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「RPGパラレル・パラドックス」  作者: しんTAKA


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RPGセカンドストーリー スピンオフ ユミと佐久本

二十歳の夏休み。

実家で過ごすユミは浴衣の着替えに苦戦していた。


(上手く、帯が結べないなぁ)


全身鏡を見ながら、右を向き、左を向き、いろいろやってみる。


(あー、みゆきがいたら、こんなのすぐできるのに。 みゆき、今夜の花火来ないのか。 なんか部屋の改造で忙しいって言ってたな)


やっとの思いで身支度を整えると、もうみんなとの集合時間が迫っていた。

と、そこへ一台、車がやってきた。


家の庭に車を停めると、ウインドウが開いて、男が手をあげた。


「あ、佐久本君。 何、迎えに来てくれたの?」


佐久本は頷いた。

ユミはニコニコしながら車に乗り込んだ。


「よかったぁ。 今日、みゆき、来ないって言ってたから、一人でどうやって行こうかなぁって思ってたの」


佐久本は、胸を二回たたいて、『俺にまかしとけ』ってポーズをした。


「じゃあ、よろしくね」


ユミを助手席に乗せた佐久本は、車を花火会場へと走らせた。


会場に着くと、まだ知ってる友達は誰も来てなかった。

少しして、安岡君と岸本君がやってきた。


「おう、佐久本、早いな。ユミちゃんも一緒か」

「え、何? 岸本君、私はついでなの?」

「いやいや、そういう意味ではなく」

「じゃ、どういう意味よ?」

「おい、岸本、着く早々、喧嘩するなよ」


横から崇が岸本をたしなめた。


「ユミちゃん、ごめんね。こいつ悪気ないんだ」

「まぁ、安岡君がそういうなら、別にいいわよ。私だって、せっかくの花火大会で喧嘩なんかしたくないからね」


岸本は何か言いたそうだったが、ユミの後ろにいた佐久本が、両手を前に出して、『まぁまぁ、落ち着いて』ってポーズをしたので、それ以上言うのをやめた。


と、そこへ、彩乃とのっこがやってきて、崇と岸本は、二人との会話を始めた。

ユミの存在をすっかり忘れてしまったように。


「ちょ、何よ……」


と、二人に食ってかかろうとしたユミの腕を引っ張る者がいた。

振り向くと、佐久本が『ううん』と首を振っていた。

仕方なく、ユミは我慢した。


やがて、彩乃とのっこが去った。


「ちょっと、さっきから、二人とも私のこと無視してない?」


ユミは少し膨れっ面で崇と岸本を見た。

その後ろで佐久本は、無言のまま両手の人差し指を上に向けて、鬼の角の形を作っていた。


「あ、いや、ユミちゃん。可愛いよ。もちろん」

「許せないわね。なんか奢ってもらわないと」

「わかった、わかった。たこ焼きでも、焼きそばでもなんでも買ってあげる」

「ほんと? じゃあ、ユミ、綿菓子がいい。すぐに買ってきて!」


崇と岸本はやれやれといった顔になった。


崇が綿菓子を買いに行ったので、その場に残ることになった岸本は、ユミの方を見て、


「あ、俺、たこ焼き買ってくる。みんなの分も一緒に」


と、そそくさと走って行った。


残ったユミと佐久本は顔を見合わせ、お互い、両手を上に向けて、『お手上げ』ってポーズをして首を傾けた。


崇が買ってきた綿菓子を頬張りながら、満足顔で歩くユミ。

夜空には花火が色とりどりの花を咲かせていた。

佐久本は、ユミの横にいて、通りすがりの人にユミがぶつからないよう、ガードして歩いた。

ユミは花火の間、ずっと上機嫌で過ごした。


花火が終わって、佐久本が車でユミを送って行った。

途中、コンビニの前を通りかかると、ユミが声をかけた。


「あ、ちょっと、コンビニ寄って」


佐久本は駐車場に車を停めた。


「ちょっと待っててね」


そう言って、ユミはコンビニに走って行った。

少しして、帰ってきたユミは、運転席のウインドウをノックした。

佐久本がウインドウを開けると、


「はい、これ」


と言って、缶コーヒーを渡した。


「今日、送ってくれたお礼」


佐久本は『おうっ』と目を丸くした。

それから何度も頷き、グーサインを出して感謝した。


「ふふ、佐久本君、見てると楽しい」


ユミがそう言うと、佐久本の顔がみるみる赤くなった。

佐久本はユミに助手席に乗るよう促した。


そして、車は夜へと走り出した。

満天の星が二人を見守っていた。

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