↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅い侍  作者: 柴崎龍
第二章 豊臣の反攻
33/49

第三十二話 決断



大和国・宇陀松山城



二つの剣が重なりあう音が戦場に鳴り響く。その音は鋭く、甲高い音だった。



「兄上の実力も…その程度でござるか!」



「お主こそ、儂の首一つ取れぬのか!」



『がっはっはっは!』



戦場に漂う重い空気とは裏腹に、正則と高晴はこの一騎討ちを楽しんでいた。



「兄上、そろそろ決着を付けましょう。」



「そうじゃな。参るぞ!」



先程より重い空気に変化し、二人の周りは異様な空気が漂っていた。



刃が擦れる音が響く。決着は着かない。だが、福島高晴が発したその一撃は、福島正則の手に当たっていた。



「うっ…だか儂はこの程度で終わる器ではない!」



この異様な空間の中で、痛みなど気にしている余裕など無かった。



そして負けじと正則も刀を振り下ろした。その瞬間、高晴の鋭い一撃は正則の首の皮を掠めていた。



『グスッ』



鈍い音がした。きっと、自らの首が落とされようとしているのだろう。そう思った。でも、現実は違った。自分が右手に持つ刀は、高晴の胸部にしっかりと突き刺さっていた。正則が気づいた時には、もうすでに高晴は絶命していた。



「助六郎、さらばじゃ。」



正則は刀を抜いた。





大和国・龍田城付近



その頃、後藤又兵衛率いる第二軍は順調に進撃を続けており、諸勢力の平定をしながら龍田城付近まで来ていた。



「皆の者、今回の龍田城攻めに関して、意見はあるか。」



「私に策がございまする。」



そういったのは、塙団右衛門だった。牢人衆の一人で、今回初めて豊臣家として副将に任じられた男である。



「塙殿、お願いしますぞ。」



「はっ。聞いたところによりますと、龍田城の士気は下がっているというふうに聞きました。ただでさえ士気が下がっているこの状況に兵糧攻めをし、士気を今より下げるというのはいかがでしょうか。」



「そう致しましょう。日程も当初より早まっておる。ここで時間をかけて温存しておくのが最善の策じゃ。」





龍田城・本丸御殿



「殿、後2日、持つかどうかでございまする…」



「左様か…決断せねばならぬか。」



「恐れながら…もうすでに勝負は決しているかと…」



「相分かった。降伏しよう。儂が出向く。」



「御意。」



大和国・龍田城付近



「こちらの条件は、某と某の倅の切腹の代わりに城兵を助けることでございまする。」



「こちらも異論はござらんが、お主ら親子の身柄は一度、殿の所に送られる。よいな?」



「異論ござらぬ。」



「事情は分かったが、お主は後悔はないのか?」



「後悔ばかりでござる、某は傅役としての務めを果たすことができず、豊臣を裏切ってしまった。そのけじめは、自らで付けたいのです。某の、決断でござる。」



「決断か…」



こうして過去を知る人物がまた一人、消えていくのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。