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「RPGパラレル・パラドックス」  作者: しんTAKA


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RPGセカンドストーリー EXTRA2

【フェーズ Outside the Narrativeのウラ】


ユキノがディスプレイの中に消えた後、しんTAKAは、ふと思い出して、スマホ内にある、このゲームアプリを開いた。


(アレを削除しておかないとな……)


と、


「しんTAKAさん、何やってんの?」


後ろから聞き覚えのある声がした。しんTAKAは恐る恐る振り向いた。


「あ、ヨウコ。あれ? 佐藤君に呼び出されたんじゃなかったっけ?」

「うん、そうなんだけどね。どうもおかしいのよね」

「何が?」

「私が、このゲームをプレイしてる時に限って、真が呼び出してくるの」

「へえ、そうなんだ。そりゃあ、やっぱり佐藤は、時間があるんならゲームじゃなくて一緒にいたいってことじゃないの?」

「うん。それが、そうでもない感じなのよねぇ。……ところで、さっきから何やってるの?」

「あ、いや、これはなんでもない」


しんTAKAはスマホを持った手を自分の後ろに回した。


「ん〜? 怪しいなぁ。見せて!」

「いや、なんでもないって。あっ」


ヨウコはしんTAKAの遮る手をサッとかわして、スマホを取り上げた。

画面に映った表示を見て、


「何、これ? S1、S2って二十個くらいボタンがある」

「あ、それはゲームには何も関係ないんだ。スマホ返せよ」


ヨウコはその声を無視して、S1のボタンを押してみた。

すると、自分のスマホにメッセージが届いた。

開くと、


『陽子さん、時間ができたんで、これから会わない?』


という言葉が入力されていた。それは、以前にも全く同じ言葉で送られて来ていた。

ヨウコは、S2、S3と続けて押した。


すると、メッセージが続けて二つ届いた。


『陽子さん、今、時間ありますか?』

『陽子さ〜ん、ね、あそぼ』


「これ、どういうこと?」

「いや、その、つまり……」

「真からだと思ってたメッセージは、しんTAKAさんが送ってたのね?」

「……バレたか」

「『バレたか』じゃない! ちゃんと説明して」

「よく見て、T1、T2ってボタンもあるだろ?」

「うん、あるね」

「それは、ユキノに崇からのメッセージが届くように作られてるんだ」

「でも、二個しかない。Sは二十個以上あるのに。これ、明らかにユキノに勝たせようとしたってことでしょ?」

「違う違う。あくまでも公平にするために作ったんだ。だってユキノは看護師の仕事をしながらゲームしてるんだし、夜勤もある。今、仕事してないヨウコと対戦するなら、ヨウコもスマホを触れない時間を作らないと、それこそ不公平じゃないか」

「だったら、そう言ってくれればいいでしょ? こんな小細工して」

「だって、子どもに言うみたいに、『何時から何時まではゲームしてはいけません』なんて、お前に向かって言えるか? お前だって、『そんなの私のやりたい時にやるわ』って言うに決まってるんだから」

「失礼ね。きちんと言ってくれれば、私だって、ルールに従ってやるわよ。あのビールを置いたのだって、『相手がゴールしそうになったら、三回まで妨害アイテム使っていい』っていうルールに従っただけなんだから」

「ああ、わかってる。でも、ユキノはそのルールを使わなかったし、逆に、お前の使った仕掛けを利用した。やっぱり、ユキノの勝ちで間違いない」

「そうなのよね。ユキノ、私の裏のウラまでいっつも読むんだから。……はぁ、やっぱりダメか」

「ユキノに勝とうったって、絶対、無理だよ。特に崇のことになるとね」

「わかってたけど……。あ〜あ、私も崇、ほしかったなぁ」

「コラコラ。ところで、ヨウコ、なんで『オアシス』の二階に自分の部屋、作ったんだ?」

「だって、ずっと、オアシスが物語のポイントだったでしょ。初期設定で、自分の作戦室を一箇所、好きな場所に作っていいってことになってたので、『オアシス』の二階なら、崇が彩乃と来ても監視できると思ったのよ」

「なるほどね。ヨウコらしい考え方だな。でも、みゆきのお前が崇にキスされたのに、なんでゲームを一時停止させて、作戦室に崇を連れ込んだの?」

「うん、確かに、あのまま一気にって手もあったけど、崇の心はみゆきを向いてないことがわかってたし、わざとユキノのところに返して、二人でもう一回、作戦室に来させて、『崇にキスされた』って揺さぶってやろうと思ったの」

「ああ、そういうことか」

「でも、ユキノ、全然、怯まないの。やってられないわよ」

「わかってたことだろ?」

「そうね。でも、それしかチャンスないと思ったから。ところで、ユキノの作戦室ってどこだったの?」

「え。ヨウコ、気づかなかったの? まぁ、そうか。気づかなかったから妨害アイテム、使ったんだもんな」

「……え? ……もしかして、ユキノの作戦室って……」

「そう、あのラブホ」

「ええ〜!」

「そうだよ。ユキノは最初にあのラブホの部屋を作って自分の作戦室にした。だからバスルーム、ベッド、テーブル、冷蔵庫、照明、その他、全てをどこに置くか計算して配置したんだよ。ヨウコが缶ビールを冷蔵庫から出してくるって予想してね」

「え〜、そこまで考えてたの?」

「そう。だから、ホテルに入った時点でこのゲームは終わったも同然だった」

「そうか、だから、あんなに簡単に車から部屋の中に入っていけたのか。どう考えても初めて来たって感じじゃなかった」

「そう。ユキノは崇を自分の部屋へ連れてきたつもりでいたから、あんな行動になったんだ。あのラブホがユキノの作戦室だと気づかなかったヨウコには勝ち目はなかったんだよ」

「が〜ん! 今、本当に頭が『が〜ん』ってなった。やられたぁ」

「ユキノはしたたかだったよ。崇が、『そろそろ帰ろう』って言っても、『お腹空いた。何か食べよ』って言って、食べ終わったら山峰公園へ誘って、帰るのどんどん遅くしておいて、『今日は帰らなくていいの』って言う」

「まぁ、それは、女の子の常套手段の一つよね。それくらいはね」

「やっぱり、そうとしか思ってない?」

「え、違うの?」

「あれ、山峰公園に行ったら、ルート的に帰りは必ず、ラブホ街の前を通ることになるんだよね」

「え、えええ〜! ……まさか、そこまで計算して?」

「そうだよ。必ずラブホに行けるように仕組んでた。っていうか、最初に地図見て、ラブホ街の位置を確認して、崇を呼び込むために都合のいい夜景スポットがあることを確認して、あの場所に作戦室を作ったんだ」

「……す、すごすぎる。私なんて、何も考えてなかった。……ちょっと待って。そしたら、『あ、ラブホがある』っていかにも今、見つけたって感じで言ってたあのセリフも計算?」

「そういうこと」

「ウソだぁ、ユキノ、したたかすぎる。……ってか、ちょっと怖い」

「あと、気づいてないだろうけど、午前2時に小さくアラーム鳴らして、崇が起きるように仕掛けてたよ」

「な、なんですって? そこまでしてたの。がが〜ん。……私、もう立ち直れない」

「な、だから言っただろ。対戦型にしたらショックが大きいって」

「ショックすぎる。ショックすぎて、このままじゃ帰れない。もうしんTAKAさんでいい。シよ」

「へ? お前、何言ってるの? 俺とお前がそんなことできるわけないじゃないかって、おいやめろ。コラ、ズボン脱がそうとするな!」


二人のやりとりを、ディスプレイの中から、ユキノと崇が笑いながら見ていた。



【フェーズ Outside the Narrativeのウラ】


FIN

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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