいっぱいあった。
ライブの時も俺を笑いのネタにすることはあっても、最後は、
「私の最も信頼している人です」
って言ってくれるし、仕事が終わらず深夜に帰ると、
『シーさん、ちゃんと食べないとダメよ』
というメッセージカードと一緒に俺の部屋におかずを置いてくれてたこともあった。
考えてみると、恵理はいつも俺の近くにいて、俺のやりやすいように動いてくれていた。
それも、俺がそうだと気づかないところで。
いつの間にか、恵理がいることが当たり前になっていたのだ。
と、『Here After』の前を通りかかった。
俺は急ブレーキをかけてHere After駐車場に入った。
(もしかしたら、ここに恵理がいるかもしれない)
そう思ったからだ。
開店前だが、Here Afterの扉は開いていた。
「あ、マスター、おはようございます」
「お、安岡氏、どうしたの? こんなに早く……ってもう彼女来てるよ。今度のライブの打ち合わせだろ?」
「あ、そう、彼女来てるんですか。よかったぁ」
「え、どうしたの? 喧嘩でもしたのかい? 彼女、そんな感じじゃなかったけどなぁ」
「いや、携帯見たら、電話番号もメルアドもなくなっててビックリしたんです」
「寝ぼけて消したんじゃないの? そんなこと彼女が知ったら、それこそ怒られるよ」
マスターはニヤニヤ笑った。
「で、彼女はどこに?」
「ああ、奥の控え室でギター弾いてるよ」
「わかりました。じゃ、俺、行きますんで」
「はいよ。喧嘩するなよ〜」
「わかってますって。喧嘩なんかしませんよ」
俺はほっとした気持ちで、控え室の扉を開けた。
そこに恵理の姿はなかった。
代わりにこっちを向いて声をかけてきたのは、忘れもしないあの面影だった。




