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紅い侍  作者: 柴崎龍
第二章 豊臣の反攻
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第十三話 狭山城攻め



岸和田城を落とした豊臣軍が目を付けたのは北条家だった。この北条家はあの関東に覇を唱えた北条氏政の弟である北条氏規の家系であり、また徳川家と結び付きが強く反豊臣の家であった。



狭山城・上屋敷



「水野殿、よくぞお越し下さった。」



「お止めください。某はあくまで北条殿をお助けするために馳せ参じたというもの。」



水野六左衛門勝成。鬼日向と渾名され恐れられた猛将である。



「水野殿がいれば百人力でござる。」



狭山城周辺・秀頼本陣



秀頼たちは狭山池を挟んで睨みあっていた。



「それは真か。」



「はっ。確かに水野六左衛門率いる五千が入城致しました。」 



「うむ。皆はこの城、どう攻めればよいと思う。」



「狭山池の西側と東側に兵を分け、二方向から狭山城に迫り、挑発をして野戦に持ち込むしかないのでは?」



「某もそれが上策かと。」



「某も。」



勝永の意見に秀家と盛親が賛同した。



「だが、敵方も簡単には出て来ぬかと。」



「何せ相手は鬼日向ですからな。」



「それについては心配要らぬ。左衛門佐、あれを出せ。」



「はっ。」



幸村が持ってきたのは最新型の大砲であった。



「南蛮から仕入れたものだ。いずれ役にたつと思ってのう。内密にこの大筒を用意した。」



「つまり、この大筒を城に向けて撃つということですかな。」



「少し違う。左衛門佐、説明せよ。」



「はっ。まず、我らはこれより一度退き、敵方にあえて追撃させまする。食いついた敵方が躍起になっているころに狭山池の対岸から空砲を放ち、敵方を混乱させまする。そこを一気に叩くというわけです。」



「ならば決戦は、今夜になりそうですな。」



「既に城内には豊臣が撤退するという噂も流しております。」



「先鋒は又兵衛、対岸からの空砲隊は豊前に任せたい。」



『承知。』



「よし、いざ出陣じゃ!」



『はっ!』



狭山城・上屋敷



「北条殿、なりませぬ。」



「いや、敵は幕府の援軍に恐怖して退いていったのです!追撃致しましょう!」



「北条殿、これは罠でございまする!」



「水野殿、貴方は鬼日向と呼ばれる御方だ。豊臣の雑兵など蹴散らせるでしょう。」



「ですが…」



「皆、支度をせよ!出陣じゃ!」



狭山池付近・毛利勝永の陣



「皆、見よ!」



これから起こる惨劇を知らずただひたすらに突撃している北条・幕府連合軍の姿があった。



「よし、時は来た!皆の者、放て!」



空砲が一斉に放たれ、北条・幕府連合軍は何が起きているのかも分かっていないが混乱し、恐怖していた。そして次の瞬間一斉に秀頼本隊が一斉に攻めかかった。



「我々も出るぞ!出陣じゃ!」



狭山城付近・北条氏信の陣



「殿、今は前線で水野様が奮闘していますが、時がありませぬ!何卒御決断を!」



「わ、分かった。水野殿には申し訳ないが殿(しんがり)を勤めて貰おう…」



狭山城付近・水野勝成の陣



「殿、退路を塞がれました!そして、北条様は退却なされました…」



「何!?あやつ逃げよったか…」



「まあよい!ならば突撃するのみ!皆の者かかれ!」



勝成はこの後、秀頼本隊先鋒・後藤又兵衛と死闘を繰り広げ、その後戦死するが、豊臣軍に大きな犠牲を与えたことでその武勇が後世に伝えられることとなり、逆に又兵衛は鬼日向を戦死させたことでその武名を天下に轟かせた。



その後、当主・北条氏信は小出吉英らと同じように捕らえられることとなり、北条家は降伏したことで河内国、和泉国の支配を明確なものとした。



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