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紅い侍  作者: 柴崎龍
第一章 父の教えを胸に
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第九話 怨念



大坂城・大広間



「上様の御成りー!」



『ははっー!』



「面を上げよ。早速だが本日から軍議の進行役を大野修理から木村長門に変更する。」



「何!?な、何故でございますか!」



「黙れ。」



「な、な、な…」



「では長門、頼む。」



「はっ。まず、五大老の復活についてです。現在、形骸化しているこの制度を復活させ、宇喜多備前殿、長宗我部右衛門殿、福島市兵衛殿、毛利豊前殿、後藤又兵衛殿、明石掃部殿、真田左衛門佐殿を『七大老』とします。」



「別に儂らは構わんが真田殿の序列はもっと上でも良いのではないか?」



又兵衛が聞く。



「いえ、これは某が希望したものです。」



「と言うことですので、よろしくお願いいたします。そして本題ですが、おい、やつを呼んでこい。」



「はっ。」



小姓が動いた。



「連れて参りました。」



そこには髪などが乱れ、化粧もしておらず裂けた服を着ていた淀がいた。そう、あの淀である。みな、最初は誰だか分からなかった。



「この者ですが…」



「良い、長門。わしが説明する。鋭い者なら分かっているかもしれないが、『内通者』の淀だ。」



改めて皆が驚いた。



「何故こやつがこのような事になっておるか、単刀直入に言おう。わしは太閤殿下の子ではない。」



『な、な、な、な、何!!!!』



もう皆ろれつが回らなくなってきており、又兵衛に至ってはその場に倒れこんでいる。が、一番反応が面白かったのは治長である。



「しょ、しょ…」



「皆、この話の経緯は後で話そう。実はな、この中に同罪の者がおるのじゃ!」



秀頼は一際大きな声を出して言った。



「大・野・修・理!修理!!お前の軽率な行動によって何人の人生を変えたと思っておる!」



皆の顔が暗くなる。元々豊臣にいなかったものでもこの話は当然知っている。秀頼が生まれたことで邪魔になった秀次を秀吉が殺したという事件であり、秀次の親類はもちろん、家臣や侍女など大勢の人も連座して殺された。



「のう、申し開きはないのか!修理!」



「…」



「分かった。お主らを処刑するのに相応しい男を呼んでいる。来い。」



その者は颯爽と出てきた。



「か、関白殿下!」



何と、秀次にそっくりな青年がそこに立っていたのである。この事は幸村たちも知らず直秀が驚きの声を上げた。



「豊臣土丸改め、豊臣治兵衛秀持でこざる。」



「あ、あの時の!生きてらしたのですか!」



またしても直秀が驚きの声を上げる。



「治兵衛、説明を。」



「はっ。まず、この度、父の百姓名である治兵衛を継承し、初心を忘れないという理由で豊臣治兵衛秀持に改名致しました。私は、色んな方に助けられせめて末子だけでもと言われ、奥州の伊達家に助けてもらい、ここまで成長出来ました。お声を掛けてくださった殿に感謝いたします。真に、ありがとうございました。」



「うむ。では改めて申すが、お主をこやつらとそれに関わったものたちの処刑をお主に任せる!」



「御意。」



「そして治兵衛、色々な要因が重なったとはいえ太閤殿下が関白殿下を殺したことは事実じゃ。すまなかった。」



「お顔をお上げください!あれは父が疑われるような行動をしたのも事実でございまする。何より殿が詫びられるようなことではありません。某が父の分までしっかりと豊臣に忠節を誓いまする!」



「そうか!治兵衛、これから頼んだぞ!」



「はっ!」



「それと最後じゃが、一門衆最年長の備前にはわしが関白になったら太閤になって欲しい。」



「た、た、太閤など恐れ多い!七大老筆頭でも恐れ多いのです。某などとても…」



「主君の命にも従えぬのか?」



「承知いたしました。謹んで、お受けいたします。」



「そうか。ではそろそろ時間じゃな。これで軍議は解散じゃ。七大老は残ってくれ。」



『はっ!』

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 太閤って関白を譲った人のことだと思うのですが。
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