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アプリ『異世界ポイント』で楽しいポイント生活 ~溜めたポイントは現実でお金や様々な特典に交換出来ます~  作者: よっしゃあっ!
第六章

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150/151

150.変態さんは野郎には厳しい仕様です


 メイちゃん。本名メイメイ・メイ。

 羊人シープルの亜人で、かつて俺がメインストーリー2と3で出会った少女だ。

 村の人間から酷い亜人差別を受けており、更に呪術猿から呪いを受けて、危うく死ぬ寸前だったところを、女神の雫で救うことが出来た。

 その後は、トラさんと亜人解放戦線によって、亜人の国に妹のミイちゃんと一緒に渡った。

 まさかこんなところで再会することになるとは思ってもみなかった。


「メイちゃん、久しぶりだね」

「はい~。半年ぶりくらいですねぇ~。会いたかったですよぉ~、お兄さ~ん」

「ああ、俺も会えて嬉しい――って、半年!?」


 メイちゃんの言葉に、俺は驚愕する。

 アルタナではもう半年も経っているだと……?

 現実との時間のズレは理解していたが、こっちの世界の時間も進んでるのか。

 でもラヴィ君の家の酒瓶は、埃を被っていなかった。食べ物も傷んだ様子はなかったし、時間が経過したのはそれよりも前ってことか?

 メイちゃんは顔をぐりぐりと押し付けてくる。


「ん~~~~、久しぶりのお兄さんの匂いだぁ~。会えてとぉ~~っても嬉しいですぅ~」

「相変わらずの口調だな。……少し背が伸びたんじゃないか?」

「はい~、羊人シープルは他の亜人に比べて成長が早いんですぅ~」


 以前は小学生くらいだったのが、今ではセイランとそう変わらない。

 いや、モコモコの髪の毛分、セイランよりも少し大きいか。


「先輩、その子、知り合いですか?」

「ああ、そういや井口は知らないか。彼女はメイちゃん。メインストーリー2と3で知り合った亜人の女の子だよ」

「ああ、その子が例の……。モコモコしてて、可愛いですね」


 井口はメイちゃんをキラキラした目で見つめていた。

 手をワキワキさせている。……モフりたいのか?


「ゴブリンさんと狐さんもお久しぶりですぅ~」

「ウガォゥ♪」

「きゅー♪」

「……ウキィ」


 雷蔵と雲母も久しぶりにメイちゃんに会えて嬉しそうだ。

 夜空は当時、仲間になりたてであまり交流はなかったっけ。

 少しだけ申し訳なさそうな顔をしているのは、かつて呪術猿の仲間だった負い目だろうか? 夜空もある意味、同じような立場だったんだし、気にしなくても良いと思うけどな。


「ところでメイちゃん、どうしてこんなところに居るんだ? 亜人の国に行ったはずだろ?」

「ああ、それはですねぇ~……」


 メイちゃんは俺達に事情を説明してくれた。

 なんでもメイちゃんは亜人の国に着いた後、しばらくは妹のミイちゃんと共に平和に暮らしていたらしいのだが、ここ最近、パルムール王国との関係が悪化したらしい。

 それに伴い、パルムール王国内の亜人排斥運動も激しさを増し、難民も増加。

 彼らを亜人の国へ避難させるために有志を募っていたので志願したとのこと。


「どうしてそんな仕事に志願したんだ? 君はまだ子供だ。そんな危ない事をしなくてもいいんだよ?」

「私もお兄さんみたいになりたかったからですぅ~」

「俺みたいに?」

「はい~。お兄さんは~、私をなんの見返りもなく救ってくれたじゃないですかぁ~。だから私も~、困ってる人たちを少しでも助けてあげたいと思ったんですぅ~」


 俺みたいに、か。

 ……そんな自覚はないんだけどな。

 変態さんは小さい女の子に優しいだけです。


「そもそも、私の仕事はあんまり危険じゃないんですけどね~。難民の皆さんを指定の場所へ連れて行くだけなので~。事前にコロロさんやニャンマルさんが動いて、危険は排除してくれてますからぁ~」

「でも鎧オーガたちに襲われてたじゃないか?」

「そうなんですよぉ~。この周辺には危険なモンスターは居ないし、騎士団も解放戦線の人たちが引き付けてくれてるはずなので、とっても安全な仕事のはずだったんですぅ~。びっくりしましたぁ~」


 メイちゃんは困ったような仕草をしながら説明する。

 つまり鎧オーガたちとの遭遇は、メイちゃんらにとってもイレギュラーな事態だったって訳か。


「ここから少し行った先に~、亜人の国へ移動できる門があるんです。そこに彼らを連れて行くだけの簡単なお仕事だったはずなんですよ~」

「門?」

「はい~。昔の偉い人が作った一瞬で移動できる凄い門なんですよ~。私達しか持ってない発動キーがあるので、他の人に見つかったり、利用されたりする心配もありませ~ん」


 一瞬で移動できる門、か。

 ……小雨のスキルに似てるな。

 昔の人が作ったってことは、プレイヤーじゃないのか?


「分かった。じゃあ、俺達もそこまで一緒に――ッ!?」


 そこまで言いかけて、俺はある方向へ意識を向ける。

 呪い人形たちが居る方角だ。


(呪い人形、嘆きの亡霊の気配が……消えた?)


 それも一瞬で。

 ……何かがこちらに近づいてくる。


「ゴァゥ……」

「ウッキィ」


 雷蔵と夜空も気付いたようだ。

 メイちゃんは俺を見ながら、ぽかんとしている。


「お、お兄さん、どうしたんですかぁ~怖い顔して?」

「……メイちゃん、悪いが話はここまでだ。急いで門へ向かってくれ」

「ふぇ?」


 一瞬で呪い人形と嘆きの亡霊を倒したとなれば、相手は相当な強者だ。

 マップを確認すれば、敵を示す赤いアイコンが出現していた。

 数は一体か。なら、俺達で敵を引き受けてる間に、メイちゃんたちを避難させるべきだろう。


「井口、お前は新月たちと一緒に、メイちゃんと亜人たちの護衛をしろ。骸骨騎士と屍狼も付ける。何かあったら、ナトゥリアも呼び出せ」

「わ、分かりました」


 井口がメイちゃん達を連れて離れてゆく。

 俺達はそのままバフを掛けつつ待機していると、やがて茂みの奥から、一人の男が姿を現した。


「おんやぁ、鎧オーガ共がやられておるではないか。これはどういうことだ?」


 現れたのは、浪人風の背の高い男だった。

 無精ひげを生やし、腰には二本の刀を差している。

 そして、その額にはオーガたちに似た短い二本の角が生えていた。


『モンスター図鑑が更新しました』


『モンスター図鑑№26 紅蓮のフブキ

 ■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■

 ■■と共に■■■を破壊し■■■■■■■を変えようとしている

 ■■■■■■と敵対し、■■■■、■■、第二階層を■■■■■■■■■

 討伐推奨LV■8■』


 ……なんだこの情報は? 殆どが黒塗りで見えない。

 てことは、コイツ、あのクラウン・レディオと同じ『えねみー』か?


「ふぅむ、見るからに怪しい男がおるのぉ。おい、貴様よ。この鎧オーガたちを倒したのは貴様か?」

「……だったらどうする? 言っておくが、先に手を出したのはソイツらだ。俺達の知り合いを襲おうとした」

「別に責めるつもりはない。そもそも(それがし)はコイツらに『待て』と命じていたからな。命令も守らず勝手に動いたコイツらが悪い」


 男は倒れている鎧オーガの頭を軽く蹴る。

 それよりも、と男は続ける。


「ここへ来る途中、変な人形と妖を斬ったが、ありゃあひょっとして貴様らの連れか?」

「……そうだ」

「そうか。某は戦うつもりはなかったのだが、向こうが先に手を出してきてのう。悪く思わんでくれ。お互い様ということにしておいてくれんか?」


 やはり呪い人形たちを倒したのはこの男で間違いないようだ。

 ぽんっと男は手を叩く。


「そう言えば自己紹介がまだだったな。某の名はフブキ。徳川様に仕えしすぅぱあえりーと三武将が一人、『紅蓮』のフブキである! その奇抜でハイカラなふぁっしょん……お主、ぷれいやーだな?」


 スーパーエリート……なんて?

 徳川って事は、コイツ、徳川ロドリゲスの仲間か。


「……だったらなんだ?」

「某はお上の命でとあるぷれいやーを探しておるのだ。『変態農業貴族』絶頂会長、『千変万化』☨バルカン☨、そして『殲滅女帝』トラ。この三名について何か知らぬか?」

「ッ――!」


 現実でも徳川ロドリゲスは大河さんらに懸賞金を掛けて探していたが、こっちでも手を回していたのか。

 ……いや、そりゃそうか。俺が敵の立場でもそうする。

 それと二つ名からして、あのトラクターにのって大根を振り回しいてた男は、絶頂会長さんだったのか……。確か亜人解放戦線のリーダーもしていたはずだ。

 変態農業貴族……そうか、彼も変態職だったのか。

 どこかシンパシーを感じずにはいられないな。


「その顔、何か知っておるな?」


 男が笑みを浮かべる。

 

「知っている事、全て話してもらおうか? そうすれば命までは取らぬ」

「断る」

「そうか……残念よのぅ。では、無理やりにでも吐かせるとしよう」


 刹那、何かが削れるような音と共に、男の姿が消えた。


(ッ――時間停止!)


 猛烈に嫌な予感がした。

 俺は反射的に『時間停止』を発動させる。

 静止した世界で、俺は周囲を確認。

 左側から、刀に手を掛けた男が、ほんの数十センチの距離まで接近していた。

 

(なんてスピードだ……)


 時間停止が無かったら間違いなく斬られていた。

 俺はソウルイーターで男の心臓を何度か斬りつけると、距離を取る。

 停止時間五秒……そして時は動き出す。


「――ごはっ!?」


 ソウルイーターによって魂を直接斬りつけられた男は、血反吐を吐いて膝をついた。


「こ、これは……そうか、時を止めたのか。実に面妖な技を使う。それにこの感覚。いつもの速度が出せぬ」


 当然、『不快』も発動済だ。

 男の台詞からして、入ったデバフは『敏捷-20%』だろう。

 それであのスピードとは恐ろしいな……。

 よく見たら、男の足元に氷の膜が張っていた。

 足元を凍らせて滑るように移動していたのか。


(しかしクラウン・レディオといい、一発で『時間停止』を見破るとはな……)


 本当に侮れない連中だな。

 だが同時に一つ分かったこともある。

 えねみーにも、派閥が存在し、そして派閥間での情報共有はおそらく最低限しか行われていない。

 そうでなければ、クラウン・レディオから、俺の情報が共有されているはずだ。

 血反吐を吐きながら、男は笑みを浮かべる。


「くはっ……くはははは!」

「……何がおかしい?」

「何がおかしいか、だと? 貴様の強さを見誤った某の未熟さ加減によ。くはは、なんと無様な! まさかたった一撃でこの様とはのぅ! あの三人以外にもこんな猛者が居たとは! お主、気に入ったぞ! 名を教えてくれぬか?」

「敵に名乗って何のメリットがあるんだよ?」


 俺は『着替え』で武器を銃へ変更。

 銃口を向けると、男はぎょっとしたようにこちらを見た。


「え、ま、待てっ、貴様! もう少しセオリーというか、こう……あるではないか! もっと雰囲気と言うものをだな――」

「うるさい。死ね」


 迷うことなく引き金を引く。

 短く乾いた音と共に、男の眉間に風穴が空いた。


「あぉ……」


 どさりと、男の体が地面に倒れる。

 念のため、頭と心臓にもう三発ずつ撃ち込んでおくか。

 クラウン・レディオも体をバラバラにされても生きていたんだ。

 これくらいやっておかないと安心できない。


『経験値を獲得しました』


 流れるアナウンス。

 どうやらちゃんと始末できたようだ。


『NPCが全員脱出地点に到着しました』


『おめでとうございます。メインストーリー8をクリアしました』


 お、井口たちも無事に脱出地点に到着したようだ。

 んじゃ、一旦待機室に戻って情報を整理するか。

 さっきの男の事も気になるし。

 しかしアナウンスは予想外の通知をする。


『このままメインストーリー9へ移行します』


『メインストーリー8~9は連続したイベントになっているため、メインストーリー10を終えるまでログアウトは出来ません』


『メインストーリー9 『亜人の国へ』 

 クリア条件 NPCと共に亜人の国へ向かう

 敗北条件 NPCが一人でも死亡する

 成功報酬 ポイント+100

 ※このステージにEXシナリオはありません

  また敗北した場合でも、ストーリーは進行します』


 え、ちょっと待って?

 連続したイベントになってるってのは聞いてたけど、クリアするまでログアウト出来ないの!?

 そういう仕様もあるのか……。




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― 新着の感想 ―
この作品はぶっ飛んでいて面白いと思っていましたが、今回また「変態農業貴族」というとんでもない職業が出てきましたね。変態と農業がどうすれば結びつくのか・・・ すごい発想力ですね。お世辞でなく感服していま…
平然とログアウト不可にしてくるとか、もうデスゲームなのを全く隠さなくなってきたな……
こんにちは。 >経験値を得たから始末出来たやろ 大丈夫ですかね?一部ゲームでは『倒してお金と経験値ゲット→画面変わってイベント→第二形態とバトル』みたいな流れのやつ有りますし。死んだと見せかけて復活…
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