第七話 秀頼の秘密
摂津国・大坂城
「江戸幕府は250年続く。」
「何?!」
「250年…」
これには流石に信繁も驚いたようであったが、秀家に至っては口がずっと開きっぱなしだった。
「我らのことで、他に何か知っていることは?」
「そうじゃ、真田殿は後世の脚色で諱を幸村とされていることもあったぞ?」
「幸村、でござるか。良い名じゃな。真田の通字が入っておる。決めた!改名する!」
「些か即決しすぎでは?」
「そうじゃ。あくまで後世の脚色であるぞ?」
「幸村。良い名じゃ…」
「確かに良い名ではあるが…」
「一つ、聞きたいのだが。」
幸村が口を開く。
「福島殿はなぜ、史実を変えてまで豊臣の為に尽くそうと?」
「それが、分からぬのだ。」
「分からぬ?」
「そうじゃ。確かに歴史をこの手で変えてみたいとは思っていた。だがそれ以上に何か別の力が某の心を突き動かしているような気がするのだ。」
「やはり猛将の血なのでは?」
「そうじゃな!きっとそうじゃ!」
三人は笑った。
「ここで、本題に入りたい。」
「本題?」
「これからの豊臣についてじゃ。」
二人も同じことを考えていたらしく、軽くうなずいた。
「史実では負けたがこの戦、勝てる見込みは十分あると某は思う。」
「某も同じ思いにござる。その元凶は、淀殿にあると考える。淀殿は殿に近い重石となるような重臣がおらぬことを利用して、豊臣を我が物顔で操っておる。」
「後世では、淀殿は豊臣滅亡の元凶とされることもあるな。実際、殿は淀殿のおかげで最後まで出陣できずに命を落とされる。」
「淀殿、追い落とせるかもしれませぬぞ。」
「真田殿、どういうことじゃ?」
「今から言うことは他言無用でお願いしたい。」
「無論じゃ。」
「父・安房守が内密に手に入れた書状を持っております。」
「して、それはどういう書状で?」
「殿の出生の秘密について、でござる。」
「何!!!」
幸村は懐から書状を取り出した。
「この書状に書かれていることが真とすれば、殿は大野修理と淀殿の子、ということになりまする。」
「少し拝見してもよろしいか。」
幸村は二人に書状を見せた。
「これは確かに、太閤殿下の印だ…」
「つかぬことをお聞きするが、安房守殿はどこでこんなものを?」
「どうやら、石田治部殿や大谷刑部殿など、奉行衆の高官の中だけではこの事実が共有されていたようでござる。大谷殿は我が舅。その筋で父が得たようで。」
「確かにこれを使えば、淀や大野修理、大蔵卿局などの非戦派を追い落とせる。」
「まずは我らで主導権を握らねばなりますまい。」
「そうすれば、勝利の道を開く一歩になりますな。」
「福島殿、先程の軍議では籠城を主張されておったが、本気でござるか?」
「あれは正直にいえば方便じゃ。誰かに突然策を出せと言われたのでな。」
「それは、申し訳ござらん。」
「もうよい宇喜多殿。済んだことじゃ。某も、打って出るべきと思っておる。」
「宇喜多殿は?」
「某も、打って出る他に道はないかと。」
「決まりじゃな。」
ここに、三人の共闘が始まったのであった。




