第六話 衝撃のカミングアウト
大坂城・大広間
「それは、母上が儂の出陣に反対しておるということだ。」
「それならば、某に策がありまする。殿には後ほどその策を聞いた上で、福島殿の策と某の策、どちらが良いか判断して頂きたく。」
「よかろう。ならば左衛門佐の策を聞いた後、お主らには追って伝える。」
『はっ!』
「真田殿、先ほどの策、見事でござった。」
「かたじけない。あれは父直伝の策なのじゃ。」
「そうなのか!」
「宇喜多殿、真田殿、少し来ていただけるか。」
「福島殿が我らに何の用でござるか?」
不機嫌そうに秀家は言う。
「二人にしか話せぬことなのだ。」
信繁と秀家は正則に案内された部屋に入った。
「まずは宇喜多殿、関ヶ原でのことは悪いと思っておる。じゃがな、某にも悔いておるとは言え、豊臣のことを思って徳川についたという経緯がある。謝る気はない。」
両者に再び不穏な空気が流れる。先にその空気を変えたのは、秀家であった。
「確かに福島殿のことは複雑に思っておる。関ヶ原でのこと、簡単には忘れられぬ。だが家臣を失ったのは福島殿も同じ。頭に血が上っておった。」
「福島殿も宇喜多殿も、これまで豊家のために尽くしてこられたのです。ここは我ら三人、手を取り合って殿のために尽くしませぬか。」
信繁がそう言うと、二人は頷いた。
「ところで福島殿、我らに話しておきたいこととは?」
「今から言うことは、他言無用。簡単に信じてもらえるとは、思っておらぬ。」
「で、何じゃ?」
「実は私は、400年後の未来から来たのだ。」
「は?福島殿、戯れが過ぎるぞ。なわけなかろうが。のう、真田殿。」
「…」
「真田殿、まさか信じるというのか?」
「あり得る。」
「いやいやさすがにそれは…」
「先程の軍議で福島殿が申したあの策、あれは某が大坂籠城が決まった時の最後の策として考えておったものでござる。勿論他言はしておりませぬ。」
「しかしそれは偶然というものが…」
「宇喜多殿。信じられぬか。」
「福島殿には悪いが、全く信じられぬ。」
「私はここに転生する前、歴史が好きでな。宇喜多殿のことも、よく知っておるぞ。」
「この十四年の間のこともか?」
「宇喜多殿は関ヶ原で破れたあと、薩摩に落ち延び、島津に匿われ休復と名乗られた、だが慶長8年に薩摩を発ち、その3年後に八丈島へ配流された。違うか?」
「そうなのか?宇喜多殿。」
「何も、間違っておらぬ…」
「信じていただけたか?」
「薩摩での潜伏生活や八丈島でのことは大坂に来てから誰にも言っておらぬ。にわかには信じられぬが未来から来たと言えば、説明はつく…」
「ならば福島殿は、この戦がどうなるのかも知っておられるのか。」
「知っておる。それをお二人にはあえて伝えたい。これは今後の豊臣家に大きく関わることだからじゃ。重ねて申し上げるが、どなたにも話すことがない様。」
『承知した。』
「この戦結論から言えば、大坂方の負けになる。」
二人は固唾を飲んだ。
「真田殿、長宗我部殿、毛利殿、後藤殿、明石殿の五人衆は良く戦い、特に真田殿は家康をあと一歩まで追い詰めるが、最後は及ばなかった。殿や五人衆はこの戦で命を落とすことになる。」
「某も豊臣には悪いが、想像は出来ていたことだ。だが、某や福島殿の名前がないのは、どうしてじゃ?」
「史実では某や宇喜多殿は参陣しておらぬ。というより、出来なかったという表現が正しいだろう。」
「そんな…史実では某は豊臣を見捨てたのでござるか?」
「宇喜多殿は史実でも参陣したがっていたのかも知れぬが、いかんせん八丈島じゃ。それは難しかったのであろう。」
「では何故、宇喜多殿は此度は参陣出来たのです?」
「宇喜多殿に船を出したのはな、某じゃ。」
「福島殿が?」
「そうじゃ。」
正則は不敵な笑みを浮かべた。
「某が殿に宇喜多殿を呼ぶことを伝えた上で、船を出したのだ。」
「それはかたじけない。」
「豊臣を滅ぼしたあと、徳川は?」




