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「RPGパラレル・パラドックス」  作者: しんTAKA


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RPGセカンドストーリー 第十一話

【フェーズOasis Master’s room1】


店長らしき男が、部屋の奥と手前を間仕切るレースカーテンの向こうにいるらしき人物に声をかけた。


「お二人をお連れしました」

「ありがとう」


店長は、俺と彩乃の横を通り過ぎる時、軽く会釈して下の階へ降りて行った。


「いらっしゃい。ようこそ、お二人さん」


カーテンの向こうから女の声がした。


「ん? みゆき?」

「え? 栗山さんなの?」


彩乃は戸惑った顔で俺を見た。


「ふふ、やっぱり崇ね。すぐに私だとわかるなんて」


女がカーテンを開けて出てきた。

思った通り、それは、みゆきだった。

ーーが、何かおかしい。みゆきにしては妙に大人びている。

いや、元々、大人っぽい文字を書く子だし、時々、大人の顔を見せることもあった。

しかし、今、目の前にいるみゆきは、昨日、会ったみゆきとは明らかに違った。

表情も、声のトーンも、ちょっとした仕草も。

そして、まるで操られているかのような目をしていた。


「みゆき、お前、ほんとにみゆきか?」

「何言ってるの? 崇。みゆきよ。昨日、キスしたじゃない」

「え? キスした?」


彩乃が明らかに動揺した顔に変わった。


「違う、あれは……」


と、間髪を入れず、みゆきが、


「三井さんと別れて、私と付き合うって言ったよね?」

「そんなこと言ってないだろ」

「だって、今からなら、やり直せるみたいなこと言ったでしょ?」

「それは……」


俺は動揺した。

俺の迷いを察した、彩乃が言った。


「どういうこと?」

「いや、だからそれは……」

「ううん、崇君に聞いたんじゃない。栗山さん、いえ、みゆき、なんのつもり?」

「みゆき? あなたが呼び捨てにするんなら、私も『彩乃』って言うわ。でも、まぁ立ち話もなんだから、そこ座りなさいよ」


俺と彩乃は言われるまま、椅子に座った。

向かいの席にみゆきも座った。


「何、飲む?」

「え、こんな雰囲気で飲めないだろ?」


俺がそういうと、


「飲み物くらい、あってもいいでしょ?」


そう言って、みゆきは下の店長に電話で指示をした。

しばらく向かい合ったままの沈黙が続いた。


と、トントンとノックの音が聞こえ、店長が入ってきた。


「お待たせいたしました」


そう言うと、テーブルの俺の前にカフェオレ、彩乃にカプチーノ、そしてみゆきにブラックコーヒーを置いた。


みゆきは、なぜか、砂糖とミルクを入れるとひと口飲んだ。


「あれ、みゆき、ブラックじゃなかったっけ?」

「え?」

「後味が嫌だからって昨日……」


と、みゆきは明らかに(しまった)という表情をしたが、すぐに、


「今日は甘いもの、飲みたい気分なの。さあ、あなたたちもどうぞ」


と促した。


「変だなぁ…….。そんなに簡単に好みが変わるかなぁ。まぁ、みゆきだからなぁ」


俺はボソボソ言いながら、カフェオレをひと口飲んだ。

その横で、彩乃もカプチーノをひと口飲んだ。

すると、彩乃の顔を見たみゆきが、


「彩乃、あなた……」

「え、なに?」

「上唇に泡がついてるわよ」

「え?」


彩乃は慌てて口元をハンカチで拭った。

ハンカチについた茶色いシミを見て、


「わ、恥ず」


……と、彩乃は、何かに気づいて、


「もしかして、前に崇君と一緒に飲んだ時も泡ついていた?」

「え?……あー、どうだったかなぁ」

「やっぱりついてたんだ。ちゃんと言ってよ」

「なんでそうなるんだよ」

「だって崇君がごまかす時はほんとの時なんだもの」

「あ、そっか。でも、その姿が可愛いなって。彩乃と逢ってるっていう気持ちになれたから、下手に何か言って、それが無くなると寂しいから言わなかった」

「ダメよ。それはちゃんと言わないと。私だって女の子なんですからね」


と、


「ちょっと、さっきから二人きりみたいな会話してるけど、ここに私がいるの忘れてない?」

「ああ、ごめんなさい。で、さっきの話だけど、みゆき、どういうつもり?」

「どういうって? 言葉の通りよ。崇は私にキスして、言ったの。『このままじゃ終われないだろ』って」


俺は、彩乃の前で昨日のことを言われ、動揺した。


「あ、いや、違う。というか……」


しどろもどろになってると、


「それ、崇君からしたら、区切りにしたってことでしょ?」

「へぇ、ずいぶん自信があるのね。まるで『私は崇にフラれるはずがない』って言ってるみたい」

「そうよ。私が崇君にフラれることはないわ。たとえ、私が裏切ることがあっても」

「え、俺、彩乃に裏切られるの?」

「『たとえば』の話よ。それより、今はみゆきとの話に集中させて」

「……わかった」

「みゆき、あなた、本気で崇君を好きになれるの?」

「……な、なれるわよ。決まってるでしょ」

「どうかなぁ。あなたは今、男にフラれて相手がいないから、崇君に言い寄ってるだけなんじゃないの?」

「な、なんですって。彩乃、いくら元同級生でも言っていいことと悪いことがあるわよ」

「変わらないなぁ。本当のこと言われると、そうやってムキになるとこ」

「いい加減にして。あなた、崇の何を知ってるっていうの?」

「全部よ」

「全部?」

「そう、崇君がどこで何をしていても、必ず、私の元に帰ってくる。だから、今、知らなくても後で必ず話してくれる。つまり、全部よ」

「全部……」


みゆきは彩乃の圧倒的な言葉と態度に一方的に押されていた。

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