RPGセカンドストーリー スピンオフ ユキノのギモン
ある日、ディスプレイの中から、ユキノが訊いてきた。
「ねえ、しんTAKAさん」
「何?」
「セカンドストーリーはゲームだから、崇と結ばれたら終わりっていうのはわかるの」
「うん。まぁ、どこかにエンドを設定しないとゲームを構築できないからね」
「でも、こういうゲームって、全部終わったら、ウラの扉が開いて、NEXTステージがあったりするでしょ?」
「ああ、そういうのもあるね」
「ないの?」
「え?」
「このゲームには、未知へと続くステージはないのかなぁって」
「……ユキノ、そんなにこのゲームにハマったの?」
ユキノは、真っ赤な顔になった。
「私が、ハマったらおかしいよね」
「いやいや、光栄です」
「で、ないの?」
「ああ、今は設定してない」
「今は?」
「うん、まだ本編のバグとか、細かいチェックしないといけないから、そこまで手が回ってない。それに……」
「それに?」
「どういう構成にしたらいいかも考えないといけないし」
「そうね」
「ユキノは、どんな構成にしてほしい?」
「私、彩乃でプレイしたから、その後の彩乃がどうなるか、見てみたいんだよね」
「ああ、確かに。 崇とどうなっていくのかなぁ」
「でも、疑問がある」
「疑問?」
「崇が彩乃と一緒になる未来だと、私もヨウコも出てこない未来になるってことよね?」
「お、鋭い。そこ気がつきましたか」
「だって、いくらスマホのゲームとはいえ、元々、物語の中にいる私は、どっちの世界も自由に行き来できるわけでしょ? そしたら、崇の選んだ彩乃として私は生きてゆくしかないのかなぁ?」
「へ?」
「彩乃は仕事、何するのかしら? たしか、保育士って設定よね? 私、看護師しかしてこなかったし、できるかなぁ?」
「ちょっと、ちょっと……」
「崇の性格だと、音楽的な浮気はしても、彩乃と別れるって選択はしないだろうし、彩乃が崇をフるっていうイメージもないしなぁ。 私、彩乃と対決して、勝てるかしら?」
「ちょっと待って。なんかややこしくなってる」
「もし、このゲームをやってなければ、崇は彩乃から『ほっぺにキス』をもらわなかったわけで、そうだとすると、彩乃と会うのは、せいぜい同窓会くらいで、崇の人生には全く影響がなかったはずよね?」
「……まぁ、それはそうだね」
「私、プレイしなきゃよかったなぁ」
「え、後悔してるの?」
「してる。崇が彩乃と結ばれちゃダメだったんだ。しんTAKAさん、どうしよ。私、おかしくなりそう」
「え、どうしたらいいんだ? 俺もわかんなくなってきたぞ」
「そうねぇ。何か私が安心できるようになれたらいいんだけど」
「ああ、そうか。でも、横にいる崇はユキノにゾッコンだよ。その崇はどうなるんだ?」
「え、あ、そっか。崇、ここにいるんだ。じゃ、大丈夫。安心した。しんTAKAさん、もう大丈夫だから、今の忘れて。じゃあね」
と、一方的に喋って消えた。
「ちょ、おい……」
ユキノが消えた画面を見ながら、しんTAKAはため息をついた。
ため息をつきながら、
(本当にこれでいいのか?)
自問自答した。
そして、ユキノが言った世界線を考えていた。
(……崇と彩乃の未来か。そのまま行ってもドラマは起きない。でも、そこに違う世界線を埋め込んだら、もしかしたら……)
しんTAKAはPCを開いて、新しい展開の構想を練り始めた。
『ユキノのギモン』
FIN




