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アプリ『異世界ポイント』で楽しいポイント生活 ~溜めたポイントは現実でお金や様々な特典に交換出来ます~  作者: よっしゃあっ!
第五章

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131/149

131.俺の知らない間に、またステージ7とEXステージがクリアされたことになってる件


 朝、目が覚めると流れたクリアアナウンス。

 いったいどういうことだろうか?

 俺はただ魔女っ子や自称魔女の弟子さんと一緒に飲み会をしただけだというのに。


「ていうか、なんか前にもこんなことがあったな……」


 魔女さんと飲み会した時も、なんかよく分からない内にクリアしたことになっていた。

 あの人、自称魔女の弟子とか言ってたし、ひょっとして魔女さんと同じようにお酒を飲んで成仏したのだろうか?

 ……いや、それなら書き置きはないか。

 書き置きと共に置いてあった銀色の鍵を手に取る。

 どことなく終末世界で手に入れた『救世の鍵』に似てる気がする。


『『旧世界の鍵』を手に入れました』


 頭の中に流れるアナウンス。

 どういうアイテムなんだろうか?


・旧世界の鍵

 旧世界への扉を開く鍵


 説明これだけかよ。

 旧世界ってどんな世界だろうか?

 過去の世界ってことか?


「いや、過去なら戦国乱世と被るような……」


 わざわざ()世界と銘打ってる辺り、もっと別の世界な気もする。

『終末世界』や『廻転輪廻』のような例もあるし、迂闊には使えないな……。

 とりあえずは収納リストにしまっておこう。


「ふわぁぁ……よく寝ました」

「お、起きたか。おはよう」

「おはようございます、師匠」


 魔女っ子が目を覚ましたみたいだ。


「だから師匠はやめろっての……ん?」


 ふと、魔女っ子を見て、あることに気付く。

 

「お前、その耳……」

「あっ」


 魔女っ子はしまったとばかりに、慌てて帽子で頭を隠す。

 しかしもう遅い。

 俺には魔女っ子の側頭部から生えた『耳』がはっきりと見えた。


「お前、亜人だったのか?」

「……はい。その……兎人です。か、隠しててごめんなさいっ」

「別に謝らなくていいよ。そうか、亜人だったのか……」


 魔女っ子はガタガタと震えだす。

 考えてみりゃ、いくら魔女の作った祠があるからって、こんな町外れに住む理由は薄い。

 家の中でも帽子を取らなかった理由も納得だ。

 亜人であることを、他人に知られないためだったのだろう。

 

「お師匠さま……その、ボクは……えっと」

「安心しろよ。別に亜人がどうこうなんて気にしてないから。それに亜人の知り合いなら他にもいる。今更、驚きなんてしないよ」

「え……そうなんですか?」


 魔女っ子はあからさまにホッとした様子を見せる。

 ……純血教の差別の根強さを改めて思い知らされるな。

 出会った時は割と気が強そうな印象だったが、ひょっとしてあれもかなり無理をしていたのだろうか?

 

「ところで……お前これ読めるか? 俺、字が読めなくてさ。代わりに読んでくれると助かる」

「……手紙ですか? ちょっと失礼しますね」


 魔女っ子はリリアンヌさんの置き手紙を受け取ると、しげしげと眺める。


「読める?」

「はい、大丈夫です。えーっと……

『温かい食事と美味しいお酒をありがとうございます。

 一宿一飯の恩に報いるために、今回はわたくしの負けということにしておいて差し上げます。

 ですがこれで勝ったと思わないことですね。

 貴方の顔と名前は覚えましたから。

 次は絶対に負けませんわよ。

 あとその鍵は、美味しいケーキのお礼に差し上げますわ。

 正当なる魔女の後継者リリアンヌより』

 ……って書いてますね」


「……なんだそりゃ?」


「お師匠さまを差し置いて、魔女の後継者を名乗るなどなんて不敬な……」


「だから師匠じゃねーっての」


 そもそも魔女になった覚えもない。

 てか、リリアンヌさんって敵だったのか?

 そういえば、プレイヤーがどうこう言ってた気もする。


(……酔うとどうしても適当になっちまうな……)


 思い返してみれば、怪しさしかない人だった。

 でも飲み会が楽しくて、つい警戒心が緩んでしまっていた。

 反省しないと。

 酒は飲んでも飲まれるなとはよく言ったもんだ。


「……悪い人には見えなかったけどなぁ」


 少なくとも、これまで出会ったモンスターや、あのクラウン・レディオのような邪悪さは感じなかった。

 普通に話してて楽しかったし。

 もしリリアンヌさんが『えねみー』だったとすれば、いずれは戦うことになるのだろうか?

 もしそうだとすれば、やりづらいなぁ……。

 

「ところでお師匠さまはこれからどちらに向かわれるんですか? ボクも連れて行って欲しいです」

「いや、そう言われてもな……」


 魔女っ子はキラキラした目でこちらを見つめてくる。

 うーむ、そこが問題なんだよな。

 従属(カード)化出来るなら、待機室に連れていくのもやぶさかではない。

 しかし魔女っ子をカード化することは出来なかったのだ。


(同じNPCでもセイランとは違うってことか……?)


 それともセイランが特別なのだろうか?

 ゲームでも仲間に出来るNPCと出来ないNPCが居るのはザラだし……。

 待機室に連れていけない以上、行動を共にするのは難しい。


「……いや、待てよ? 『世界扉』なら問題なく連れて行けるか?」

「世界扉……?」


 俺の言葉に魔女っ子は首をかしげる。

 こっちでも世界扉が使用できるかどうかの検証にもなるし、丁度いいな。

 さっそく試してみよう。


「おーい、小雨。起きてくれ」

『……ボゥ?』


 水を張ったバケツの中で眠っていた小雨を、ぺしぺしと叩いて起こす。

 バケツのサイズが小さいからか、頭隠して尻隠さずみたいな状態だったが、よくそれで眠れるな……。

 釣り上げられた魚にしか見えない。


「世界扉を開けるか? 行先は待機室で」

『ボー』


 小雨はふわりと浮き上がると、その場でクルクルと回転する。

 目の前にいつものあの扉が現れた。

 どうやら、こっちでも『世界扉』は使えるらしい。

 扉を開くと、中には待機室の光景が広がっていた。


「うん、問題なく入れるな」


 さっそく入ってみるが、特に違和感はなかった。

 扉を開いたまま、またこっちへと戻る。往来も可能っと。

 その光景を、魔女っ子は呆然とした表情で見つめていた。


「な、なんですか、これ……? 扉の向こうに違う景色が広がってる……?」

「小雨のスキルだよ。詳しい説明は後でするから、とりあえず入ってみてくれないか?」

「は、はい……。あの師匠、その……怖いんで一緒に入ってもらってもいいですか?」

「……仕方ないな」


 魔女っ子の手を握ると、俺は一緒に待機室へ入る。

 

「ッ……」


 魔女っ子も目をつぶりながら、恐る恐る扉をくぐる。

 無事に入れた。

 

「うん、カード化しなくても、世界扉を経由すれば待機室に連れていくことは出来るみたいだな」


 魔女っ子は驚いた様子で、待機室の中をきょろきょろと眺めている。


「う、うわぁ……ここは一体? アポリスの町の近くにこんな場所なかったはず。こ、これが魔女の奇跡……?」

「いや、違うから。ちょっとここで待っててくれ」

「あっ……」


 魔女っ子の手を放し、俺は小雨の元へ向かう。

 そんな捨てられた子犬みたいな目を向けるなよ。大丈夫だから。


「小雨、待機室からアルタナ往きへの世界扉は開けそうか?」

『……ボー』


 小雨はこくりと頷く。

 以前の検証の時は、出来なかったはずだ。

 おそらくは終末の楽譜の影響だろう。


「じゃあ、こっちから現実への直通は可能か?」

『……ボゥ』


 小雨は今度は頭を横に振る。

 そっちは出来ないか。

 だが、待機室を経由すればそれも可能になる。


「……やっぱこのスキルはとんでもないな」


 今後はメインストーリーやサブクエストに関係なく、現実とアルタナをいくらでも往来することが出来る。

 それだけでなく、こちらの世界の住民を現実へ連れてくることも可能になったってことだ。

 

「……おっ」


 体が白い光に包まれる。

 どうやらこれでイベントは全て終わったようだ。


 ……まるで世界扉の検証を待っていたかのようなタイミングだな。


『旧世界の鍵』や、世界扉の拡張。

 何か意図を感じずにはいられないな。


「とりあえずは、黒い空間でクエスト報酬の確認をしなきゃな」


 なんか知らんうちにストーリー7もEXシナリオもクリアしたことになってるし。

 ポイントと報酬アイテムに期待しよう。


「し、師匠……?」

「大丈夫。またすぐに会うから、そこで待っててくれ」


 不安そうに見つめる魔女っ子へ手を振りながら、俺は黒い空間へと戻るのだった。


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