RPG FINAL STORY 第三話
【フェーズ ERI&TAKASHI+Master】
「ねぇ、シーさん、今度の週末、新しい子のライブがあるみたいよ」
恵理はそう言って、壁に貼ってあるライブ告知のポスターを指差した。
『歌蓮ーKARENー First Live 9月3日(土)19:00』
「へぇ、女の子のライブか」
「そうみたい」
と、俺はカウンターの中にいるマスターに声をかけた。
「マスター、今度ライブする『歌蓮』って子、マスターの知り合い?」
「ああ、知り合いの娘さんでね。十九歳だけど、高校生の時から自分でオリジナル曲作っていて、すごくいい曲書くんだ。歌も上手いし、一度、出てみないかって誘ってたんだけど、なかなか『うん』って言ってくれなくてね」
「なんで?」
「まだ自信がないって」
「そうなんだ」
「でも、やっとその気になったらしく、この前、自分から『演奏させてください』って言ってきた」
「ほう、それは興味湧くなぁ」
「いや、ほんとに歌、上手いんだよ彼女。恵理ちゃんにも負けないくらい」
「え、そんなに上手いの?」
「まぁ、恵理ちゃんとは質が違うから比べられないけど、見たらブッ飛ぶよ」
「へぇ、マスターがそこまで言うんだから、相当なんだろうな」
「安岡君も見に来てよ」
「もちろん見に来るよ」
「よかった。彼女、喜ぶよ」
「え、なんで?」
「なんか安岡君に興味があるみたいだから」
「へ、その子、俺のこと知ってるの? なんで?」
「さぁ? でも、恵理ちゃんとのライブを見たんだと思う」
「ああ、そういうことか。でもなんで俺?」
「さぁ? 彼女、霊感とか神秘的な力があるってわけじゃなさそうだけど、時々、突拍子もないことするんだよね。でも、それがことごとく上手くいくっていうか、パズルがピタっと合うというか……。だから、彼女の頭の中で、安岡君の何かが引っかかったんじゃないかな? それとも、安岡君、彼女に何かした?」
「してない、してない。会ったこともないし、喋ったこともない。なんか気持ち悪いなぁ」
「ハハ、冗談だから気にしないで。ちゃんとライブ、見にきてくれるよね?」
「ああ、そりゃもちろん来ますよ。なぁ、恵理」
彼女は浮かない顔になっていた。
「ん、恵理?」
「……私、来ない」
「え、なんで?」
「ね、シーさん、やめよう。見ない方がいい気がする」
「だから、なんでだよ? 見てみないとわからないだろ?」
「見たら、シーさん、必ず、その子に惹かれる」
「へ、なんで、そう思うの?」
「なんでも……。とにかく、私にはわかるの!」
恵理は急に怒り出した。
「恵理ちゃん、そう言わず、見に来てよ。きっと恵理ちゃんもいい刺激になると思う」
マスターの誘いにも恵理は下を向いたままだった。
が、じっと考えて、恵理は顔を上げた。
「……運命は変えられない、か。……マスター、見に来ます」
「そう、来てくれるの。よかったぁ」
マスターは大喜びでそう言った。
「シーさん、私、シーさんと一緒に見るわ。でも、何があっても、私のそばにいてね」
「? ……なんかよくわからないけど、元々、恵理と二人で見るつもりだから、そばにいるよ」
「ありがと。いい? 絶対、そばにいるのよ。じゃないと見ないから」
「……う〜ん、わからないけど、わかった。恵理の言うとおりにする」
そして、恵理が言う『運命』の九月三日がやって来た。




