RPGセカンドストーリー スピンオフ 麻菜美
日曜日の朝、彼女は目覚めた。
昨夜、いろいろあったことが、また頭の中をぐるぐると駆け回り始めた。
彼と別れることは決めていたから、それは後悔してない。引きずってもいない。
冷蔵庫から1リットルパックのブラックコーヒーを取り出し、氷を入れたグラスに注ぐ。
ひと口飲むと、グラスをソファの横のサイドテーブルに置いた。
ふと思い出して、バッグからCDを取り出し、コンパクトステレオにセットして再生を押した。
ピアノの前奏が聞こえ、やがて女性の歌声が流れ出した。
ーーやっぱり、きれいな声ね。安岡君の作った曲も素敵。
CDケースのクレジットに書かれた曲のタイトルの文字を読む。
『終止符』 Lyrics: Ayano / Music: Takashi / Vocal: KAHO
アイスコーヒーのグラスを片手に、ソファにしゃがみ込み、そのまましばらくこの曲を聴いた。
ーーそういえば、あの二人、ちゃんと帰れたかしら?
安岡君はちゃんと連れて帰ろうとしてたけど、三井さんはしたたかな女の顔してたな。
安岡君、食べられちゃったかもね。
まぁ、二人はお似合いだし、三井さんはきちんとコントロールできる子だから大丈夫よね。
って、私、何考えてるんだろう。
自分の恋愛はうまく制御できないのに、元教え子のことばかり心配して。
と、彼女は、その時、気づいた。
ーーああ、やっぱり、私、教師なんだ。
彼女は、もうひと口、アイスコーヒーを飲むと、立ち上がり、窓を開けた。
さわやかな四月の陽射しと少し冷たい風が部屋に注ぎ込んだ。
思い切り空気を吸って、誓いを新たにした。
ーー私は、教師なんだ。




