RPG FINAL STORY 第五話
【フェーズ KAREN Vs ERI&TAKASHI】
Here Afterの外テラスで、恵理は俺にもたれたまま、半分、放心状態で座っていた。
と、
「こんにちは、安岡氏」
後ろから声をかけられ、俺はギョッとした。
振り向くと、ライブを終えたばかりの歌蓮が立っていた。
「……どうしてその呼び方を?」
「ふふ。相変わらず女の子にやさしいね。安岡氏は」
「……KAHOちゃん?」
「ざ〜んねん。私はKAHOではありませ〜ん」
「……だよな。どう見ても俺と同じ年齢には思えない」
「そう、私は十九歳。あなたがKAHOと一緒にライブしていた頃の年齢だよ」
「随分、気軽に話しかけてくるなぁ。初対面だろ?」
「そうよ。でも、あなただってKAHOに最初に声かけられた時、すぐに昔から知ってる感覚になったでしょ?」
「それは、……確かにそうだが」
「だから、そんなところはすっ飛ばしましょ。私は安岡氏を知ってる」
「いや、俺は君を知らない」
「そう? 『魔女』だけじゃだめだった? じゃあ、これは?」
「やめて歌蓮。もうこれ以上、シーさんを惑わせないで」
「シーさん? 安岡氏、この人にシーさんって呼ばれてるの? へぇ、仲良いんだね」
「ああ、恵理は俺の大事な女性だ」
「ふ〜ん言うわね。でも、私が現れたからには、もう安岡氏は私から逃れられない」
「だから、やめて歌蓮」
「恵理さん、あなたが何を言ってもムダ。わかってるでしょ?」
「……わかってる。わかってるけど……」
歌蓮は、不意にアカペラで歌い出した。
♪この世界の空の下 どこかの街にいるあなた
大きな夢を目指して 一人旅立ったあなた〜
「……『あなたと愛の丘で』」
「そうよ。KAHOと一緒に歌ったでしょ?」
「君は一体……何者なんだ?」
「私? 私は……」
その時、ガチャッと扉が開いて、マスターが顔を出した。
「歌蓮、ここにいたのか。みんなが君の話を聞きたいって言ってるから、中に入っておいで」
「わかった。すぐ行く」
「恵理ちゃん、大丈夫かい? まだ苦しい? 病院行くかい?」
「いいえ、大丈夫です。もうだいぶ落ち着きましたから、もう少しここで休ませてください」
「そうかい。休むのは全然構わないよ。何かあったら言ってくれ。歌蓮、恋人同士の邪魔しちゃダメじゃないか。さあ、お入り」
「……わかったわ、マスター。じゃ、安岡氏、今度はちゃんと約束守ってね」
そう言って、歌蓮は店の中へ入っていった。




