第十二話 秀頼の初陣
???
「よう参ったな。ここまで真にようやってくれた。」
そう言うと、女はその場に倒れこみ泣き出した。
「滅相もございませぬ。我々が今も生きていられるのも、大御所様のおかげにございます。」
大坂城・馬出曲輪
「いよいよ初陣じゃ、気を締めねばならぬのう。」
秀頼の心中は戦に対する高揚感と恐怖感が共存していた。
「この真田左衛門佐がいる限り、殿に万が一のことはございませぬ。」
「頼もしいのう。これで儂のことを戦知らずと笑い者にするものがいなくなればよいが。」
幸村は戸惑いながら苦笑した。
「殿、そろそろ参りましょう。」
「うむ。皆の者!此度は前哨戦に過ぎぬ!これから始まる戦は、豊臣の威光を世に再び知らしめる戦!者ども奮起せよ!」
『応!』
摂津国・岸和田城付近
正則は悩んでいた。
「俺に人を殺せるのか?」
この福島正則はあくまで21世紀から来た転生者。彼は関ヶ原を境に福島正則を受け継いだので転生者である今の福島正則に戦の経験はない。
「福島殿、福島殿!」
「孫七郎殿、どうなされたのじゃ。」
「何か考え事でも?」
「いや、何でもござらん。」
「殿も初陣ですが、某も初陣なのです。」
「確かに、そうであったな。」
「賤ヶ岳の七本槍と称され、武勇の誉れ高い福島殿にぜひ、戦の極意をお教え頂きたいのです。」
「そうじゃな…」
その後正則は苦虫を噛み潰したような顔で極意を話した。
岸和田城・本丸御殿
「真に一万五千の軍勢を出してくるとは…」
岸和田城で小出吉英・吉親の二人は戦々恐々としていた。
「浅野の旗指し物が見られると聞いておる。浅野も加わったとなれば、我らは南北から攻められるであろう。」
「殿、こうなれば戦うのみでございます!」
「儂も腹を括るか。」
覚悟を決めた小出軍はよく応戦し戦線が膠着していた。
「殿。」
「どうした、右衛門太郎。」
「某に兵を預けて頂きとうござる。」
「その兵をどうするのだ。」
「我が長宗我部の兵は精強。二の丸の城門に突撃し、相手の士気を喪失させまする。」
「ほう。相分かった。お主に兵を預けよう。好きに暴れるが良い。」
「はっ!」
秀頼の期待どおり盛親は奮闘し、この時の奮闘は「岸和田千人斬り」と伝えられ、この後脱走や裏切り、門の開門などが相次ぎ、豊臣方の勝利に終わった。だがこの時の小出家側の奮闘も後世まで伝えられることとなった。




